「え!?なに!?」とばかりに・・・マスクかじるのが好きな幸ちゃん。
先週、娘は3泊4日でサマーキャンプのはずでしたが、中止になってしまいました。天気予報が雨の中、田んぼの雑草取りをしたり、川上りをしたり、登山して野宿したり・・・とワイルドな体験が満載予定でしたが、残念。
「マスクなんて、かじってないよ〜」とばかりにマスクから口を離してみる。
「川登りはすごく楽しみだったけど、あとは大変だから、中止になって半分嬉しくて半分悲しい」と娘。
まあ、このご時世、先の予定が本当に立てづらいですね。
プレゼンの資料の一つ。
その前の週には、テーマ学習のプレゼンテーションがありました。5、6年生は、「顧客を獲得せよ!」というテーマ。
チラシ配布中の娘。
駄菓子屋を実際に企画し、実際に買い出ししたりしてから、学校内にお店を出し、チラシを配ったりして、保護者以外にも集客をして、無事に売り上げ目標を達成していました!そのプロセス、学んだことなどをいろんなグラフを駆使して、なかなか見応えのある発表でした。
さらにたくさんある資料の一つ。
「お店をやるっていうことを勉強すると、経費っていう考え方をするんだよね。だから無駄遣いしちゃいけないなって思って、家の電気もこまめに消すようになったよ」と殊勝な心がけを見せる娘。・・・・ただ、プレゼンが終わったら、なんだかその心がけ忘れちゃったみたいなんですけど!
ネットより拝借、上映中です。
ところで、とても気になっていた「PLAN75」という映画、封切りになって割とすぐに見ました。なんだかすごく感動して、見終わった後もしばらく涙が止まらず・・・ネタバレになるので、最後の希望にものすごく感動したから、とだけ言っておきます。
https://happinet-phantom.com/plan75/
高齢化激しい社会で、経済的に苦しい若者の憎悪が高齢者に向けられる中、75歳以上が自分で生死を選ぶことができる
PLAN75という制度が制定された、という架空の設定ですが、いかにも起こりそうなことで、そこからして落ち着きません。
労働しなければ生きていけない老人達の生活が丁寧に描かれ、どんどん追い詰められていく様子は、倍賞千恵子演じる主人公の女性の愛らしさと相まって、見ている者につらく刺さっていきます。
抑えたトーンですが、いい意味で息が詰まるような緊張感がずっと走り、長編一作目の作品とは思えない完成度の高さ。
設定の切実さだけでなく、映画としてのバランスの良さにも感心させられます。
ネットより拝借「メタモルフォーゼの縁側」これも上演中です。
その後に見たのが「メタモルフォーゼの縁側」という、「PLAN75」とは一見、真逆な映画です。
https://metamor-movie.jp/
近所の人にお習字を教えている未亡人で一人暮らしの主人公が、ひょんなことからうんと歳の離れた高校生と
どんどん仲良くなっていく、という友情物語であり、高校生の成長物語でもあり、いかに残りの人生を楽しむかという
老人物語(?)でもあります。
ほんわかしたムードの中で、宮本信子演じる可愛らしいおばあちゃんと芦田愛菜演じるオタクな女子高生のと交流は、
ある種のラブストーリーでもあり、ドキドキします。同時に、20年くらいして、こんなおばあちゃんになっていたら
いいなあ、とちょっと憧れたりして。
109歳で亡くなった祖母が、「うんと年若いお友達を作りなさいよ。10歳、20歳でなくてう〜んと年下ね。
歳をとってくると、みんな死んだり、寝たきりになってお付き合いできる人がいなくなってくるから」とよく言っていた
ことを思い出したりして(笑)
ネットより拝借「PLAN75」のシーンより。
この二つの映画、トーンは正反対ですが、よく見てみると主人公はともに75歳前後で、経済状態の違いはあるけれど、
二人ともとても丁寧な生活を送っていて、比較的健康で、とても愛らしい人たちなのです。頑固親父とかいじわるばあさんじゃあない(笑)。
う〜む、今の自分を振り返ってみると、いじわるばあさんになる可能性の方がずっと大きいぞ・・・これでは若者に嫌がられる一方ではないか、いや、年寄りもどんどん増えるから、あんまり気にしなくてもいいかも、などと新たな自分の課題も感じさせてくれる(?)2本の映画。
スキップシティ。
さて、先々週末から先週末にかけて、スキップシティ国際Dシネマ映画祭が、3年ぶりにリアルも含む、ハイブリッドで
開催され、通訳としてお手伝いさせていただきました。
https://www.skipcity-dcf.jp/films/
特に国際コンペティションの上映作品は、一般上映されてもおかしくないような、とても楽しめる作品が多いです。
グランプリを受賞した「揺れるとき」
観客賞受賞の「彼女の生きる道」
審査員特別賞受賞の「UTAMA」
リアルな映画祭は終わりましたが、オンライン上映は明日7月27日までです。ぜひご覧になってみてください!
UTAMAのシーンより。
監督が来日していて、通訳を何度かさせていただいた、ボリビア映画のUTAMAは、個人的にとても気になる映画でした。
気候変動、山村部の過疎化、都市部への人口集中、伝統文化の消失などの問題を描きつつも、中心となるのは老夫婦の愛の物語であり、父と子(孫)という家族の物語であり、生と死の物語でもあります。
鮮やかに乾いた土地は人がもはや住める状態ではなくなりつつありますが、でも自分の役割はそこにしかないと決めた主人公は都市部に住む息子や孫たちが一緒に住もうと提案しても、がんとして聞き入れません。自分の気持ちを言葉ではほとんど表現しませんが、その風貌と表情がなんとも雄弁なのです。
人が生きて、そして死ぬこと。自然のサイクルの一つとして人間も存在すること。その弱さと強さ。
乾いて広い土地は、余計なものをどんどん取り除く力があるのか、かなり前に中国の西部とかサハラ砂漠あたりを旅行していた時に、気づいたら、東京で感じていた「悩み」が全て瘡蓋の様にカラカラになって風に吹かれていった感じがしたことを
思い出しました。その爽快感みたいなものを、UTAMAを見ていて感じたのです。
「PLAN75」の怜悧で緊迫した繊細な希望、「メタモルフォーゼの縁側」のほんわかあったかい感じ、「UTAMA」の圧倒的な
映像の力、どれも「老人」が主人公の映画ですが、偶然この順番で見ることができてよかったと思います。
どんどん年老いていく人々が周りにいて、自分の老いも感じる中、この3つの映画を見ることで、少しだけ視野が広がり、自分で自分の首を絞めていた手を緩め、なるようにしかならない、なるようになるという諦観と楽観、希望みたいなものが感じられました。
映画っていいですね〜。