ある日突然

2010-10-28 23:10:47 | 歯科医療
「ある日突然」という歌が昔ありましたが、歯科臨床では「ある日突然」歯が折れたということがあります。最近あった症例ですが、歯の根管内に既製スクリューポストが破断しています。当然ですが歯冠修復物は脱離です。





原因としては、二次カリエスや修復物不適合によるものではなく、ブラキシズムが考えられます。ブラキシズムは夜間の歯ぎしり(グラインディング)やくいしばり(クレンチング)ですが、クレンチングについては昼間にもしている可能性があります。

歯に生理的許容量以上の力が加わると、歯髄(歯のシンケイ)が生きていると、歯がしみるという現象(知覚過敏)が起こりやすくなります。無髄歯(シンケイが失活)になりますと、歯の硬組織自体が乾燥劣化してきまして、歯に過度の力が加わると破折の危険性がでます。

歯の歯冠がある程度崩壊した症例(無髄歯)では、根管内にポストを植立して歯冠修復を行ないます。こんな症例で、歯に過剰な力が瞬間的に、継続的に加わると、一番弱いところが障害を起こす可能性があります。
 ・歯(多くは歯根)が折れる
 ・ポストが折れる
 ・歯冠修復物や歯冠修復物ポスト部分ががはずれる
 ・歯冠修復物が壊れる
以上は歯周病がないか軽度の場合です。

歯冠修復物の金属部分が破断した症例です。



 ・歯がゆれる、歯ぐきが腫れる(中程度以上の歯周病の場合)
今回ご提示した症例では、ポストが折れました。幸い歯根内部にクラックは発見できていませんので、再度ポストを植立して修復していく予定です。

歯科医療において、ブラキシズムは「ある日突然」牙をむく厄介な生理現象です。このブラキシズムのマネージメントをいかにしていくか、日々考えながら診療しているといっても過言ではない今日コノゴロです。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« メダカのその後 | トップ | やはり水草は光が大切です。 »
最新の画像もっと見る

歯科医療」カテゴリの最新記事