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光陽展「広島展」によせて (2/6) 『ワインの香り』光陽会賞・受賞作品・・

2006-06-07 13:48:25 | 怒素人的美術蘊蓄録
(添付画像:光陽会広島展・「ワインの香り」)

<作品画像紹介>

 作品番号: 66
 作者氏名: 花 岡 寿 一
 作品題名: 『ワインの香り』
 受賞名:   光陽会賞
 住 所:   広 島

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 会場入り口、右回りにて約10メーターの位置に展示されていた作品。最初に目を引いた作品である。なぜか?どこかで見た絵画作法?
 「ウム、たしかに以前、この作品技法は強く我輩の『記憶と印象』に留めていた作品に似ているぞ・・・」
 と、思いつつ、まずは通り過ごした。

 何しろ出展作品総数は120作品に及ぶ。
 一作品一作品の鑑賞に例えば30秒を要したとして、総計3600秒。すなわち60分(1時間)を要する。さらに要所要所の作品に目を奪われば、総計2時間必要。且つ、これでも事は足りなくなる。そんな発想と邪念、手抜き的妄想を脳裏に巡らせつつ、約1時間半少々で会場を一周し終えた。
 「嗚呼~、こんなに神経使って絵画作品を鑑賞する?」
 「未熟者にして若輩者による芸術鑑賞たる行為(愚行?)は、かくも神経消耗なり。さすがに歩き疲れた!さて、どうしたものか?」
 等と、
 ちょうど会場入り口から最初の「休憩椅子?」の設置場所に、ドッカリと腰をかけた。とりあえず足を伸ばす。急速に喉の渇きを覚える。外出時には身の回り品を放り込んで持ち歩くバッグの中から、おもむろにミネラルウオーターのペットボトルを取り出し、一口吸引、且つ一呼吸する。

 「せっかくの光陽展の広島会場、もう一回りするか、どうか?」
 
 「未熟者にして不覚にも、『見落とした優秀作品』は?無いのか?これでいいのか?・・・」

 もう一回りすると、またもや小1時間はかかる。面倒だ(足が棒になりつつある・・・)。もう十分だ(だろう)。このまま会場から退散したい。しかし、悔いは残らないか?あれこれ考えながら、まずは一呼吸於いて退散する事に決定する。
 
 そんな時、あらためて目前に展示ある「この作品」が目に入った。

 「そう、この作品は、最初っから気になっている作品。悠々さん作品を始めとして、(事前許可を得た上で)5~6作品の撮影を済ませたが、もう一つ、この作品も撮影しておこう・・・」
 等と、さりげなくデジカメのシャッターを切った。

 一夜明けて日曜日(6月4日)、もう一度県立美術館に出向きたい気持ちになったが、昨日の「光陽会展示場」回遊徘徊強行作戦実行の疲れが、ドット出た。ならば会場に出向くかわりに、昨日撮影したデジカメの中の「作品集=5~7点」をチェックし、「出品目録」と照合し、じっくりと「回想する一日」にしよう。と、試みた。

 な、何と、撮影した作品のほとんど全て、受賞作品ではないか!

 過去、現在共に、美術鑑賞に対する自分自身の「鑑賞眼」を疑っていた。が、あらためて我が審美眼のレベルに(いささか)自己満足する。
 
 そして、本日紹介作品「ワインの香り」、紛れもなく「光陽会賞」受賞作品ではないか!
 しかも、画面全体に施されている刺繍の如くに繊細な作風の第一印象からして、てっきり女性である。と、思っていたら、作者は何と、男性ではないか! かくして2度、驚いた。

 書斎書棚の奥の奥から、美術史関連の蔵書を引っ張り出した。
 看た。
 やはり存在した。
 これ、「グスタフ・クリムト」の技法とよく類似している。(添付資料、参照下さい・・)
 しかし、我輩、クリムトの技法と作品は否定せず。陶酔するほどの耽美さの表現に華麗な技法を愛でるものの、作品全体から発散してやまない動物性香気にしてエロティシズムの極致的表現と(私的には)受け止められ、さほど関心しない。
 むしろ嫌悪する。
 理由は、「官能的表現」を旨とする作家である。描かれている女性はすべからく「美人にして美形」。しかし、我輩の傾倒する清楚な女性の美しさを感じさせるものは「その欠片」もない事、憤懣やるかたない。もって、我輩の尺度からすれば、クリムト作品は「卑猥」である。

