始まりに向かって

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ホピがやって来た、4回目の世界

2008-12-20 | ホピの宇宙神話・伝承・祭
30人の長老たちの話をまとめた本「ホピ・宇宙からの聖書」によると、現在の世界すなわち四回目の世界は、以下のようにして始まったということです。

ホピインディアンは過去三回の世界の始まりと終わりの記憶を鮮明に持ち続けているため、四回目の今度こそ、失敗してはならないと、人間がこの世に生を受けた意義を忘れず、彼らの大いなる守護者との約束を果たそうとして、力の限りを尽くします。


     *****


「別れる前に言っておかなければならないことがある。」
ソッツナングは、第四の世界の岸辺に立っている人々に向かって言った。

「この第四の世界は完全なる世界である。
その理由はいずれわかるだろう。
かつての世界ほど美しくも、楽でもない。
高いところや低いところ、熱と寒さ、美しいところと荒れたところがある。
あなた方に選びとれるすべてのものがここにある。

あなた方がなにを選ぶかが、創造の計画を今度こそ遂行できるか、あるいはいつの日か再び世界を滅ぼすかを決定するのだ。
さあ、あなたがたは別れて違った道を進み、地のすべてを創造主のために所有せよ。

あなた方どの集団も星のあとを従うように。
星が停止した場所があなた方の定住する場所である。

行きなさい。
あなた方は善霊から助けを得るだろう。
あなた方の(頭頂の)扉を開けたままにして、わたしが語ったことをいつも憶えておくようにしなさい。」

こうしてかれは姿を消した。

人々が岸辺から離れ、内陸へと入っていくと、低い風の音がまた聞こえた。
あたりを見回すとハンサムな男が目に入った。
「あなたですか、音をたてたのは?」
男は答えた。
「そうだ、あなたがたが道を探せるよう、わたしが音をたてたのだ。
わたしがわからないか?マサウだ。
この陸地の守護者、世話役である。」

人々はマサウを知っていた。
この世界で出会った最初の存在だったため、人々はマサウを尊んだ。

「わたしたちの指導者になっていただけますか?」

「それはできない。
わたしより偉大なお方が、あなた方に果たすべき計画を与えているのだ。
前の世界が海中に没した時に、この新しい陸が突き上げられて地球の背骨になった。
あなた方がいるのはその西側斜面だ。

しかしまだ移住は始まっていない。
あなた方はまだ、星を追って定住する場所に辿り着く旅を始めていないのだ。
わたしが指導者になる前にそれを終えなくてはならない。

あなた方がまた悪しき道に戻るならば、わたしは大地を取り上げてしまうだろう。
わたしが世話役で守護者だからである。

北に行くと寒さと氷に出会うだろう。
そこはこの陸地の裏門にあたる。
この裏門を通って入ってくる者たちは、わたしの許可を得ていない者たちだ。
さあ、行ってわたしの許可によって土地を求めなさい。」

マサウが消え去ると、ひとびとは集団に分かれて移民をはじめた。

「また会おう」とかれらは互いに呼びかけあった。
われらが第四の世界は、こうして始まった。
その名はツワカキ、完全な世界である。



      *****


こうして彼らの旅は始まりました。
大いなる者は人々に、星を追って移動する旅を命じました。
人々は動く星に導かれ、西に東に地の果てまでの旅をすることになりました。

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