心新たに歩き始めた私

（第271話）
７匹の犬猫達と暮らしていた9人家族の私。忙しくも賑やかな日々から家族の旅立ちを８回も見送ってきた今は、ひっそりと静かな一人暮らし。
「大丈夫だろうか・・、うつ病にでも・・」と不安を感じながら・・呑気に滅入っている暇などなかったのでした。
長年、犬猫達の為にアレコレと工夫をこらした室内を人間使用に戻さなくては想い出に潰されそうで、旧ピッチで片付け始めました。しかし、あまりにも沢山あり過ぎて・・毎日頑張っても膨大な仕事量。
おまけに8年前からスタートした英会話サークルの毎週の宿題は“身辺ニュースを英語で発表する”というもの。語学が不得手な私には結構な重荷。それでもネイティブとの会話のお陰で最近は英語のTVニュースが多少聴き取り易くなりました。継続は力なりですね。耳の聞こえないサムが何故か英語のテープと電話には反応して、邪魔ばかりしていた日々が懐かしくなります。

サムの永眠は４月27日。それから一ヶ月後、私の気持ちが落ち着くのを待って、お世話になった横浜の獣医さんに御礼のご挨拶にナッチャン人形（４年前に亡くなった猫）と一緒に伺いました。実に8年半、毎日の点滴やら投薬、食事管理に多大なお力をお借りできた事が猫達の延命に繋がりました。
後日、先生(レオどうぶつ病院）のホームページ（http://www.leo-ah.jp/）を覗いてビックリ！　なんと、ナッチャン人形が先生のHPの「ロデムの部屋」に登場していたのです。先生は癌の専門医でもあり、お人柄もさることながら、最新情報の早さと正確さから実に良く勉強しておられると感じながら貴重な出会いに感謝していました。

この日を境に私自身の行動範囲を少しずつ広げる事にしました。
とは言え、年齢を考えて体調を優先して慎重に動く事にします。

　


先ずは生まれ育った故郷の八王子にある高尾山に親友と二人で出発。長年、外出できないストレスの鬱積を発散し、鬱蒼とした新緑の山から沢山のパワーを貰ってリフレッシュ。リフトに乗って山頂へ、薬王院で精進料理を食べて帰途はケーブルカー。天気予報が悪かった事で、近年人気の混み合う高尾山ではなく、人影まばらでラッキーでした。予報に反して雨は降らずにさわやかな一日でした。








高尾山からパワーを貰った翌々日、娘の誘いにのって「市原ぞうの国」にでかけました。
以前から”行きたい！”と思い続けた夢がようやく叶ったのです。
二十数年前に、この象の国のオーナーの息子さんが交通事故で亡くなった後、可愛がられていた象達（特にランディ）が大粒の涙を流しながら悲しんだお話は映画化されて脚光を浴びた事を知っていましたし、日本で初めて生まれた象（ここで生まれた）の“ゆめ花”が最近はお絵描きをする事から「是非この二頭に会いたい」と思い続けていました。
念願の“ゆめ花ちゃん”が描いた絵も買えて大喜びです。




一番嬉しかったのは、放飼場にいた“ゆめ花ちゃん”を見つけて遠方から“ゆめ花ちゃ～ん！”と叫んでみたのです。すると、私の方を振り返って、ゆっくり歩いて来てくれたのです！　大きな象を動かした驚きと感激がこみ上げてきました。あとは、名前を連呼しながら餌を与え、“いい子ね”を繰りかえし、最後には空っぽになった餌カゴを見せて「ありがとうね！バイバイね！」と我が家の猫達と同様に会話したのですが、頭の良い象ですから、日本語は全て理解している様子で、鼻でお礼の挨拶もしていた様でしたし、私がバイバイを繰り返すと、後ろを向いて元いた場所に帰って行きました。大興奮の私。なんと可愛いのでしょう！！　ここの象さん達はフラフープを回したり、打楽器を叩いたり、音楽に合わせてダンスもし、お絵描きや書道、人間にしっかりとなついて手から餌もとってくれて本当に良く働く可愛い子達ばかりでした。


「市原ぞうの国」の女性園長さんは、数年前に、すぐ近くに放し飼いした動物と触れ合える「Sayuri　World」を開園しました。娘に誘われるままに内心は気が進まないのに入園したのですが、なんと、種を超えた動物達が仲良く共存しているのには驚きました。餌を与えていたカピバラちゃんにバイバイした私達の後からスタスタと付いてきたらしく、控えめに「もっと頂戴」と私の足をソット突っついた可愛さに思わずニッコリ！　ワオキツネザルの檻に入ってみると、お猿が肩や頭に載ってきてエサ籠に顔を突っ込むので大笑い。危険な動物は居ないだけでなく、どの子も愛されて育っていると感じられる行き届いた配慮が素晴らしく心地よい時間を過ごさせて貰いました。何やら年間のパスポートを買って度々行そうな私です。

気持ちを外に向けながら元気に過ごせるように新たなスタートの幕開けです。