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「へンくつ日記」

日常や社会全般の時事。
そして個人的思考のアレコレを
笑える話に…なるべく

映画「おじいさんと草原の小学校」を観る

2011年09月20日 00時34分39秒 | Weblog
 
英映画「おじいさんと草原の小学校」
(原題 The First Grader=一年生 )を観る


1952年、イギリスの植民地だった東アフリカ
(現・ケニア共和国)で最も人口の多かった
民族キクユ族が、「マウマウ団の乱」と呼ばれ
る武力による民族主義運動を起こした

だが、圧倒的武力を誇るイギリス側は、彼等を
制圧し、従わない者の妻子を虐殺し、更に拷問
を重ね、見せしめのため収容所に送った

その「マウマウ団」の戦士の中に、実在の人物
で、この映画の主人公キマニ・マルゲ(1920~
2009)さんがいた
この映画は、彼の真実の話である

イギリスへの反乱から13年が過ぎ、ケニアは
独立を勝ち取った。だが、その間に、あまりに
多くの人命が失われた。マルゲさん自身、拷問
による体の傷と、目の前で愛する妻子を殺され
た痛みを抱えたまま、独立後はケニアの片田舎
で小さな畑を耕しながら暮らしていた

それから40年後のある日、彼は、「“全国民”
に無料で教育を授ける」という政策を政府が
発表したのを知る

マルゲさんは無学だった。文字が読めなかった
子供の頃は貧しく教育を受けられず、青年期は
独立のために戦い勉強どころではなかったのだ
その為、最近になって政府から届いた「意味不
明」な書類も読むことが出来ない

国の独立のために戦った自分も、きっと「全国
民」のうちに入るはず…。学校に入り文字を覚
えて、政府が送ってきた、この意味不明な書類
を読んでやろう。そう決意した彼は、出来たば
かりの無料小学校の門を叩いた…

だが、小学校は子供のためのもの。80歳を過ぎ
た老人を受け入れる余裕は無い。若き女性校長
は、彼を気の毒に思いながらも、入学を断る

さて、映画は更に続くが、実際にマルゲさんは
2005年の9月に、NYで開催された「国連ミレ
ニアム・サミット」で、全ての子供に、読み書
きを教える初等教育の無料化を訴えている

読み書きは、教育の大事な一歩だ。その一歩が
やがて、千歩になり万歩になり、限りない知性
の海へと繋がる。それは、教育の最たる目的に
近づく緒となるに違いない。その教育の最たる
目的とは“人権の尊重”であり、その本質とは
“生命の尊厳”だ。そして、それを教えるのが
教育の本来の目的なのだ。この普遍なる哲学は
万人に共有されなければならない。そのために
は、何より本当の教育が必要なのだ

映画の中では、無学なマルゲさんも、その目的
に薄々気づいていた。それは、次のセリフから
読み取ることが出来る

背中の無数のムチの傷跡を高官に見せた後に彼
は言う「我々は過去から学ばなくてはならない
そう、子供には良い教師による良い教育が必要
だ。二度とこんな傷を負わせないためにも…」



世界の不幸の根源は、貧困と憎悪の連鎖だ。そ
の根底にあるのは、「人間を人間と見ない矮小
化・間化」だ。子供をテロの自爆の道具に
使う集団の構成員は、「自分たちだけ」という
偏った教えだけで生きてきた無教育の輩なのだ
“自分”以外は人間以下、家畜同様と思ってい
る。他人が苦しもうが死のうが関係ないのだ

多国籍企業は、自らの成長と生き残りのために
森林を伐採し公害を撒き散らし、現地の人間を
安い労働力でこき使い、貧困のスパイラルをな
んとも思っていない。彼ら労働者の子供が、今
日は何も食べていないとしても、歯牙にもかけ
ない。アメリカ政府は、誤爆でアフガン女児が
死のうが、全く気にしない。彼らもまた「自分
だけ」思想の無教育の輩だ。仮にハーバード大
を主席で出ていたとしても…

自分や家族と同じく、身の回りや地域の人たち
そして自国民や他国民、他宗教の人たち全員に
食べる・学ぶ等の人間として尊重されるという
人権があり、それを互いに守らなければならな
い。そして、どんな人間の命も、大事な大事な
掛け替えの無い宝物なのだ、という思想を教え
ることこそが、真実の教育なのだ
その教育は、人種・貧富・学歴・地位・家柄
宗教・性差・健常者か否か、ましてや醜美で人
を判断することの愚かさを教えているのだ

マルゲさんの思う教育とは、本当はそういう
ことなのだと、映画を観て思ったのだった





“級友”と仲良くカメラに収まるマルゲさん
彼は90歳で亡くなるまで、学び続けた
「将来は獣医になる」という夢を持って…
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