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ウクライナ週報14-26   【7月19日~7月25日】

2014-08-26 12:52:27 | 国際
「- 1 - ウクライナ週報14-26   【7月19日~7月25日】  〔ウクライナの報道をもとに作成〕

平成26年7月30日
在ウクライナ日本国大使館

1.内外政
▼大統領・政府・最高会議の動き
・19~21日、ポロシェンコ大統領は、マレーシア航空機墜落事件により国民に被害者が出た国の首脳を中心に電話会
談を実施し、ウクライナ側の捜査努力を説明しつつ、航空機を撃墜し、墜落現場で金品を漁る武装集団をテロ組織認定
すべきである等発言。

・21日、ポロシェンコ大統領は、マレーシア航空機墜落現場の直径40キロ圏において、戦闘を停止する旨発言。
・22日、最高会議は、ロシアの行為をアルカイダ等に比類するものとし、またドネツク及びルハンスク両「人民共和国」をテロ組織と認定するよう国際社会に呼びかける内容の決
議を採択。

・24日、ポロシェンコ大統領は、欧州人民党議員団と会談し、連日ロシア領土からウクライナ領土への砲撃が確認されているが、ロシアに侵攻の根拠を与えたくないため、ウクライナは反撃していない旨発言。

・24日、ウダール党及びスヴォボーダ党等が与党連合から離脱。これを受け、ヤツェニューク首相が、政府のイニシティブが妨害されており、新たに共産党員や地域党員と与党連合を組む気はなく、取り得る唯一の選択肢として内閣を
総辞職させる旨発表。

・24日、トゥルチーノフ最高会議議長は、共産党会派が規定上の最低人数を下回っているとし、同会派の解散を宣言

・24日、ウクライナ及びオランダは、ウクライナからオランダへの国際捜査実施権限譲渡に関するメモランダムに調印。
・25日、ウクライナ及びオーストラリアは、マレーシア航空機災害現場への人員派遣に関する協定に調印。

・25日、ポロシェンコ大統領は、ヤツェニューク首相、トゥルチーノフ最高会議議長及び各会派長と会議を開き、与党連合不在時の連携を確認し、31日に最高会議臨時会議を開き重要法案を審議することで合意。ポロシェンコ大統領は、
与党連合崩壊は内閣総辞職の法的根拠にはならないとし、31日に内閣信任を問うが、今後もヤツェニューク内閣との協
力を期待する旨発言。


▼東部・南部の情勢

・引き続き、治安部隊及び武装集団の間で戦闘が継続し、治安部隊は、反テロ作戦地域内の各都市を徐々に解放。一
方、ドネツク市及びルハンスク市を中心に、民間人の被害者も増加。また、治安部隊は、ロシア領土からウクライナ領土
へ向けた砲撃を継続して報告。

・20日、国家安全保障・国防会議は、396人がテロリストの捕虜となっている旨発表。

・21日、ルビージュネ市及びゼルジンスク市が解放。

・22日、シェヴェロドネツク市及びポパースナ市が解放。


▼マレーシア航空機墜落

・20、21両日、マレーシア航空機墜落の捜査を目的とした国家捜査委員会は、活動報告をし、遺体を積んだ特殊冷凍
車両の電車が武装集団の妨害により出発できなかったが、21日ハルキウへ向けて出発できた旨発表。

・22日、「ドネツク人民共和国」武装集団は、マレーシア代表に墜落した航空機のブラックボックスを手交。

・23日、墜落被害者の遺体を乗せた1機目の飛行機がオランダへ向けて出発。

・23日、ホダコウスキー武装集団幹部(元ウクライナ国家保安庁特殊部隊「アルファ」所属)は、武装集団がマレーシア航空機を撃墜した地対空ミサイル「ブーク」と同様のものを所有していた旨発言するも、のちに発言を撤回。


▼その他

・21日、国連安保理は、満場一致でマレーシア航空機墜落
現場の戦闘を止めることを要求する決議を採択。
・23日、クチマ元大統領は、ウクライナ・OSCE・ロシアの三
者コンタクト・グループがほぼ毎日武装集団と連絡を取って
いるが、彼らはオウムのように同じ発言を繰り返し、提案は
彼ら自身ではなく、ロシアがしているように思える旨発言。同
元大統領はまた、内容は、全土でのロシア語国家語化及び
連邦制のようなウクライナ側が受け入れられない地方権限
強化である旨発言。
・25日、国家テレビ・ラジオ問題会議は、ロシアのテレビ4局
に放送禁止措置をとる旨発表。
・25日、EUは、プーチン露大統領の側近にあたる人物を
対象とする制裁を発表。


