飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

本当に偉い人というのは‥。

2012-01-29 20:57:31 | 人生論(life)

先日、ネットを何気なく見ていたら、昔、お世話になった方の情報を目にした。

笠井鯉太郎(かさいりたろう)氏。現、三菱電機取締役、電子システム事情本部 副事業本部長。

私が以前、三菱電機で衛星の開発のお手伝いをさせていただいていた時に、この方には親しくしていただいた。

とても気さくな方で、人懐こく、そして、なんでも話せるような方だった。

当時、私と同期で入社した、同じ学校出身で、親しい友人でもあったK島氏が、同じ三菱電機の宇宙部に配属となり、彼が担当したのは、NASAの宇宙ステーションの日本のモジュール、通称「希望」の電力解析の業務であった。

これは、日本の「希望」を運用するに当たり、どのくらいの電力が必要かを解析し、NASAに対してその電力の割り当てを願い出るという仕事であったが、しかし、もともと日本は宇宙に人間を打ち上げた経験がなかったため、宇宙空間で人間を生かすためには、どのような装置が必要で、そして、どのくらいの電力が必要かなんて、正直、日本人は誰もわからなかったのである。

そのため、K島氏はずいぶん悩みながら仕事を進め、私もたまに一緒になって考えてあげてみたりしていた。

この時、このK島氏の直接の上司が笠井氏だったのである。

そんな縁で、私は笠井氏と話す機会が多く持てたのだが、とにかくこの方、とても親しみやすく話しやすい方だったことを覚えている。

そして数年後、私は貴重な体験をすることになる‥。

三菱グループにて打ち上げた「スーパーバード」(型名SCS。一号機と二号機があったが、二号機は打ち上げ失敗)で使われる一部の回線を、海上自衛隊に貸し出すことになり、急遽、海上自衛隊の基地に常駐で、その回線のメンテナンスをする人材が必要となり、その人材として私が選ばれたのである。

その時はあまりにも急な話で、引っ越しの準備も整えられないほどであったが、この時、笠井氏は私を部長室に呼び出したのである。

私は正直何が起こるか不安であったが、笠井氏は私に対し「本当に急で申し訳ない!っと、その場で私に土下座したのである‥。

あわてた‥。かなりあわてた‥。

このような方がこんなことをするなんて‥。

正直不満は感じていたが、私は会社がどうしようもない状況であることを、その笠井氏の行為で悟り、荷物をまとめる時間もないまま、早々に海上自衛隊の基地に移動することに腹を決めた‥。

そんな出来事から二十数年‥。

久々に笠井氏の名前を見つけることができうれしくなった。

「すべての水を支配する海は低きところにある」‥。

笠井氏はまさにそんな生き方をする方だった。

私もそんな人間になりたい。

コメント (4)
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