始まりに向かって

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アフリカ・ドゴン族の“見えないシリウス星”

2009-02-15 | その他先史文明

アフリカの“未開民族”が、昨今観測されたばかりのような天文学上の事柄を古くから伝承しているという話を以前聞いたことがありました。

ロバート・テンプルという人の書いた「知の起源・・文明はシリウスから来た」を読んでみましたので、少し紹介してみたいと思います。

前回のインカ帝国のレムリアを通り越して、シリウス星まで行ってしまいましたが、行きつ戻りつ、さまよってみたいと思います。

書名にあるように、“知の起源”はいまだ明らかにされていないのですから、これも一つの仮説であり得ると思います。

以前何回か紹介したホピ族の伝承と重なる部分もあるように思われ、比較検証してみたいとも思っています。


         *****


ドゴン族に関する調査を開始した私は、フランス人の人類学者マルセル・グリオールとジェルメーヌ・ディテルランとの「スーダンのシリウス星系」と題する論文を発見した。

この論文はシリウス星系について膨大な知識を有するドゴン族についての人類学的報告であったが、当初筆者はその内容を信じることができなかった。

そこには未開の部族が知るべくもない知識が含まれていたからだ。

ドゴン族はシリウスBを天空における最も重要な星と考えていた。

シリウスBを肉眼で見ることはできないが、ドゴン族自身もそれが見えない星であることを認識している。

それではどのようにして彼らはシリウスBの存在を知ったのであろうか。

彼らは「シリウスBは単に見ることができないだけなのだ」という。

下の図はドゴン族の描いたシリウス星系。


ドゴン族にとっては、大きくて明るいシリウスA(主星)よりも、ちっぽけなシリウスBの方が重要であるという。

彼らはシリウスBの軌道を楕円形と考えており、シリウスAはその焦点の一つであるというのである。

おどろくべきことに、ドゴン族の描いた図に示される天体の動きは天体の運動に関するケプラーの法則にあてはまっている。



上の図はシリウスBの描く軌道とシリウスAについて、現代科学による天体運行図とドゴン族の描いた図を並べて掲載したものである。

ドゴン族はシリウスBの公転周期が50年であることも知っていた。

グリオールらはドゴン族の秘儀(=シギ)に言及した箇所について次のように記述している。

「公転周期は2倍、すなわち100年に勘定される。なぜならシギは双子星の原理を表現するために双子を二人一組で召喚する儀式だからだ。」

「天空で最も小さな星が最も重い星である。ディジタリア(と名付けられている)は最も小さく、最も重い星だ。この星はサガラという金属で構成されていて、輝きは鉄よりも 明るく、地球上の生物が力を合わせても持ち上がらないほど重い。」