2.経済
▼マクロ経済

・25日、マクシュータ経済発展・貿易省第一次官は、ウクライ
ナのGDP成長率が2014年1~6月期でマイナス3%であ
った、経済の景気後退は鉄鋼及び化学肥料の下落した価
格環境、パイプ、鉄道車両、いくつかの食物などのウクライ
ナ生産物に対する露による非関税障壁の要因により影響を
受けている旨発言。


▼財政・金融

・21日、シュラパーク財務相は、主に国家プログラム及び政
府への予算配分を削減することにより、国家予算支出を100
億フリヴニャ削減する計画である、この削減された費用は政
府や地方行政のガバナンスに影響を与えるだろう旨発言。
・21日、シュラパーク財務相は、当初、我々は米ドルに対す
る国内通貨フリヴニャの為替相場が本年末までに10.5とな- 2 - ウクライナ週報14-26
る旨予測したが、現在、12となることを予測している旨発
言。


▼IMFとの協力

・25日、ミュレイIMF副報道官は、8月末にウクライナからの
融資プログラムに関する要請に対応することが期待される、
これに伴い、次回の援助のためのディスバースメントとして
期待される14億米ドルを修正することになるであろう旨発言。
一方、同副報道官はウクライナの現在進行中の紛争のため
に更に援助額を増加させるか、あるいはウクライナのプログ
ラムを再構築する必要があるかについての言及を避けるとと
もに、この紛争は広い範囲の経済に影響を与えるだろう旨
発言。


▼世銀との協力

・25日、ウクライナ政府は、世銀との間で、ウクライナ国民の
ための社会支援システムの現代化プロジェクトに3億米ドル
の融資のための合意書に署名した、この融資は最も脆弱な
層の国民や少なくとも保護された国民を支援するための社
会支援プログラムの拡張のために使われる旨発表。
3.防衛


▼ウクライナ空軍所属Su-25撃墜

・23日、反テロ作戦広報官は、ドネツクにおいてウクライナ
空軍所属Su-25×2機がテロリストの対空ミサイルにより撃
墜された旨発言。
・23日、国家安全保障国防会議は、ドネツクにおいて4機編
隊で飛行していたウクライナ空軍所属Su-25×2機が露領
からの対空ミサイルにより攻撃を受け墜落した旨発表。
・23日、ヤツェニューク首相は、撃墜された2機のうち1機は
空対空ミサイルによる可能性がある旨発言。
・24日、国家安全保障・国防会議報道官は、2名のパイロット
はテロリストに捕まっていない旨発言。


▼その他

・20日、反テロ作戦広報官は、19日に「グラート」による露領
からの攻撃が国家警備隊拠点にあった旨発言。
・22日、最高会議は、兵士の定年を60歳、高級幹部の定年
を65歳まで引き上げる法案及び3度目の部分的動員に関
する法案を採択。
・22日、国防省は、内閣が武器及び装備品等の購入のため
5億9,890万フリヴニャの予算を決定、国防省に2億フリヴ
ニャ、その他を内務省及び国境警備庁に割り当てた旨発
表。
・23日、NATOは、マレーシア航空機が撃墜された以降も
露はテロリストに武器を供与し続けている旨発表。
・23日、国家保安庁は、反テロ作戦本部内に露へ情報を提
供していたスパイを発見した旨発表。
・23日、ヘラシチェンコ内相顧問は、露のテロリストへの武
器供与にショイグ露国防相が関与している明白な証拠があ
る旨発言。
・25日、国家安全保障・国防会議報道官は、24日に露領か
ら2回攻撃があり明らかな挑発行為である、内閣総辞職は反
テロ作戦に影響を与えない、反テロ作戦開始からの軍の被
害は死者325名、負傷者1,232名である旨発言。
(了)」

http://www.ua.emb-japan.go.jp/jpn/bulletin/weekly/2014/U26-140730.pdf

中国の元駐日大使、「日中関係のこう着をどう打開すべきか」―中国メディア

2014-08-26 12:19:40 | アジア
「2014年8月25日、人民網によると、国際学術シンポジウム「日本の戦略動向と中日関係の位置づけ」(主催:中国社会科学院)が24日、北京で開催され、中国外交副部長(外務次官)、駐日大使を歴任した徐敦信(シュー・ドゥンシン)氏が基調講演を行った。

