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ハーセプチンの継続/エリブリンメシル酸塩/アントラサイクリン系化学療法への反応予測 【乳癌】

2009-05-14 | 乳癌
ハーセプチン投薬中に癌が進行した転移性乳癌患者にハーセプチンの継続が有益であるとヨーロッパの研究者が発表した。この試験の詳細はJournal of Clinical Oncology誌2009年4月20日号で発表された。(略)
この疑問を解明するために、ハーセプチン投薬中に癌が進行した転移性乳癌患者をゼローダ+ハーセプチンによるサルベージ療法かゼローダ単独の救済療法かに無作為に割り当てた多施設試験に研究者は参加した。追跡調査の平均期間は16カ月であった。以下の表は本ランダム化試験の主要な知見の要約である。
       ゼローダ     ゼローダ+ハーセプチン
患者数      78          78
奏効率      27%         48.1%
死亡数      38          33
進行までの中央値 5.6カ月      8.2カ月
生存期間の中央値 20.4カ月     25.5カ月
全文訳

>専門家によると、感覚的にハーセプチン継続がよいとだれもが感じているので、このドイツのグループの発表が最初で最後のエビデンスになるだろうとのこと。

    

微小管重合阻害剤であるEribulin(エリブリン)メシル酸塩(E7389、NSC 707389)は、タキサン系およびアントラサイクリン系薬剤に抵抗性を示す乳癌女性に対して有意な活性を示すことが、多施設第2相試験により判明した。本試験の詳細については、Journal of Clinical Oncology誌2009年4月6日号の早期電子版に掲載されている。(略)
・ 患者の12%が部分奏効(PR)に達した。
・ 患者の17%が、PRまたは6カ月以上にわたる腫瘍の安定を示した。
・ 奏効持続期間の中央値は5.6カ月であった。
・ 無増悪生存期間の中央値は79日であった。
・ 全生存期間の中央値は275日であった。
・ 最も一般的な副作用は骨髄抑制であった。
・ その他の軽度または中等度の副作用は、悪心、疲労、脱水、息切れ、関節痛、手足の感覚変容であった。全文訳

>専門家によると、E7389は日本人が海綿から発見したハリコンドリンBをもとに合成された薬剤で、日本でも治験中。

    

アントラサイクリンに対する反応予測
腫瘍のHER2およびTOP2A遺伝子が正常である乳癌に対する治療を受けた女性は、再発予防用にデザインされた追加化学療法の一環であるアントラサイクリン系から利益は得られないとみられ、このような患者はアントラサイクリン系を含まない、より毒性の低い治療法から利益が得られる可能性がある、と研究者らは電子版Journal of the National Cancer Institute誌4月28日号で報告している。

以前の試験では、HER2に変化がみられる女性はアントラサイクリン系(エピルビシン)をベースとする補助療法から得られる利益が少なかった(乳癌の約20%)。しかし、TOP2A遺伝子はHER2の近傍に位置しているため、アントラサイクリン系に対する反応がTOP2Aの変化と関連しているのではないかと考える研究者もいた。続き→NCIキャンサーブレティン全文訳


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