ばあちゃんは、調子悪いので今日は点滴をしに行く。QOLのためのものか、抗がん剤なのかわからないが、ばあちゃんが先生から聞いているのを信じておけばいいと思う。われわれが、先生にどういうものなのか聞きに行く必要がないと感じるのは、ばあちゃんのようすから判断できるからだ。お母ちゃんは、ばあちゃんに、治すようにしっかり食べなければと強く言う。実は一番心配していることもよくわかる。空が、食べれなくて吐いてしまって最もやせてきつかったころに、食べなければと言っていた状況とはずいぶん違う。放射線がはじまってしばらくしたころだと思うが、やはりつるつるのスキンベッドで毎日ゲボゲボしていた。栄養補給の点滴のために入院していたようなものだったので、食べれると通院にできるという目標もあった。今思い出すと、かなり強引に退院して通院にしてもらったものである。毎日通院する車に、ゲボ用袋とティッシュごみ箱をセットしていた。吐き気止め座薬もよく使った。ガタガタとならずに、結果がよい方向へ出たからよかったが、もしさらに体調が悪くなっていたら大変なところだったのだろう。当時の認識は非常にあまかった。