ここで、再びファスナー周りの説明。
EXEハーネスは以前にもご紹介しましたが、フロントのファスナー周りの処理にかなりの工夫をこらしました。
以前のハーネスでは、バックルはハーネスの外側にあったことにより、ファスナーが守られることになり、それほどファスナー周りの処理が難しくありませんでした。
しかし、時代がすすみ、バックルがハーネス内に納められるようになり、見た目の美しさ、空気抵抗、そして、何よりも胸バックルとレッグストラップがいっしょになる、パラハーネスで言えばゲットアップシステムと同じ理屈で、レッグストラップのかけ忘れを防止する、現在のインナーバックルシステムになったことにより、ファスナーまわりの設計がかなり難しくなったのです。
理由は、旧型の外にバックルがあるタイプのハーネスは、バックルそのものがファスナーを保護し、ファスナーが開くのを防止していたため。
ランディング時等、体が起きている状態にあるときは、体が下にずり下がり、その体重の力がファスナーを左右に押し広げる力に変わるため、その押し広げの力をバックルが受け止めていたのです。
そうすることにより、ファスナーはバックルの位置以上に開くことはありませんでした。
もし、旧型のハーネスでも、胸バックルをとめないで体を起こした状態にすると、ファスナーが押し広げられて上方にスライドしていってしまい、フライト中等、ファスナーが開いていってしまいます。
これを防止する目的で、EXEハーネスは小さなバックルをヘソの位置ほどのところに取り付けています。
このバックルの目的は、ファスナーが開いていくことを防止するため、それと、もし、ハーネス内にあるメインのバックルが何らかの理由で開いたときのアクシデントに備えてのセーフティーの意味があります。
最近の他社のハーネスの作り方を見ていると、このバックルの位置がかなり上側につけるようになってきています。
この理由は、フロントファスナーがランディング時、スタンディングと同時にファスナーが開いてくれたほうが、かえって起き上がりが良くなるためです。
このことについては、10年以上前に、既にEXEでも検証済み。
しかし、この手法をとってしまうと、テイクオフ直後、やはりバックルが上にあるため、その位置までファスナーが開いてしまい、後に空中で閉めなおすことが大変…。などの不具合が発生してしまいます。
このことについては、EXEでもずいぶん考えましたが、結果的に、EXEが採用するVGFシステム(HP参照)の効果により、他社よりも体の起きやすさにアドバンテージが明らか…などの、他社よりも有利な要素があるため、あえてバックルの位置を上方に持っていかなくても十分起きやすくなるとの判断をしたからです。
そして、必要以上にバックル位置を上方にもっていかないことにより、フライト中のファスナーの閉め直しも治まり、結果的に使いやすいハーネスになりました…。
現状としては、もっとも優れた方法であると考えています。