 にもかかわらず、この作品「ワインの香り」はすばらしい。

 描かれている女性から、故クリムト画伯の(好んで)描かれている美女から漂う動物的香水「麝香」もどきの饐(ス)えた濃厚なる「卑猥」な悪臭は臭って来ない。
 ワインの香りと共に漂ってくる「香り」は、あくまでも動物系香水のソレではなく、植物系柑橘系の「芳しき香り」であった。

 清廉にして甘美な「香り」、この作品全体から漂ってくる。

 (クレムト作品の特徴なる)金箔貼り付け風味、布切れ貼り付け的「クリムト的作風」を、この「ワインの香り」作品から感ずる場合、けっして華美ではなく清楚で、極め細やかな刺繍を連想させる「この作品」の全体像。作品左上に配置されている「犬」(猫ではなかろう・・)、動物と共に配置されている静物「各種果物」と右上部の「活け花」、ワインを眺める女性の「おだやかな表情」、ワインの入った手元の「グラス」、天井部から照らし出された女性の膝元、これにて全てのバランスは整う。クレムト作品とは大なる違いは何処なり!を、凝視すれば、違いは歴然なり。 「情操表現」に相違あり。
 結果、敢えて「濃密な表現」を避けられ構成された「絵画構図」がすばらしい。
 本論にして最重要事項なるポイントは、「描かれた女性像」。
 描かれた絵画の上部からスポット乃至、天窓から射し込む「光源」により、ワイングラスと清楚な女性の腕を照らし出す。光源なるスポットより照らし出された女性の腕の肌の表現は、清らかにして成熟した「女の魅力」。作者は我々鑑賞者に対し、その微細な「女の表現」にトドメを刺されている。女の表現技巧は微細繊細にして行き届き、なぜか心憎い。これを以って作者は、完璧なまでの、男の「ダンディズム」と、女の「エロティシズム」の境地を「熟知された上」での表現は見事にて、受止める側の我が感性、これにて相違なし。
 「ワインの香り」の作者、ここに至れば、完全にお洒落を通り越した日本的「男の粋」に加え、西洋風「ダンディズム」を十二分に理解された「男の美学」を心得ておられるはず・・・

 まさに男の美学、その核心追求研究者の「権化」なり!
 
広島ご出身「花岡寿一さま作品:ワインの香り」のダンディズムと男の美学(同義語か?いや違う!)、「香りと女」にかかわるバランス感覚、ダンディズム解釈への類い稀なき感性。我が絶賛する花岡さま作品を「ご賞賛・ご同意」下さる方、是非、下記"人気ランキングBar"の「応援のクリック」をお願いします。

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   <・続く・>(次回光陽展鑑賞感想記事、6月12日月曜日、こちらから入れます)

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<添付資料>:(ウイキペディア百科事典より)
 『グスタフ・クリムト』
(Gustav Klimt, 1862年7月14日 - 1918年2月6日)はオーストリアの画家。

   [生涯]
 グスタフ・クリムトは1862年にウィーン郊外のバウムガルテンに生まれた。父エルンストはボヘミア出身の彫版師、母アンナは地元ウィーン出身であり、クリムトは7人兄弟の第2子であった。ウィーン7区の小学校で学んだ後、1876年に博物館付属工芸学校に入学した。後に弟のエルンストとゲオルグもこの学校に学び、それぞれ彫刻師、彫金師となってクリムトの作品を飾る額の設計をおこなっている。工芸学校でクリムトは石膏像のデッサンや古典作品の模写を中心とした古典主義的な教育を受けた。
 1879年にクリムトは弟エルンストおよび友人のフランツ・マッチェと共に共同で美術やデザインの請負を始めた。ウィーンの美術史美術館の装飾の仕事なとを行っている。(ウイキペディア百科事典。続きは、こちらから入れます・・・


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