【その他の写真】

近年日本は防衛白書で中国を周辺に存在する安全保障上の脅威と位置づけ、他国との防衛協力や戦略関係を発展させる際に、少しも隠さずに「中国の脅威」をその理由、根拠とし、中国を持続的な挑戦者、破壊者、防備すべき対象と呼び続けている。日本は南シナ海問題にも公然と干渉し、中国と関係国との関係に水を差している。日本は平和的発展路線を変えるために、中国を説得材料として持ち出し、「中国の脅威」を喧伝する必要があるのだと考える学者が国内外に少なくない。日本の国家戦略は中国の台頭を抑えつけることなのであり、そのためには日中関係を犠牲にすることも辞さないと考える学者もいる。

こうした中、徐氏は「両国の政治家は日中関係の位置づけを明確にしなければならない。日中両国は一体パートナーなのか、それともライバルなのか?中国の発展は日本にとって一体チャンスなのか、それとも脅威なのか?日中両国は平和的発展の道を共に歩むべきなのか、それとも対立、対抗し続けていくのか?2008年に日中双方は第4の政治文書で、日中は『互いに協力パートナーであり、互いに脅威とならない』『互いの平和的発展を支持し合う』ことを明確に打ち出した」と指摘。「この重要な政治的共通認識を両国社会の広範な共通認識に真に転換し、双方の政策と行動を指導するものにできるか否かが、現在の状況ではとりわけ重要な意義を持つ」と語った。

「中国は経済規模で日本を追い抜いたものの依然として発展途上国であり、日本は依然として経済先進国だ。両国協力の補完性、重要性は変わっていない。双方が互恵・ウィンウィンを強化し、共通利益を拡大するための潜在力はどんどん大きくなり、余地はどんどん広がっている」。徐氏は「日中双方は従来からの経済・貿易協力を引き続き推進したうえで、世界経済の発展の潮流と各自の発展の必要性に順応して、エネルギー、環境、財政、金融、ハイテクなどの分野で両国間の協力を深化するとともに、東アジア統合、アジアのインフラ整備、世界金融危機対策、グローバル・ガバナンスの推進において協力を展開し、共通利益のパイを引き続き大きくして、両国民が協力の成果を常に享受し、日中関係の発展を支持する人が増えるようにすべきだ」と指摘した。

「日中が一戦を交えるのは必至」との見解については「こうした見解は近視眼的であり、時代の潮流にも反している。歴史の経験と教訓が繰り返し証明しているように、日中は協力すれば共に利し、闘えば共に傷つく。両国は共に対立、対抗の道を歩むわけにはいかないし、ましてや干戈を交えるという歴史の悲劇を繰り返すわけにはいかない」と指摘。「中国側は共通の安全保障、総合安全保障、協調的安全保障持続可能な安全保障というアジア安全保障観を提唱し、各国の安全を尊重・保障し、対話と協力を通じて地域各国の共通の安全保障を実現することを主張している。グローバルな経済統合と地域統合という現在の背景の下、日中双方は政治・安全保障上の相互信頼を立て直す必要がある」と述べた。

日中関係が国交正常化以来最も厳しい局面に陥る中、膠着状態を打開するにはどうすればいいのか?徐氏は「氷を砕く」ための主要法則として次の3つを上げた。

(1)日中関係の原点に立ち返り、日中間の4つの政治文書に厳格に従うことを確認し、日中共同声明と平和友好条約で確立した各原則と精神を遵守する。日中関係の発展の歩みは、日中間の4つの政治文書の原則と精神に従って事を処理しさえすれば、日中関係は順調に発展できること、さもなくば両国関係には波瀾が起きることをはっきりと示している。

(2)政治的難題の解決。両国関係に影響を与える特殊な問題を避けることはできない。歴史問題と尖閣諸島問題の適切な処理が喫緊の課題だ。中国側は、歴史を銘記する目的は恨み続けるためではなく、戦争の教訓を銘記し、悲劇の再演を防ぎ、より良く未来を切り開くためだと強調している。

