Cafe & Magazine 「旅遊亭」 of エセ男爵

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気儘な旅人の「三文オペラ」創作ノート

長編小説「フォワイエ・ポウ」(第34回連載)

2006-06-01 10:38:45 | 連載長編小説『フォワイエ・ポウ』
<添付画像>:(Yahoo 日本タレント名鑑より「長渕剛」)

* ますます円熟味とオトコの色気をかもし出す「a Nice-Guy Mr. T. Nagabuchi and also "The DANDY GUY"!」。不肖・エセ男爵ブログの「シリーズ・世界のダンディー」に投稿したいくらいである。尚、長渕君とは違ったジャンルのダンディズムを誇る玉置浩二氏の資料、取り急ぎ探したものの、この大きさの拡大画像に適する資料が見当たらず、画像掲載不可にて誠に残念です。最近なぜか、たぶん、動画+音楽素材(CD & DVD etc.)が巷に溢れているゆえ、往年の「有名人ブロマイド文化」は衰退。イザ、良き写真画像を見つけるとなると、何故か皆無に等しい。
静止画像=『魅力の一瞬・瞬間』を切り取った静止画像も、捨てたものではない。むしろイメージを焼き付けるには、静止画像は動画よりもベターである。嗚呼、悲しく、寂しく、味気のない殺伐たる世の中になったものだ・・・)

以上、エセ男爵的「無駄口」なり。


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* 長編小説『フォワイエ・ポウ』の過去掲載分、「全33回」、、(ご参照希望の方、こちらから入れます!)

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長編連載小説「フォワイエ・ポウ」6章
      
                    著:ジョージ青木

マナーと店の方針(3)

4月と9月、年に2回、転勤の時期ともなれば、サラリーマン連中の歓送迎会の2次会専門の店になる。はたまた結婚披露パーティーの2次会会場に指定される。
客の4割は大学生であった。H大学の宮本と清水の来店が切っ掛けとなり、大学生の溜まり場所なった。必ず毎月1度は団体で押し寄せる。しかも3次会と称して繰り出してくるのだから、来店は遅かった。早くて10時半。ほとんどの場合、夜中の12時過ぎてから20名以上、狭い店になだれ込む。自然発生的にカラオケ大会が始まり、1人が2曲歌って4~50曲になる。1曲を歌い終わるに3分平均として、全員が歌い終わるまで150分かかるから、一回りして全員のカラオケ終了は午前3時前後となる。しかし、ほとんどの場合、それで終わらない。たびたび朝の6時過ぎまで頑張ることもあった。学生には、いや、彼らには時間の観念がない。さすがの本田も、これには業を煮やした。通常使用しない有線放送を繋ぎ、NHKのラジオ体操の音楽をかけ、店から離れようとしない、一向に帰ろうとしない学生に「オヒラキの催促」を促した事もあった。さすがに「エヌ・エイチ・ケイ朝のラジオ体操」の曲を聴くと、なぜか小学校時代の気分に帰ってしまって酒を飲んでいることに違和感を抱く学生もいた。そんな学生客は全員、本田に対しては従順であった。しかし、本田は決して彼らに対していやな不機嫌な顔を見せたり、彼らに対して命令口調になるような言動はとらなかった。しかし顧客である学生の方から、本田マスターの立ち居振る舞いを察していた。

こうしてフォワイエ・ポウにカラオケを導入した後、たしかに顧客が増えた。

あいかわらず日曜日も店を開けた。
ほとんど毎週、日曜日は竹ちゃんが顔を出す。
大手自動車メーカーの製造現場に勤務する彼は、あいかわらず夜勤専門の勤務シフトだった。彼の現場は、近ごろになってようやく週休2日制になったとのこと。日曜日の竹ちゃんは、あいかわらず市内の繁華街の夜の巷に出没し、ささやかな自由と彼独自の青春を堪能していた。フォワイエ・ポウには必ず顔を出していた。
「日曜の夜は、俺にとってかけがえのない時間です。俺は、油まみれの工員ですが、そんな俺が、現場の整備工場からこうして完全に脱出できる時間は、日曜の夜なのです・・・」
「俺にとって、この場所は別世界なのです」
「・・・」
「フォワイエ・ポウという異次元の空間で、マスターにおいしい洋酒を勧めていただく。おいしいお酒に出会える。そして思いっきりカラオケが歌えるなんて、今の俺には最高の幸せです」
まさか、竹ちゃんの口から出てくる言葉とは思えない熟語に、本田はいささか驚いた。
「何だって?『異次元の空間』とは?竹ちゃん、よく言ってくれた。どうもありがとう。当然、良い。好ましい空間、という意味だよな?この意味は・・・」
「マスター、その通りです。よい意味なのです」
「異次元の空間とは良くぞ言ってくれた! 竹ちゃんよ、どこでその言葉、覚えたの?」
「あ、なにか、小説を読んでいるとき使ってあった言葉だったかな・・・」
「いや、たいしたものだよ。竹ちゃん。近ごろ本読んでいるのだ。いいな~ 本を読む。いいことだね、勉強しているんだな・・・」
「あ、いや、恥ずかしいです」
ここを異次元の空間として評価してくれる竹本に対し、わずかに本田は快感を覚え、カウンターに腰掛けている竹本を目の前にして、また本田流の独り言をつぶやいていた。
「竹本青年が、少しずつ大きくなっている。頼もしくなっているから、うれしい出来事だなあ~・・・」

