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炭水化物を減らすと前立腺癌の増殖が遅くなる可能性

2009-06-25 | 前立腺癌
デューク大学前立腺センターの研究者らの発表によると、動物試験の結果、炭水化物を制限することで体重減少の有無にかかわらず、前立腺癌の成長速度が低下する可能性があることが明らかとなった。

「当大学とその他の過去の複数の試験から、炭水化物の少ない食事が腫瘍の増殖を遅らせることが示されていますが、こうした試験では、動物の体重も減少していました。体重が減少すれば、腫瘍が栄養とするエネルギーも制限されるかもしれないことがわかっていたので、これまでは、純粋な炭水化物制限がどの程度の影響を持つものか示すことができませんでした」と、デューク大学前立腺センターの泌尿器科医であり、本試験の主任試験責任医師であるStephen Freedland医師は語った。

インスリンおよびインスリン様成長因子が前立腺癌の成長や増殖に関わっており、炭水化物を含有しない食餌を与えると、マウス体内の血清インスリン濃度が低下し、腫瘍の増殖速度も低下すると研究者らは考えています」と同氏は語った。

本試験では動物に以下の3種の食餌のいずれか与えた。非常に高脂肪かつ炭水化物を含有しない食餌、低脂肪かつ高炭水化物の食餌、大半の米国人が食べている「欧米型」に最も近い高脂肪かつ炭水化物を中程度含有した食餌のいずれかを与えられた。3群には、その後同時に前立腺癌を注射した。「炭水化物を含有しない食餌で飼育したマウスは、他の2群に比べて生存期間の40~50%延長がみられました」とFreedland氏は述べた。

また、炭水化物を含有しない食餌を与えられたマウスは他の2群と同じ体重を維持するために、他のマウスよりも多くのカロリーを摂取させた。「炭水化物を制限すれば、カロリー制限(体重を減少)させなくても、実際に腫瘍の成長速度は低下することがわかりました」と、Freedland氏は述べた。

研究者らは、デューク大学およびカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の2施設で、患者の募集開始を計画している。この臨床試験は、前立腺癌患者に対して炭水化物の摂取制限を行うことによって、マウスと同じく腫瘍の成長速度が低下するかどうかを明らかにすることを目的としている。この試験は2、3週間以内に開始予定となっている。
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