(3)交流・協力の拡大。目下、両国民の相手国に対する好感度は国交正常化以来最悪であり、これは相互理解、相互認識に偏りが生じたことが大きい。だがこれは両国民が日中関係を重視していないという意味ではない。双方は妨害を排除し、メディア、文化、地方、青少年など各分野の交流を大々的に推進し、両国民の相互理解と友好的感情の強化に努めるべきだ。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140826-00000020-rcdc-cn

ウクライナでいずれ崩壊する米欧の正義/田中宇

2014-08-26 11:50:08 | 国際
「 7月17日にウクライナ東部の上空でマレーシア航空MH17機が撃墜された事件について、巷間報じられている「ロシア側」の犯行でなく、直前にMH17を追尾していたウクライナ空軍の戦闘機が空対空ミサイルや機関砲を発射して撃墜したという説が、米当局内などから出ている。墜落現場の残骸で最も形をとどめているのは操縦室周辺のもので、そこには口径30mmの砲弾が貫通した跡が無数にある。このような砲弾を撃てるのは、30mm機関砲(GSh-30-2)を搭載していることが多いとされる、MH17を追尾していたウクライナの戦闘機(Su-25)だけなので、ウクライナ軍の犯行に違いないという説になっている。 (Revelations of German Pilot: Shocking Analysis of the "Shooting Down" of Malaysian MH17. "Aircraft Was Not Hit by a Missile")

 この説は、2つの筋から出ている。一つは、ドイツの元ルフトハンザの操縦士(Peter Haisenko)による分析だ。ルーマニアの航空専門家も、似たような見方をしている。もう一つは、米国の記者ロバート・パリー(Robert Parry)が、米国の諜報機関の分析者たちの間で、ウクライナ空軍機の犯行でないかとの見方が出ていると指摘したことだ。元AP通信のパリーは、昔から米諜報界に食い込んでいる人で、コンソーシアムニュースの主筆をしている。 (Boeing-777 was downed by Ukrainian MiG-29, Romanian expert says) (ConsortiumNews) (Robert Parry (journalist) From Wikipedia)

 パリーによると、一部の米諜報関係者たちは、当日、マレー機より約30分遅れてほぼ同じコースを、ブラジルからロシアに戻るプーチン大統領の専用機が飛んでおり、ウクライナ空軍機は、プーチンの専用機を撃墜するつもりで、間違ってマレー機を撃墜してしまった可能性があると考えている。(もう一つ、最初から東部ロシア系勢力のせいにする目的で、ウクライナ軍がマレー機を撃墜したという見方もある) (Flight 17 Shoot-Down Scenario Shifts) (Evidence Is Now Conclusive: Two Ukrainian Government Fighter-Jets Shot Down Malaysian Airlines MH17. It was Not a `Buk' Surface to Air Missile)

(プーチンの専用機は、ポーランド上空までマレー機と同じコースを飛んでいたが、敵国であるウクライナ領空に入らず、北方のベラルーシ上空を通ってロシアに帰国した) (Why was MH17 flying through a war zone where 10 aircraft have been shot down?)

 米欧ウクライナは、当日ウクライナの戦闘機がMH17を追尾していたことを認めていない。戦闘機の追尾を指摘したのは、7月21日にロシア軍が行った詳細な記者会見だった。「ロシアの言うことなんか信じられるか」と思う人が多いかもしれないが、被害者であるマレーシアの英字新聞ニューストレートタイムスは、ロバート・パリーらの分析を引用し、MH17はウクライナ空軍機によって撃墜されたという見方が米諜報界で強くなっているとする記事を8月上旬に出している。同紙はマレーシア政府との関係が深く、記事が出たことは、マレーシア政府の中に、MH17はウクライナ機に撃墜されたと考える向きが強いことを示している。 (US analysts conclude MH17 downed by aircraft) (Malaysia accuses US and EU backed Ukraine regime of MH17 shoot-down)

 MH17撃墜に関して、当日の衛星写真など、まともな根拠を示して説明した関係国はロシアだけだ。米国やウクライナは、撃墜について、いまだにまともな説明をせず、ロシア側がやったに決まっているとだけ言い続けている。事件後、米国も衛星写真を発表したが、それは撃墜事件についてでなく、数日後に発生した、ロシアとウクライナが国境地帯で相互に大砲を撃ち合った件に関してだった。 (マレーシア機撃墜の情報戦でロシアに負ける米国)

