さて、新しいハーネスを作るに当たり、どうしても解決したかったのがパラシュートのインナーバッグの問題でした。
インナーバッグとは、パラシュートがハーネスの中まで入っているところを指しますが、この部分が、今まではレッグストラップと干渉してしまい、広くとることが出来なかったのです。
レッグストラップの位置を干渉しないように後ろに下げてしまうと、ストラップそのものが短くなってしまうため、プローン姿勢になると足が上に引き上げられて飛べたものではありません。
レッグストラップの取り付け位置を思い切ってパラシュートの前に移動する方法もありますが、実験してみると、起きあがりが悪くなってしまいます。
この問題を解決するため、私は二つのアイデアを持っていました。
一つは、レッグストラップの長さを、機械的に可変にしてしまう方法。
そして、もう一つはパラシュートインナーバッグの形を工夫して、レッグストラップがハーネス中心部の方へまわるようにする方法。
この二つのうち、前者はトラブルの可能性があると考え、後者の方法から実験していきました。
実験ハーネスを試作し、いくつのもインナーバックの形状を試したところ、見事にレッグストラップがパラシュートインナーバッグを回避し、うまく機能してくれる形状を見つけることが出来たのです。
様々な寸法、形状で試しましたが、この形が最も良い結果が出ました。
上にあるのは今までのインナーバッグ。
奥行きは旧タイプより少ないですが、バッグの容量そのものは新型の方が大きく、なんといっても横の広さが大きくなったことがお分かりいただけると思います。
この手法が思いのほかうまくいってくれたため、新ハーネスの開発はとんとん拍子に進んでいくことが出来ました。