前回ご紹介した、弊社ハーネスに使っているSLS金具
実はコレ、一か所ちょっと面白い工夫をした場所があるんです…。
もともとこのSLS金具は、強くロープをロックすることが要求されています。
そのロック力は、人の体重の半分程度の加重がかかっても、ロープがずれないことが必要でした。
さて、それではどうやってそれだけ大きなロック力を、この小さな金具で実現できたか…。
今夜はその秘密の暴露です!
SLS金具は前回でもご紹介しましたが、その構造は単純なものです。
上のスプリングが、黒いピストン部を押し上げて、シリンダーの穴を通るロープをロックするというものでした。
…。
でも…。
スプリングの力だけでは、ロックがそれほど強くできなかったため、荷重がかかると簡単にロープがずれてしまい、結局
このSLS金具は使い物にならなかったのです!
…。
では、ロックが強くなるように、スプリングを強力なものに変えてはどうか…。
この方法をとると、どうしても強い力でSLS金具を押してやらないと、ロックが外れなくなります。
これでは使いづらくなってしまいますね!
ロック力は強力にしなければならないのですが、しかし、スプリングは強力なものが使えないのです!
…。
…。
これは困ったことが起こりました…。
で、考えました。
考えて考えて…。考えてぬいてみたら…。
💡!
いいアイデアが浮かびました!
ピストン部に切りかぎをつけるだけで、ロープのロックが強力になること気が付いたのです!
これ、どういうことかというと…。
上の図を見ていただくとお分かりになると思いますが、切りかぎをピストン部につけることにより…。
ロープに折れ曲がりが生じて、より摩擦力が大きくなり、ロープをロックする力が強力になるんです!
このアイデア、大正解でした!
スプリングの力がそのままでも、段違いにロープをロックする力が強くなったのです!
これ、スプリングの力が少なくても良いことから、ロープの寿命も長くできるという、思わぬ副産物も得ることが出来ま
した!
一時はダメかと思われていた、このSLS金具のアイデアですが、ほんのちょっとした工夫で、この問題を解決することが出
来たんです。
このSLS金具、最初のものが出来てから、すでに7年ほどたっていますが、未だ問題は起こっておらず、おそらくこの手の
金具の中では、信頼性、メンテナンス性、取り扱いやすさと、すべてにおいて最も優秀ではないかと自負しています。