たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

民泊のあり方 <民泊 条例規制4割超>と<大阪・民泊監禁 死体遺棄>などを読みながら

2018-03-02 | 日本文化 観光 施設 ガイド

180302 民泊のあり方 <民泊 条例規制4割超>と<大阪・民泊監禁 死体遺棄>などを読みながら

 

私は海外で旅行するとき、日弁連といった公式調査は別ですが、できるだけ有名ホテルではなく、B&Bとか個人が自宅を宿泊に提供しているようなところが好みでした。むろん値段はたいていリーズナブルというより低廉である点があります。それ以上に、家庭的な雰囲気が落ち着くのです。場所によって違いますが、子どもたちがいなくなった子ども部屋に宿泊し、普通の朝食を出してもらい、いろいろオーナー夫婦と話すことができるのがいいです。

 

最近日本で普及しつつある、民泊の中にはそういったものもあるようですが、そうではなく、ただ安い部屋を貸すといった、貸主も借主も空き室利用としか考えていないような利用の仕方が増えているようにも思えます。マンションの一室とか、場合によってはワンフロアあるいはマンション全体もあるかもしれませんが、中には簡易宿舎を使う場合もあるかもしれません。それでは情緒もなく、旅の楽しみも味わえない、こういう民泊の増大を放置していていいのかは気になります。

 

政府は基本的に規制緩和としてあまり制限を設けないスタンスで、住宅宿泊事業法(民泊新法)を昨年成立させたようですが、住民生活と身近な関係にある地方自治体は、それでは困ると一定の制限を設ける条例をつくったり、検討したりしているようです。

 

今朝の毎日記事<民泊条例規制4割超 所管102自治体、政府の緩和に抵抗>では、<空き室に旅行者らを有料で泊める民泊の6月全国解禁を前に、民泊事業を所管する自治体のうち、区域や期間を制限する条例を制定、または制定を予定するところが4割を超えている。住環境悪化防止などが目的だが、政府は民泊促進の規制緩和を阻害すると警戒。自治体とのギャップが露呈している。>

 

民泊新法では、<6月から家主が自治体に届け出れば年間180泊まで民泊事業を営めるようにする。>というので、届出だけでよいというスタンスです。

 

これでは地域の平穏を保てないなどの理由で抵抗しているのが自治体です。

<先月公表された政府の資料によると、都道府県や政令市、中核市、東京特別区など全国144自治体が民泊の所管権限を持ち、都道府県に権限を委ねるところを除く102自治体が実際に事務を担う見込み。このうち44自治体が区域や期間を条例で制限する意向で、残りのうち33自治体は制限せず、25自治体は模様眺めという。>

 

これに対し、<危機感を強める観光庁は昨年末、全区域で年間を通し一律に民泊を制限する条例は「新法の目的を逸脱する」と自治体に注意を喚起した。【中島和哉】>というのですが、形式的にいえば、観光庁の指摘もわからなくはありませんが、<東京都新宿区も平日の民泊営業を事実上禁じる条例を制定した。>のには地域性故の理由があるでしょうから、その制限目的に合理性があれば、逸脱というのはどうかと思います。

 

この記事には載っていませんが、<民泊近隣対応迅速に 新法受け、県が独自条例案 /和歌山>によれば、和歌山県も今年1月パブコメを始めました。

 

記事でその概要を掲載していますので、引用すると

<県の条例案では、衛生確保などのほか、宿泊客滞在中は周辺からの苦情に迅速に対応できるよう、マンションの場合は同じ建物内に、一戸建ての場合でも徒歩10分以内に常駐することを管理者に義務付けた。営業開始にあたっては、向かい側3軒と両隣、裏の計6軒の住民の反対がないことを確認することも盛り込んだ。

 国の指針では、管理者は60分以内を目安に民泊に駆け付けられるよう求めているが、県食品・生活衛生課は「国指針では遅すぎる」とし、より厳しいルールを定めた。>

 

さらに県のホームページで<(仮称)住宅宿泊事業法実施条例(案)の概要>を見ると、

1 遵守事項 とくに苦情対応では10分以内に駆けつけることなんて厳格な条件となっています。

2 周辺住民への事前説明 おそらく個人が行う場合、これが結構きついかもしれません。

3 周辺住民の反対がないことの確認 これもわが国の都市法制では厳しい条件ですが、欧米では当たり前でしょう。

4 事業の届出

5 指導監督

 

