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スペイン絵画(ムリーリョ)

2011-09-01 | 美術館・博物館
今日から9月になりました。
皆様いかがお過ごしですか?
朝、防災訓練のサイレンが鳴り、台風の影響が出始めている中訓練が行なわれたようです。

雨も風も突然強くなり、散歩中に全身ずぶ濡れになってしまいました。
それでもセミの鳴声は止まず、最後の夏を惜しんでいるようです。


***


今秋は「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」10/22~が国立西洋美術館にやってきます。
日本ではゴヤは人気のある画家のようですね。
40年ぶりの「着衣のマハ」を待っていた人も多いのではないでしょうか?

スペインへ旅したのはもう15年も前のこと…滞在期間も短い中、2週間でバルセロナ・フィゲラス・マドリード・セゴビア・グラナダなど列車で旅したのを思い出します。
当時から現代美術が好きだった私は、マドリードではプラド美術館ではなくソフィア王妃芸術センターを見に行きました。
だって、あの「ゲルニカ」があるんですもの…。


しかし、今回大学の講義で「西洋美術史」を選択し、せっかくなのでとゴヤの影響もあって(先生が今回の展覧会カタログの翻訳を担当されたんだとか)スペイン・フランスを中心に古典美術を学びました。
イタリア・ルネッサンスや古代ローマ・ギリシャの影響が大きいのが特徴です。
(ちなみに今は「古代ギリシャ展」を開催中です)

古典…ちょっと苦手だったんですよ。
宗教画・物語画・肖像画・静物画など、どれも凄い!の一言で終わっていたような気がします。
でも、かなり面白くなりました。
私は絵画に対してどちらかというと、作風よりも人物そのものに魅力を感じるので、やはりイタリアのカラヴァッジョに興味を覚えました。
たくさん観ていたはずなんですけどねぇ~宗教画にはほんとに興味が無くて…今となっては残念な思いでいっぱいです。

今回取り上げるのはカラバッジョ派の影響を受けたスペインバロック・セビーリャ派の中から、柔らかく温かく優美な作風のバルトロメ・エステバン・ムリーリョについて。



↑「自画像」

17世紀当時のスペインはペストが大流行し、人口12万人の半分が亡くなりました。
国内では物価上昇などから暴動が起こり、社会全体が暗く人も荒んでいきました。

そんな中、人びとは優しく温かい美術を好むようになります。

この風俗画「蚤をとる少年 (Niño espulgándone)」…いいですよねぇ~。
柔らかい光がスポットライトのように外から注ぎ込んで、少年を照らしています。



セビーリャ派の得意とするカラヴァッジョ派のテネブリズム(明暗対比による劇的な表現手法)を用い、細部にわたる写実的表現は本当に素晴らしいです。


宗教画が主な作品ですが、子供をペストで5人も亡くしたというムリーリョが描く、子供達の絵(風俗画)には愛情が溢れているような気がします。

そして、どの作品も全体的にとにかく優しいんです♪癒されます。

この作品はルーブル美術館に展示されていますので、ぜひ足を運ばれた際には近づいて写実性に優れた作品を堪能してみてくださいね。