 MH17のブラックボックス(ボイスレコーダー)は、英国政府の航空機事故調査担当部局が保管して分析しており、9月に調査結果を発表する予定になっている。英国は、マレーシアの旧宗主国である関係で分析を依頼されたのだろうが、英国はMH17墜落後、一貫してロシアを無根拠に非難しており、米国のロシア敵視策に積極的に乗っている。ウクライナ軍機が犯人だと暴露されるなど、ウクライナに不利、ロシアに有利な結果が出た場合、英国は調査結果を正しく発表しない可能性が大きい。 (Flight MH-17 Black Boxes To Be Analyzed In "Impartial" London)

 国際社会がMH17墜落現場周辺での停戦を呼びかけたのに、その後、ウクライナ軍はむしろ墜落現場周辺で積極的に親露派に攻撃を仕掛け、戦闘状態を激化している。「今やらないと親露派が勢いを回復しかねない」というのがウクライナ軍の言い訳だが、墜落現場での捜索を邪魔することで、ウクライナ軍の犯行がばれる証拠が国際社会の側に渡らないようにしていると疑われる。

 事件の関係国であるオランダ、オーストラリア、ウクライナ、ベルギーの4カ国は、MH17墜落についての情報を発表する際、4カ国のうち1カ国でも反対したら発表できなくなる協定を結んでいる。これは米国の差し金で作られた協定だろうが、ウクライナに不利な情報を公表させないようにする事実の隠蔽策に見える。ウクライナ軍が撃墜の犯人だとしても、それはなかなか「事実」として確定しないだろう。 (MH-17 `Investigation': Secret August 8th Agreement Seeps Out)

 米国務省がウクライナの政権転覆を支援して今年2月に政権交代を実現して以来のウクライナ戦争で、米国は、欧州など先進諸国を巻き込んで、ロシアの「悪さ」を誇張するプロパガンダ策をやりつつ、ロシアを経済制裁している。米当局やNATOは、今にもロシア軍がウクライナに地上軍侵攻しそうだと言い続けているが、実際のところロシア軍はウクライナ領に入っていない。その一方で、ロシアにおけるプーチンの支持率は上昇を続け、87%にもなっている。この支持率には露当局の誇張があるかもしれないが、ロシア人の多くが米欧のやり方に怒り、プーチンを支持しているのは確かだ。 (De-escalation Delayed: NATO Chief Warns Again "High Probability" Of Russian Intervention In Ukraine) (Putin's Approval Rating Soars to 87%, Poll Says)

 事態はロシアの譲歩や敗北につながらず、むしろ逆に、対露経済制裁が欧州やウクライナの経済を悪化させる結果になっている。もともとロシアに依存する傾向が強かったウクライナ経済は、いまや破綻寸前の崩壊状態だ。IMFは今年の経済成長をマイナス6・5%と予測している。IMFは今春、ウクライナ政府が緊縮財政策をやる代わりに支援融資することを決めたが、緊縮財政は実現しておらず、IMFが金を貸さなくなりそうだとの予測から、ウクライナ国債の金利が高騰し、財政破綻直前の状態だ。通貨フリブナの為替の下落も続いている。ロシアとの対立があと数カ月続くと、ウクライナ経済は完全に行き詰まるとの予測も出ている。 (Ukraine's economy: Broken down) (Ukraine Overnight Interest Rates Soars to 17.5%; External Debt Cannot Be Paid Back; Ukraine Demands Rebels Surrender)

 ウクライナは、ロシア系が多い東部が炭鉱に依存する工業地帯(同国は欧州第2の石炭産出国)だが、炭鉱の半分が内戦で閉鎖され、これがウクライナ経済に打撃を与えている。ウクライナはソ連時代からのロシアとの関係で、ロシア軍の武器の部品を作る重要な工場がいくつかある。ウクライナ政界では、ロシアへの軍需物資の輸出を止めろという主張があるが、経済や雇用の損失を恐れるウクライナ政府は工場の生産を止めず、軍事物資の対露輸出を続けている。 (Ukraine's Next Crisis? Economic Disaster) (Ukraine factories equip Russian military despite support for rebels)

 米欧がロシアへの経済制裁を強めたことへの報復として、ロシア政府は8月6日、米欧など対露制裁を行っている国からの食料の輸入を禁止する策を開始した。マクドナルドなど、米欧企業がロシアで展開している小売業に対する規制強化も始まった。ロシアは国内で消費する食料の4割を輸入にしている。当初、露国内の食料価格が上がって人々の生活苦がひどくなるとか、ロシアの孤立に拍車がかかるといった、ロシアの不利益に関する予測が大きく報じられた。 (US and EU food exports at risk after Putin threatens ban)