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見違えるほどに明るくなった竹ちゃんは、カラオケ大好き人間であった。しかし、他の客がいる前でのカラオケは、彼は控えていた。
「だから、日曜日がいいのです。日曜日はお客さんが少ないから、俺がカラオケを歌える。歌っても恥ずかしくないから」
「何言ってるの、竹ちゃん。君の歌なら、ウイークデーのお客さんの多いときに是非歌って欲しい。カラオケ上手だよ、竹ちゃん」
「そうですか?」
「ウム、特に『たまきこうじ』の歌は、フォワイエ・ポウでは最高ランクに位置する。竹チャンが一番! あなたの右に出る人は、いません。是非一度ご披露願いたいな~」
お世辞ではなかった。本田は、お世辞を言える人間ではない。
「でも、恥ずかしくて人前では歌えないです・・・」
本田がリクエストすれば竹ちゃんは大喜びし、何曲も連続して歌った。長渕の「カンパイ」を歌えば『侘び寂び(ワビサビ)』正しく、「トンボ」の場合は完全に自分流にアレンジして、2~3種類の違った雰囲気で歌いこなす芸当をやってみせた。酔えば酔うほど竹ちゃんの歌はプロ並みに旨くなり、味が出た。
しかし長渕の歌は、前座であった。
多からず少なからず、一定量のアルコールが、竹ちゃんの脳細胞全域に行き渡ってくる。竹ちゃんの身体の細胞全体に、アルコール濃度が「とある限界」に達すると、そこでようやく竹ちゃんの「十八番」が出る。
「玉置浩二の歌はほとんど全部、自分の好みです!」
と、言いながら、
カラオケの本に載っている曲は、ほとんど全曲こなせた。玉置の大フアンであり、彼のパーソナリティーあるいはキャラクターに、とことん憧れていた。

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そんな竹ちゃん流カラオケ独演会が一通り終了した頃、勢いよく店のドアが開き、元気に女性が入ってくる。
「こんばんは・・・」
見たこともない若い女性客2名、しかし、常連客以上の立ち居振る舞いである。ズカズカと店に入ってくるではないか!
「いらっしゃい!」
本田は、彼女達の元気のよさに合わせて声を出した。本田はいつもより大きな声を
出して迎え入れた。(・続く・・)

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<追記>: 本日、全体の文字集を読みやすい数量にするため、小説の流れとしては「流れを止めたくない所」で切ってしまった。是非続けて読み進めて頂きたく、したがって明日連続連載いたしますので宜しくご了承願います。(明日6月2日金曜日、掲載予定です・・)



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10 Comments

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もしかして… (yuyu)
2006-06-01 16:05:02
私がコメント一番乗り~って、ちょっと喜んだりして(。≧∀≦。)

今日の記事、何故に長渕剛?って思いましたが、記事を読んで納得です。

おっと、出かけるんだった(^^ゞ

それでは応援ぽちっ♪
返信する
朝までかぁ。 (tono)
2006-06-01 17:31:54
若かりし頃やったなぁ!今は無理、寝てしまいます。



歌の上手い人居ますよね。本当に!

道間違えてない?って位の人。

そして、上手なのにはにかみやの人。

私は、下手なのに図々しいかもしれないなぁ?



うわっ!残念

続く。。。。



金曜日夕方から、バイクの「トライアル世界選手権」の観戦に行きます。

博多から茂木まで総行程2,600Km。日本も広いです。ガンバ My HIACE。

戻りは月曜日夕刻予定。



移動中&現地は、携帯で読む事にしよう。

返信する
長渕は (刀舟)
2006-06-01 18:19:10
私が邦楽で聴くわずかな中の1人です。

書き出すと長くなるので書きませんが…



長くなると言えば、確かに若いときは、

朝まで平気で飲みました。

麻雀も同様です。

徹夜で仕事に行く事もありましたねー。

今そんなことをしたら・・・

倒れます。



ところで、竹ちゃん。

少しずつ、自信をつけつつあるのでしょうか?



