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底が抜けたオリンパス

2011-11-29 13:26:17 | 産業
「<オリンパス>岸本社長時に300億円飛ばし…00年3月期

毎日新聞 11月29日(火)2時34分配信

 オリンパスの損失隠し問題で、99年に公認会計士から含み損を抱えた金融商品の処理を急ぐように指摘され、当時社長だった岸本正寿元会長(75)が自ら損失隠しに関与した疑いが強いことが、同社の元財務担当幹部の証言でわかった。

 岸本氏は毎日新聞の取材に「含み損は特別損失として適切に処理し、損失隠しには関わっていない」と説明。だが、岸本社長時代の00年3月期決算に「出資金」として計上された約300億円について同社の第三者委員会は損失隠しに当たるとみて岸本氏から事情を聴いている模様だ。


【「極秘事項」で損失隠し継続か】オリンパス 財務、経理は社長直轄 岸本元会長が主導的に関与か

 ◇岸本氏は関与否定

 同社の元財務担当幹部によると、同社は99年3月期の決算公表前、決算を監査する公認会計士から「2年後には時価会計基準に移行する。特金(特定金銭信託)勘定に関して会社として早く手を打つべきじゃないのか」と告げられた。特金はバブル期に各社が財テクのため投資した金融商品で、バブル崩壊で多額の含み損を抱えていたが、当時は商品の額面(簿価)を計上する会計基準だったため、含み損は表面化していなかった。だが、01年3月期から時価会計基準が導入されれば含み損を表に出さなければならなくなる。

 岸本氏は経理担当取締役などを経て93~01年に社長を務め、同社は当時、経理など一部の部署は社長直轄とされていた。元財務担当幹部は特金の内容を社長直轄事項のため知らず、会計士から指摘を受けて岸本氏に報告に行くと、岸本氏は「私が(会計士に)説明する」と話したという。

 当時、同社は含み損を抱える商品を「短期特定金融資産」や「預金」の項目に簿価で計上したとみられ、その後、00年3月期決算で特金の含み損約140億円など計約169億円を特別損失として計上した。だが、関係者によると、含み損はこれ以外にも存在し、この時期で総額数百億円に上っていたという。

 このため同社は同期決算で、前期までになかった「出資金」項目で約300億円を計上。これは、海外の投資ファンドへの出資金として、含み損を抱えた金融商品を充てる「飛ばし」と呼ばれる損失隠しの一種と、第三者委はみている。

 このファンドは、08年までに国内3社を高額買収した際にも登場。岸本氏の後任の社長となった菊川剛前会長(70)らによる損失隠しにつながっていた。

 元財務担当幹部は「岸本氏は他人任せにはせず、経理部は私より知っている。新しい会計制度に入っていく中で『きちんと対応してくれれば』と思っていた」と話している。【町田徳丈、中川聡子】

 ◇「すべて処理」

 オリンパスの岸本正寿元会長は28日、毎日新聞の取材に応じ、「損失先送りの認識はなかった。先送りがあったかどうかも分からない」と損失隠しへの関与を否定した。岸本氏は同社が00年3月期に保有株式の値下がりなどを受けて約169億円の特別損失を計上した点を挙げて「その時点での損失はすべて処理した。(先送りされたとされる損失は)その後に出てきたものではないか」と説明した。

 岸本氏は特定金銭信託で運用していたことについて「当時は多くの企業が財テクをやり、特金も会計ルールで認められていた」と指摘。時価会計導入前に公認会計士から助言を受け、00年3月期には損失をすべて処理したという。岸本氏は「時価会計という言葉も知らなかったが、経理担当部署から『すべて処理すべきだ』と報告を受け、全部処理した。なぜ今、損失が出てきたのか分からない」と強調した。【寺田剛】」


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