 実のところ、ロシアが米欧から食料輸入を止めたのは「孤立化」でなく「多極化」の策だった。ロシアは米欧からの輸入を止める代わりに、中南米やトルコ、中国などBRICSや親露的な発展途上諸国からの食料輸入を急増し、米欧とのつながりを切ってBRICSなどとのつながりを深める多極化策を開始した。プーチンはBRICSで食料安保体制の強化を呼びかけた。 (Latin America will not bow to EU pressure, will tighten ties with Russia) (Brazil beef exports to Russia soar)

 ポーランドがロシアに輸出していたリンゴの買い取りを米国に求めて断られたりするのをしり目に、ブラジルの食肉業者が米国勢の穴埋めで対露輸出を増加し、トルコやインドの政府も、ロシアとの貿易を増やせる好機だと喜んでいる。 (Poland asks US to buy apples banned by Russia) (Sanctions Against Moscow to Boost Indian Businesses in Russia) (Turkey eyes long-term trade ties with Russia)

 対照的に、対露輸出で稼いでいたEU諸国の食品産業は、食肉、野菜、果物、乳製品などの分野で打撃を受けている。オランダ政府は、ロシアの食料輸入停止の悪影響が、当初予測した額の3倍の15億ユーロに達しうると被害を上方修正した。EUは米国に、追加の対露制裁を提案しないでくれと要請している。 (Economic damage from Russian boycott could be triple original estimate) (Europe Blinks - May Cancel Russian Sanctions)

 ブルガリアは、ウクライナを迂回してロシアのガスを欧州に運べる天然ガスパイプライン「サウスストリーム」の通過国だ。米国(NATO)は、ブルガリア政府が求めに応じて、12機のF15戦闘機と180人の兵力をブルガリア軍基地に駐留させ、交換条件としてサウスストリームの建設を止めさせた。 (Bulgaria Halts South Stream Pipeline Again As NATO F-15s, Troops Arrive)

 しかし同時にブルガリアは、経済面でロシアへの依存度が高く、欧州とロシアとの相互制裁の結果、最大の悪影響を受けている。ブルガリアでは、これ以上米欧の対露制裁につき合えないとの意見が強まっている。同様に、EUの中でドイツ、スロバキア、ギリシャ、チェコが、追加の対露制裁に反対している。ドイツ経済は今年、対露制裁の影響でマイナス成長になるかもしれない。 (IMF: Bulgaria is among the worst affected countries by sanctions against Russia) ("Anti-Putin" Alliance Fraying: Germany, Slovakia, Greece, Czech Republic Urge End To Russian Sanctions)

 欧州に対するロシアの最大の未発動の武器は「ガス輸出」である。EUが使う天然ガスの3割が、ロシアからパイプラインで輸入されている。ロシアから欧州へのガス輸出は、今のところ平常通りに続いている。プーチンは欧州に対し、まだ最大の武器を使わないでいる。欧州側は、現在までの食料輸入の停止だけで、かなり経済的に困り始めている。 (Will Putin Realize That Russia Holds The Cards? - Paul Craig Roberts)

 米国では、外交政策決定の奥の院である外交問題評議会(CFR)が、機関誌「フォーリン・アフェアーズ」に「ウクライナ危機は、ロシアでなく米欧の責任で起きた。プーチンは悪くない。NATOの拡大策が悪い」という趣旨の論文を載せた。 (Why the Ukraine Crisis Is the West's Fault)

 著者は地政学者のミアシャイマーで、論文は「クリミアはロシアにとって最重要の軍港がある重要な影響圏で、ウクライナを反露政権にしたらロシアがクリミアを奪いに来るのは当然だった。プーチンは昔からNATOを拡大するなと言っていたのに、それを無視してウクライナやグルジアをNATOに入れようとした米欧が悪い」という趣旨を書いている。プロパガンダで塗り固め、善悪を歪曲する米国のロシア敵視策は、そろそろ限界にきている。そんな警告が、この論文から読みとれる。 (Council On Foreign Relations: The Ukraine Crisis Is the West's - Not Putin's - Fault)

