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社外取締役の問題について-大西宏氏の見解

2011-11-26 18:10:14 | 産業
「2011年11月26日   社外取締役制度義務化の会社法改正は大胆な発想で

 オリンパス問題は、オリンパス内部だけでなく、粉飾スキームを描き実行した外部がいるわけですが、そのうちの一人が社外取締役となっていたというのはまるでブラックジョークかと感じられます。

 経営統治が再び問題になってきているわけですが、大王製紙の井川元会長というか井川被告も、社長時代はずいぶんコンプライアンスに熱心だったようで、「三島工場のばい煙問題などが発覚した際には、社内にコンプライアンス委員会を発足させ、迅速な対応で立て直しを図った」(読売オンライン)といいます。同記事によれば、カジノの遊び方を知人の女性に教えた際に「賭け事で一獲千金を狙ってはダメだ。人に借りてやるくらいなら、しない方がいい」と忠告していたそうだから、こちらもまるでブラックジョークです。

 現場には、厳しくコンプライアンスを求めるけれど、経営は蚊帳の外ということで起こったわけですが、大王製紙、オリンパス、井上工業、巨人および読売など企業統治の揺らぎが目立ってきています。

 結局は、昨日書いた企業内に互いがかばい合うインナーサークルやムラができあがり、また継承され、公器としての企業統治なのか、特定の人たちの利権や保身のための企業統治なのかもよくわからなくなってきています。

 こういった流れをうけ、法制審議会が企業統治を強化するため、上場企業について社外取締役の設置義務づけも盛りんだ会社法の改正案を、12月中旬に中間案をまとめ、政府は来年中に提出を目指すということですが、さあ、どうなるのでしょうか。

 社外取締役は、監視のために活用するだけでは惜しいという気がします。経営の監視という発想だけではおそらく人数もすくなく、イメージも暗いし、下手をすると経営が萎縮するだけでに終わってしまいそうです。もっとポジティブな発想に切り替えたほうがいいと感じます。

 日本の産業の構造改革が進まないということがよくいわれますが、経営体質や経営戦略が変われば変化していくわけで、経営の活性化をはかったほうが現実的です。企業が積極的に外部人材を取締役として活用すれば、また違った発想による戦略も生まれてきます。どんどん海外の人材も社外取締役として受け入れればと思います。

 現場リーダーとして優秀な能力を持っていても、経営者としての能力があるかといえば、また別問題ということも多いのですが、日本の場合は、サラリーマンの出世のゴールが取締役になってしまっています。どうしても自らが情熱をかけてきた事業に愛着や未練が残り、大きな改革ができないという弊害も生まれてきます。

 しかし社外の人材を経営に取り入れたいと考えても、それはサラリーマンのエリートたちの目標を奪ってしまいかねないので、なかなかそうはいかないというのが現実ではないでしょうか。だから、会社法で定めてしまえば、そういった抵抗感はなくなるはずです。

 現場からの生え抜きの経営者と、それとは違う視点をもった社外の人材がコラボレーションすれば、経営にももっと活力がでてくるものと思います。どの程度の社外取締役を義務付けるのかはわかりませんが、欧米並みに半数以上は社外取締役とするぐらいダイナミックなものにすれば、日本の企業経営も大きく変わってきます。

 年功序列から実績主義へといった現場の人事制度をいくらいじっても、会社は大きくは変化しません。それよりも取締役会の変革を行って経営体質や経営戦略を変えるほうが早道です。人材の流動化も、まずは経営から始めたほうが進みそうです。
(http://ohnishi.livedoor.biz/archives/51297894.html)


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