>竹本青年が、少しずつ大きくなっている。



この感覚は、私が生徒に持つことがある感覚と同じでしょうか?

生徒の成長は、何故だか嬉しいものですから。

本田さんも、似たような感覚なのかなと思ってしまいました。



それから、新しい女性客2名。

今度は一体どういう人物なのでしょう?





返信する
Unknown (TS@捻くれ者)
2006-06-01 18:28:14
竹ちゃん。

だいぶ自信がついたようですね。

普段の仕事でも自信をつけてれば更にいいですね。



声が綺麗だった「巡恋歌」時代の長渕剛は好きでした。

当時長渕剛は「親子ゲーム」等親子、家族がテーマの和ませてくれるテレビドラマに出演してました。

何作か撮影しましたが撮影場所が私のジョシングコースである堀切でした。

堀切といえば金八先生の撮影場所で有名ですが地元では長渕ドラマでも有名な場所です。
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桜島!! (kenbou-7)
2006-06-01 20:32:27
でた…剛!!



『それでもこの国をたまらなく愛しているから』…だったっすかね??



Close Your Eyes …名曲です。



あと…『家族』もいいっすよね…。。。



『白地に紅い日の丸…』…もう言葉はいりません…最高!!!



ポチ。
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yuyuさん・・ (エセ男爵)
2006-06-02 20:35:56
コメントありがとうございます。

しかも、お出かけ前!

そんな律儀なyuyuさん・・・

コメントバックせずして「本日(6月2日)記事更新」、大急ぎで見回りします。
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tonoさん・・ (エセ男爵)
2006-06-02 20:42:33
コメントありがとうございます。

いや今週の頭は「これに近いもの」がありました。

朝までではなかったのですが・・・

その実、参りました!



歌のうまい人。

いますね~~~~~

職業を代えてもいいのではないか?

と、思わせるほどに!

しかしその類いの人物、一様に「月謝?+授業料」払ってますよ!

tonoさんも、適宜その旨のお支払い、しておられるのでしょう?

私ですか?

たったりまえですよ~~~~~・・・・・・

「・・・!」

家がもう一軒建つくらい、しっかりと払っています。

ですから、フランク支那寅は、コンディション(気分とその日の喉の調子)さえ良ければ、ステージに立てますよ!

>バイクの「トライアル世界選手権」の観戦に行きます。博多から茂木まで総行程2,600Km・・・・

私も、観戦したい、オフロード見たことない、みたいなあ~~~・・・

殿下の仕事が羨ましい!

もう走っておられる頃ですね。

おきをつけて!!!!
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刀舟さん・・ (エセ男爵)
2006-06-02 20:48:09
コメントありがとうございます。

長渕の「Kanpai」は、インドネシアではすでに現地の名曲です。日本の歌だとは解っているらしいが、Mr. Nagabuchiが(最初に)歌ったったのかどうか?そんなことは一切関係ないようでして・・・

ことごとく「徹夜」は苦手です。

でも、仕事ならば仕方がない。

飛行機の中で、(特に昔のヨーロッパ線)難解も鉄や状態でした。

今は?

もう、だめです!

ひとえにご勘弁を・・・



竹ちゃんの成長。。。

若者が成長するプロセスを見ること。

今でも大好きです。
返信する
TSさん・・ (エセ男爵)
2006-06-02 20:51:39
コメントありがとうございます。

長渕、大好きです・・・

正直言って、ここに載せた映画とか最近の長渕の声、肉声、全く15年間、聴いていません・・・



竹ちゃん、

普段の仕事も「一段と成長」するでしょう。

その「模様・様」を、描きたいと思います。
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kenbou-7さん・・ (エセ男爵)
2006-06-02 20:55:22
コメントありがとうございます。

やっぱし、

長渕!

お好きなのですね!!!!

よかった。。。。



そして、



>Close Your Eyes …名曲です。



>あと…『家族』もいいっすよね…。。。



>『白地に紅い日の丸…』…もう言葉はいりません…最高!!!



以上、TS隊長のコメントにも書きましたとおり、何も知らない・・・

恥ずかしい!

そして、

kenbou-7さんのコメント頂いて、あらためてこのあたり、復習します。

また、kenbou-7さんに教わった!!!

うれしいです。。。。。。。。

教えていただいて、たいへんありがとうございます。
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