実際シリウスBは白色矮星であり、地球上には存在しない超高密度の物質で構成されているのである。


彼らは惑星が太陽の周囲を公転していることも知っていた。

ドゴン族は惑星のことをトロ・タナザと呼ぶが、これはなにかの周囲をまわっていることを意味する。

その中心が地球ではないことは、彼らが「太陽の周囲をゆっくりと回りつつ、木星は金星の跡を追う」と表現していることからも分かる。

ドゴン族の居住地近くの洞穴には、祭壇や石組などで、金星の位置を指し示す金星運行表が存在するが、これは金星暦を作成するためのものだ。

彼らは4種の暦を使用しており、うち太陽暦、金星暦、シリウス暦は儀礼用、太陰暦は農耕用である。


「天の川は「星が渦巻く世界」に属する螺旋状の星々であり、地球も「星が渦巻く世界に存在している。

「星が渦巻く世界において、星々の回転軸(=アンマの熊手と呼ばれる)は北極星とつながっている。」


ドゴン族の知識によれば、天の川は太陽系の惑星よりも「遠く離れた星々」である。

宇宙は無限の星々と星が渦巻く世界で構成されているというのだ。

「ビールを醸造する場合と同じく、宇宙の創造においても発酵は重要な過程であった。

生命の発生は発酵に似ている。
創造が行われたとき、多くのものが創造主アンマの内部で発酵した。

アンマは回転し、踊りながら、星が渦巻く世界を創造した。

アンマにより、宇宙は序々に実体化し、星が渦巻く世界が序々に形成されていった。」


創造主アンマによる宇宙の創造と関連して、ドゴン族は宇宙のあらゆる場所に知的生命が存在する可能性を肯定している。

「星々が渦巻く世界には生物が住んでいる。

というのは、万物を創造するにあたり、アンマは世界に形と、動きと、生命を与えたからだ。

我々の星以外にも、生物の住む“地球”は存在するのだ。

すなわち第4の地球に我々人類が存在し、第3の地球には角を持つ人、第5の地球には尾を持つ人、第6の地球には翼を持つ人が居住している」

というのである。

ドゴン族は恒星や惑星の集合体である星系を表現する上で“胎盤”という言葉を使っている。

たとえば太陽系は「オゴの胎盤」、シリウス星系は「ノンモの胎盤」と呼ばれている。

胎盤の中における天体の運行は本物の胎盤の血液循環にたとえられ、天体自体は凝固した血液と表現された。

この比喩は他の天体について表現する場合にも用いられている。

たとえば天の川は血の通り道であるし、惑星や衛星は循環する血液と血液中を流れる種子にたとえられている。

また、シリウス星系の地球は「清浄なる地球」、そして、太陽系の地球は「不浄なる地球」と表現されている。

シリウス星系は「魚の国」と呼ばれ、その住人であるノンモ(シリウス人)が地球に降り立った日は「魚の日」とされる。

ドゴン族の伝承によれば、ノンモ(シリウス人)の故郷は「魚の日の清浄なる地球」であり、わたしたちの不浄なる地球ではないという。

わたしたちの地球は「オゴのへその緒が胎盤についていた場所」であり、それゆえに「オゴの最初の降臨」を思い起こさせる場所である。

つまり、地球とはオゴと太陽系とをつなぐ結節点なのだ。

そして(キツネに表象される)オゴとは地球に出現した不完全な知的生物、人類のことなのである。

オゴとは宇宙の吹きだまりに住む私たちのことであった。

オゴは創造された時点で謀反を起こしたため、不完全な状態にとどめられたという。

この伝承は堕天使ルシファーの物語に似ている。

ノンモ(シリウス人)はふたたび帰還するという。

「星」が再び現れた時、それはノンモ復活の標(しるし)となる。

ノンモがはじめて地球に降り立った時、彼らはキツネを粉砕し、キツネの作った地球を将来的に支配することを約束した、とされる。

ノンモはオゴを破壊しつくし、文明の礎を築いた。

未開と文明が混淆する中で、どうやら人類は自らの内なるオゴと闘っていたようである。


  (ロバート・テンプル著並木伸一郎訳「知の起源・文明はシリウスから来た」より抜粋 )


      *****

wikiシリウスより

古代エジプトでは、ナイル川の氾濫時期を知らせてくれる星として、非常に重要な働きをしていた(エジプト神話・ナイル川を参照の事)。
オリオン座α星ベテルギウス、こいぬ座α星プロキオンとともに冬の大三角を形成する。
シリウスはシリウスA及びシリウスBの2星からなる実視連星である。かつては一つの星と考えられていたが、1844年にフリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセルが軌道の揺らぎを観測し、伴星の存在を推定。のちにシリウスBと呼ばれるその伴星の姿は1862年にアルヴァン・グラハム・クラークによって初めて観測された。
実視連星といっても、主星(シリウスA)と伴星の光度差が極めて大きく、また近くにあるため、伴星が主星の光で遮られてしまい、小さな望遠鏡で伴星を見るのは無理である。なお、伴星シリウスBは最初に発見された白色矮星である。


wikiマルセル・グリオールより

マルセル・グリオール(Marcel Griaule、1898年5月16日 エジー=シュル=アルマンソン - 1956年2月23日 パリ)は、フランスの民族学者である。ドゴン族の研究で知られる。
ドゴン文化に密着し、とくにコンゴ・サンガ地方(Sangha)のタマネギとピーマン栽培用の潅漑ダムの建設を励ましながら地域の発展に寄与した。
民族誌学に関係して、重要な貢献のひとつは、ドゴンの宇宙発生論が、西洋のいくつかの宇宙発生論とすくなくとも同じくらいには重要であるというデモンストレーションをした。しかし、ドゴン族の宇宙認識における西洋の影響を過小評価しているとひどく非難されることとなる。アフリカの伝統的葬儀を研究した稀少な民族誌学者のひとりである。
1943年から1956年の彼の死まで、パリ大学ソルボンヌの教授(民族学筆頭)をつとめた。『ユニオン・フランセーズ L'Union française』誌の顧問でもあった。1940年からは、『ソシエテ・デ・アフリカニスト Société des Africanistes』誌の事務局長をつとめていた。


Wiki白色矮星より

白色矮星(はくしょくわいせい、white dwarf stars)は、恒星が進化の終末期にとりうる形態の一つ。質量は太陽と同程度から数分の1程度と大きいが、直径は地球と同程度かやや大きいくらいに縮小しており、非常に高密度の天体である。シリウスの伴星(シリウスB)やヴァン・マーネン星など、数百個が知られている

写真は同著より。
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