 米国側の姿勢の揺らぎに同期して、EUの筆頭国で最大の親露国でもあるドイツで「もう米国の馬鹿げたロシア敵視策につき合って経済難を被るのはごめんだ」という叫びがマスコミで出てきている。ドイツの主要な経済新聞ハンデスブラットは8月上旬に「米欧は間違っている」と題する社説を出した。社説は「対露制裁はドイツの国益を損なう。ドイツのマスコミはロシア敵視のプロパガンダをやめるべきだ。現実策(つまり親露策)に立ち戻るべきだ」と主張している。 (German Handelsblatt Releases Stunning Anti-West Op-Ed, Asks If "West Rabble-Rousers Are On The Payroll Of The KGB")

 ドイツのテレビの風刺番組「エクストラ3」では、芸人が「これがマレーシア機の撃墜犯がロシアだという決定的証拠の衛星写真だ!」と言って、子供が画用紙にクレヨンで描いた何枚かの絵を見せるという、米国批判の風刺劇を放映した。ドイツのテレビには、極東の対米従属固執の島国のテレビが喪失してしまった力量が残っている。 (German TV show ridicules 'evidence' of Russian involvement in Ukraine crisis)

 ドイツのメルケル首相は8月23日、首相就任後初めてウクライナを訪問し、ウクライナを連邦国家として再編し、親露派が多い東部に自治を与えることで内戦を終わらせる策を提案した。ウクライナの連邦化は、ロシアが以前から提案していた内戦終結策だが、ウクライナや米国は、ずっと連邦化案を無視していた。メルケルの提案が実現するかどうかわからないが、一つの新たな希望ではある。 (Germany urges Ukraine to accept federal solution with separatists_vv)」

http://www.tanakanews.com/140824russia.htm

8月25日(月)のつぶやき

2014-08-26 03:32:09 | EU

安部総理就任から現在までの国内主要マスコミ幹部との会食詳細です。ちなみに欧米のジャーナリストらは、マスコミが国家権力を監視する機能性を放棄しない為に政治家や行政機関が出したお茶にすら手を着けません。  pic.twitter.com/vzPTKP5Eig

tokiさんがリツイート | RT

QT:@hiromi19610226:毎日新聞世論調査:靖国参拝見送り支持71% 日中首脳会談望む84% - 毎日新聞 mainichi.jp/shimen/news/20… pic.twitter.com/ZECAkKOMDl

tokiさんがリツイート | RT

【ガザ報告】 外国人記者がイスラエル軍に殺されない理由 ln.is/tanakaryusaku.… @tanakaryusakuさんから


国連機関:北朝鮮の飢饉は捏造である ln.is/japanese.ruvr.…


中国、イノベーション時代の幕開けか ln.is/on.wsj.com/kZn… @WSJJapanさんから


中国、イノベーション時代の幕開けか/WSJ ln.is/blog.goo.ne.jp…


甲状腺がん、新たに7人 福島の子供 /日経 ln.is/blog.goo.ne.jp…


特定秘密保護法は本当に無茶-民主国家の国際基準・ツワネ原則を参照しよう ln.is/blog.goo.ne.jp… @tenjyoseikaさんから


甲状腺がん、疑い含め104人 福島の子供30万人調査 ln.is/huff.to/CZiSe @HuffPostJapanさんから


グローバル化というのは、何をなすかについてその「意味」を問うことなく、際限のない効率化だけを求める、そのやり方と考え方を全地球化することなんだな。そして効率化が大きな利益をもたらした時、その利益を持って「意味」とみなすという一種の詐欺が行われる。そういうことだと思います。


2014/08/24 【新潟】福島みずほさんと一緒に「新しい社会」を語ろう ─長岡市(動画) ln.is/iwj.co.jp/wj/o… @iwakamiyasumiさんから


新たな社会の仕組みを考える/長岡から-福島瑞穂氏とともに goo.gl/21Ij1K


2014/08/21 「これはメディアの堕落だ」NHK退職者1500人が籾井会長の辞任、罷免を求めてNHKに要請書を提出 ln.is/iwj.co.jp/wj/o… @iwakamiyasumiさんから


「本当は恐ろしい国民投票法」jca.apc.org/stopUSwar/Japa… … 実態は、憲法改悪反対の議論や運動を禁止する驚くべき言論弾圧法案です。選挙はアレだし、洗脳も恐ろしい!

tokiさんがリツイート | RT

なぜ市場に市民生活を託すべきではないのか? ted.com/talks/michael_…