蒸し暑さに加えて、風のない日のようで…かったるいですね。
そして1日置いた筋肉痛が階段の上り下りに思わず声が出てしまいます。
7合目に着いて下を見ると随分登って来たのが分かる。
上を見ると緑のない荒涼とした赤土色の表面に人が登って行くのを見ることができた。
「空気が薄い……」
すでに汗だくの体は冷え始め、少し頭痛がする。
3時間40分ほどの時間でこれだけ疲れたことがあっただろうか?
小屋に入るとぷぅ~んと匂ってきた御香の香りに癒される。
音楽も民族系のものが流れ、まるでネパールにいるような錯覚を覚えた。
対応してくれたおにいさんは絶対にインドかネパールに滞在したことがありそうな雰囲気。
「えぇ~っと今日は夕食とお弁当ですね?」
「何時ごろ出発しますか?」
という問いに、
「御来光を見たいので12時頃に出ればいいですかね?」
「えっ!夜中行きますか?」
「どうしたらいいですかね?」
「見てからでもいいんじゃないですか?もしくは明るくなるちょっと前とか…寒いですよ」
やはりここでも夜中登るのはお勧めされませんでした。
この須走口はどこからでも御来光の見えるありがたい登山道なのです。
友人と相談し、星空を見たいという希望があったので、
「では3時に出発します!お願いします」と伝えた。
「はい、分かりました。行く前にここで寝てるのでたたき起こしてくださいねぇ」
と言われて別の若者が小屋の案内をしてくれた。
■富士山七合目「大陽館」
電話0550-75-4347
1泊2食 8925円
(朝食はお弁当にもしてくれます)
夕食のみ 7875円がお勧めかもしれません。
(お弁当のボリュームがあって食べ切れなかったから)
料金を支払い、宿泊カードを手渡された。
これを見せれば下山時にトイレを無料で借りることができるそうです。
まずはトイレの案内から。
燃焼式トイレは紙も一緒に流すことができる。
雨水をひしゃくで一杯流すとゴムの弁が汚物を落としてくれる。
何度使っても宿泊料に含まれるというとても良心的な仕組みでした。
一応手洗いもありますが、貴重な水なので洗顔と歯磨きは禁止。
靴をビニールに入れ、2段ベッド式の寝床に自分たちのスペースを教えてもらい荷物を上げる。
今日は人が少ないのでちょっとは広く使えますよ!とうれしいお言葉。
基本寝袋1個分が自分のスペースになる。
とにかくシャツを着替えマフラーを首に巻き、ダウンジャケットと寝袋に包まり横になった。
頭が重く少々の吐き気(これはお腹空きすぎかと思われる)が体を襲う。
震えるほどの寒さで眠ることもできない。
やはり下着も持ってくればよかった…。
随分と時間が経った気がするが、5時過ぎ「食事の用意ができました」と声がかかる。
なんだかんだで席に着いたのが最後だった。
こちらの夕食には定評があり、富士山一と言う人もいるほど。
普通は発泡スチロールの容器にカレーだけという食事が多い中、炊き立てのご飯に熱々の豚汁が食べ放題。
おかずもハンバーグをメインに、切干大根、昆布、たくあん、千切キャベツ。
ありがたいなぁ~!体が温まる。
ゆっくりおしゃべりしながらご飯を食べる。
30人ほどで食べてるとは思えないほどの一体感。
「いっぱいお替りしてくださいねぇ~、でも食べ過ぎると登れないよ~」
中にはビールを飲みながらの人もいました。
食後にはたっぷりの温かいお茶をいただいて、ごちそうさまでした。
ダウンジャケットを着て外に出てみると、まだ空は明るく登っている人も多い。
写真に写っている若者はなんと五合目から1時間50分でここまできたそうだ。
私たちの半分の時間。
目標が8合目だそうであと1時間ほどがんばる!といって登っていった…。
私はこの宿にして本当に良かったと心から思っていた。
これ以上登っていたら、高山病になるか頂上までの体力が無くなっていた気がする。
夕食のおかげで体も温まり、頭痛も消え始め、なんだか頂上まで登れる気がしてきた。
のんびり小屋の外で過ごす時間は至福のときだったなぁ~。
つづく…