スウェーデンのストックホルムで9月20~24日まで開催されている
第46回欧州糖尿病学会(EASD2010)で、
1993年~2006年の平均12年間の追跡研究の結果、
1型糖尿病においては、
血清AGEs(終末糖化産物)が
血管イベントの発生や総死亡率の
独立した危険因子である可能性が示されたと
オランダのマーストリヒト大学メディカル・センターの
J.W.M. Nin氏が報告しました。
内容は以下のとおりです。
糖と蛋白質が反応して生成される物質である
終末糖化産物(AGEs;advanced glycation endproducts)は、
活性酸素を産生することにより糖尿病の合併症を引き起こす
可能性があるとされている。
J.W.M. Nin氏らは、AGEsが、
病態生理学的に高血糖と血管合併症の進行を
結び付ける要素であるかを明らかにするために、
1型糖尿病の患者を対象に、
血清AGEsと心血管疾患(CVD)および総死亡率との関係を調べた。
対象は、CVDの経験がない1型の糖尿病腎症の患者169人と、
1型の糖尿病で正常アルブミン尿の患者170人
(うち男性205人、平均年齢41±10歳)で、前向きに観察した。
AGEsのスコアは、
Nε-(カルボキシメチル)リジン(CEL)、
Nε-(カルボキシエチル)リジン(CML)、
ペントシジンのそれぞれのzスコアの平均値とした。
追跡期間中央値は12.3年であった。
AGEsと心血管疾患および
AGEsと総死亡率の関係はコックス回帰分析した。
追跡期間中、82人(24.2%)が死亡し、
85人(25.1%)にCVDが発生した。
また、3人は追跡できなくなった。
心血管疾患は12.3年の観察期間中26人/1000人/年。
総死亡は12.6年の観察期間中21人/1000人/年だった。
CVDを発症した患者と発症しなかった患者では、
年齢、糖尿病の罹病年数、腎障害の有無、HbA1c、
コレステロール、平均血圧などに有意差はなかった。
そこでデータについて、年齢やHbA1c、平均血圧、喫煙習慣、
総コレステロール、腎機能など、
従来から指摘されているCVDリスク因子について補正を行った。
その結果、心血管疾患の罹患率および死亡率と総死亡率は、
従来から言われているCVDリスク因子とは無関係に、
AGEsのベースラインレベルが高いほど増加した。
AGEsスコアが1SD増えるごとに、
それぞれハザード比(HR)は1.30(95%信頼区間1.02~1.65)、
1.29(95%信頼区間1.01~1.65)だった。
ハザード比は、推定糸球体濾過率(eGFR)、
軽度の炎症、動脈壁の硬化で調整しても、
それぞれ1.16(95%信頼区間0.89~1.51)、
1.19(95%信頼区間0.90~1.57)だった。
AGEsが高い患者では、
AGEsの値はベースラインのeGFRと逆相関しており
eGFRが低く腎機能が悪い人ほど、
AGEsは高かった(標準化回帰係数=-0.29、95%信頼区間:-0.38~-0.20)。
このことから、J.W.M. Nin氏は、
「血清AGEs値が高いことは、
年齢やHbA1c、平均血圧、喫煙習慣、
総コレステロール、腎機能などとは
独立したCVDのリスク因子である可能性がある。
また、腎機能や血管内皮の障害、炎症、血圧とも
完全に独立したリスク因子と考えられる」
と考察した。
第46回欧州糖尿病学会(EASD2010)で、
1993年~2006年の平均12年間の追跡研究の結果、
1型糖尿病においては、
血清AGEs(終末糖化産物)が
血管イベントの発生や総死亡率の
独立した危険因子である可能性が示されたと
オランダのマーストリヒト大学メディカル・センターの
J.W.M. Nin氏が報告しました。
内容は以下のとおりです。
糖と蛋白質が反応して生成される物質である
終末糖化産物(AGEs;advanced glycation endproducts)は、
活性酸素を産生することにより糖尿病の合併症を引き起こす
可能性があるとされている。
J.W.M. Nin氏らは、AGEsが、
病態生理学的に高血糖と血管合併症の進行を
結び付ける要素であるかを明らかにするために、
1型糖尿病の患者を対象に、
血清AGEsと心血管疾患(CVD)および総死亡率との関係を調べた。
対象は、CVDの経験がない1型の糖尿病腎症の患者169人と、
1型の糖尿病で正常アルブミン尿の患者170人
(うち男性205人、平均年齢41±10歳)で、前向きに観察した。
AGEsのスコアは、
Nε-(カルボキシメチル)リジン(CEL)、
Nε-(カルボキシエチル)リジン(CML)、
ペントシジンのそれぞれのzスコアの平均値とした。
追跡期間中央値は12.3年であった。
AGEsと心血管疾患および
AGEsと総死亡率の関係はコックス回帰分析した。
追跡期間中、82人(24.2%)が死亡し、
85人(25.1%)にCVDが発生した。
また、3人は追跡できなくなった。
心血管疾患は12.3年の観察期間中26人/1000人/年。
総死亡は12.6年の観察期間中21人/1000人/年だった。
CVDを発症した患者と発症しなかった患者では、
年齢、糖尿病の罹病年数、腎障害の有無、HbA1c、
コレステロール、平均血圧などに有意差はなかった。
そこでデータについて、年齢やHbA1c、平均血圧、喫煙習慣、
総コレステロール、腎機能など、
従来から指摘されているCVDリスク因子について補正を行った。
その結果、心血管疾患の罹患率および死亡率と総死亡率は、
従来から言われているCVDリスク因子とは無関係に、
AGEsのベースラインレベルが高いほど増加した。
AGEsスコアが1SD増えるごとに、
それぞれハザード比(HR)は1.30(95%信頼区間1.02~1.65)、
1.29(95%信頼区間1.01~1.65)だった。
ハザード比は、推定糸球体濾過率(eGFR)、
軽度の炎症、動脈壁の硬化で調整しても、
それぞれ1.16(95%信頼区間0.89~1.51)、
1.19(95%信頼区間0.90~1.57)だった。
AGEsが高い患者では、
AGEsの値はベースラインのeGFRと逆相関しており
eGFRが低く腎機能が悪い人ほど、
AGEsは高かった(標準化回帰係数=-0.29、95%信頼区間:-0.38~-0.20)。
このことから、J.W.M. Nin氏は、
「血清AGEs値が高いことは、
年齢やHbA1c、平均血圧、喫煙習慣、
総コレステロール、腎機能などとは
独立したCVDのリスク因子である可能性がある。
また、腎機能や血管内皮の障害、炎症、血圧とも
完全に独立したリスク因子と考えられる」
と考察した。