ナッチャンの居ない我が家

（第248話）

ナッチャンの姿が見えない我が家は火が消えたようで実に寂しい。
猫とは思えない頭の良さと性格の可愛いさから存在感が大きかった分だけに喪失感も大きい。
何よりも助かる可能性を秘めながら充分に手を尽くさずに楽観視した獣医さんへの憤りと中々消せない後悔から、残る二匹の猫の動物病院を代える事にした。
ナッチャンには詫びても詫びきれない悔いを残して、泣くまいと思いつついつまでも涙が流れる。
お陰で私の逆流性食道炎が再発して食事が思うように摂れないのは5年前のステロイド事件当時と同じになってしまった。前を向いて歩く様にしなくては・・・。

悲しいのは私だけではないらしい。

毎日肩を組むなどペッタリと張り付いて寝ていたサムちゃんも相棒を失って不安定な毎日を過ごしているらしい。やたらに大声でわめき散らすのでナッチャンの代わりに私がしっかり抱きしめて過ごしている。甘えん坊のサムが更に甘ったれになって困る。

今まで十数年もの間、私の帰宅時には必ずナッチャンが玄関に出迎えてくれたのだが、ナッチャンがいなくなった途端に愛ちゃんが玄関に迎えに来てくれる様になった。
ナッチャンの永眠時には声をあげて泣いてしまった私の異変を見た2匹の猫が驚いた様子でじっと私を見つめている姿に気づいた私の方が驚いた。この子達は単なるペットなどではなく家族なんだ・・。

取り分けナッチャンは何でも承知していた、工夫も悪戯もしながら「ママは怒ってる？」と私の顔色を見る姿は可笑しいやら可愛いやら・・。
少々の事は気にせず動じない平生さのあるナッチャンだが、あまりに度を越すサムのパンチには毅然と睨みつけたり反撃する男らしさもあった。


掃除機をかけているママの背中にジャンプして、そのままオンブするのも好きだった。


思い出はたくさんある。



猫なのに犬友達が沢山いて時々「ナッチャン遊ぼう！」と
門前で声をかけられていた。
さくらちゃんとジロくんが来てくれたのに、
「今、寝てるところだからダメなの～」と
意志のはっきりしている猫。
人懐こくて物怖じしないナッチャンなので大きな犬でもみんな友達でした。






いつまでもナッチャンとの惜別にメソメソしていたら、具合の悪かった愛ちゃんの嘔吐が酷くなった。
慌てて新しい獣医さんに行った・・だが苦いお薬を飲ませるのに大格闘。
横浜の先生に苦くないお薬を送って頂いてまた助けられています。




この２階のフラワーボックスから
一階の軒に飛び降りた
勇敢な男のナッチャン











昼寝は誰にはばかる事もなく
堂々と好きな場所で
グーグー寝る男ナッチャン








いつも明るい話題を
まき散らしてくれた
屈託のないナッチャン






沢山の想い出をありがとう！