となっていて、そのパブコメのところではすでにこの手続きが済んでいて、次の条例案の段階に入ったようです。

 

で、結構厳しい内容の条例のようにも見えるのですが、私自身はこの民泊事業には危うさを感じていました。というのは海外で私が経験したのはすべてオーナーなり、その受任者居住してサービス提供していました(だいたい自宅ですね)から、民泊内で問題が起こるようなことは考えにくいというか、そんな懸念はまったくありませんでした。

 

しかし、現在ちまたで雨後の竹の子のように広がっている事業の中にはリスキーで一杯のものが含まれているように思えたからです。

 

それが先月の報道でやっぱり起こってしまったかと、私なりの不安が的中してしまいました。

 

大阪・民泊監禁 死体遺棄です。ここ連日で報道されていますが、今夕の毎日記事<大阪・民泊監禁死体遺棄、容疑者を送検>ではじめて容疑者の顔が映し出されました。

 

なぜこのように長い間容疑者の顔写真がでなかったのか、そこは不思議です。というのは顔写真があれば、彼は別に同種犯罪を行っている危険があり、あるいは未遂に終わったとしても、そういった被害者からの情報提供もありえたと思うものですから。むろんSNSを使って誘惑していたようで、被害者の女性以外に45人の女性を連れ込んでいたようですから、SNS情報である程度把握できていたのかもしれませんが、顔写真の今日までの未掲出の理由がわかりません。

 

彼がNYのロングアイランドに居住していた家の写真(ウェブ上では掲載されていませんが)は何日か前の記事にありましたが、アメリカの戸建て住宅としては中以下、低いレベルに近いと思われます。中レベルだと、フロントセットバックが7m以上あり、間口も10mありますが、彼の家は前者が5m未満といった感じで、間口も10m前後か未満というくらいで、小規模住宅に当たるでしょう。

 

両親や家族情報は明らかにされていませんが、案の定、近隣情報だとどこにでもいる温和な若者と言うことで、写真からもそういう印象を受けます。でも人は表の顔と裏の顔を持っているというのが最近は普通に近づいていますので、こういった情報は参考になりません。ただ、SNSを通じて45人も日本に来て連れ込んだというのですから、相当な執拗性、粘着質を感じます。

 

で、興味深いのは、入国まもなくから民泊を大阪と奈良に2カ所も借りているということです。記事では当初より連れ込む目的の場所と、死体遺棄の場所として、2つを用意したといった推測を記事にしていますが、そこまでまだ推測できる材料は私にはありません。でも2カ所を一度に借りることの合理的な目的が説明できなければ、その推測は当たっている可能性が高まるでしょうね。

 

このような犯罪場所として民泊を簡単に利用できるということの危険性をわれわれは真剣に考えておく必要があると思います。容疑者は日本、近畿圏に土地勘があったのかどうかわかりませんが、死体遺棄場所も3カ所でしたか、適当に遺棄したとも思える環境のようですので、行き当たりばったりとも思えますので、この辺りは検討事項ですかね。

 

繰り返しますが、だれも管理しない民泊の存在は、さまざまな犯罪に利用できることになります。観光庁は、はっきり言って甘いと思います。外国人旅行者(日本人だって安全とは言えませんが)がすべて観光目的で日本を楽しもうとしている人ばかりといった安易な想定は根本から考え直す必要があると思います。むろん普通のホテルでも部屋の中で犯罪行為が行われる可能性は否定しません。それでもルームサービスを含めスタッフが一定の監視機能を果たしています。

 

しかし、民泊は、そこにいないオーナー以外、近隣者も監視するのは容易でありません。ま、いえば野放しです。テロリストにとっても、いい隠れ家になるかもしれません。SNSなどITをつかったさまざまな交流もまたリスクの高い情報手段ですが、ストーカー的な人、DV的な人など、狼(こういうときオオカミをだすのはどうかと思いますが・・・)にいつ変貌するかわからない情報ツールと、民泊という秘密の館はとてもリスキーさを含んでいると思うのです。

 

長々と饒舌に書いてしまいましたが、要は民泊の中でも、オーナーなり事業者が、その場所に住んでいないような場合は、より厳しい条件設定を必要とするなり、宿泊者の適正な限定方法をするなり、一定の平穏な生活環境を保全する策を講じていないと、今後、悪質利用がエスカレートする危険を感じています。

 

一時間が過ぎてしまいました。今日はこのへんでおしまい。また明日。