ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

アジア系スーパーの大きないかを焼く

2022-05-02 08:33:55 | 食材
 アジア系スーパーの大きないかを焼くとは、アジア系スーパーで手に入る大きなイカを焼くことをいう。イカは“烏賊”と書く。それは、死んだようにプカプカと浮いていたイカを食べようとしたカラスが、逆にイカに捕らえられて食われたという中国の言い伝えから、『カラス(烏)にとって恐ろしい“賊”』ということで烏賊になったのだいう。2022年春には島根県沖で生きたダイオウイカが捕獲されたことがニュースになった。その大きさは全長4mという。動画を見ればそれは確かにカラスなどは丸飲みにしてしまいそうな迫力だ。こいつに比べれば米国アジア系スーパーで手に入るイカは迫力に劣るが、それでも30代独身日本式サラリーマンに紹介するほどのネタがある。だからここで紹介します。



この食材の特長は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。



①アジア系スーパーで売られている大きなイカ
30代独身日本式サラリーマンでありさえすれば、北米のアジア系スーパーの鮮魚コーナーに佇む巨大なイカを見たことがあるに違いない。その大きさは30代独身日本式サラリーマンのおおよそ手のひら二つ分、色はやけに人肌に近くて気味が悪い。見た目の気持ち悪さもさることながら、一人暮らしには向かないボリュームやさばく手間を考えると、本ブログで再三紹介している小さいイカに比べて購買欲が失せ、敬遠しがちだ。だが安い。店によってまちまちだが、安い場合でパウンド4ドル、高くても6ドルほどで手に入る。なので挑戦してみたのだ。いつものようにプラスチック袋に放り込んで鮮魚コーナーの不機嫌な男店員に手渡せば、値札をつけてくれる。だいたい一杯が2パウンド弱だ。





②大きなイカを裁く
さて、持ち帰って調理を始める。まな板に乗りきらないほどの大きさのイカの足をおそるおそる引っ張って胴体から引きはがすと、ハラワタがにゅるりと現れるので『ひィ!』となる。それは片手で握るにちょうどよいほどの大きさで、半パウンドほどはあるのではないかと思えるほどの重量感、色はどす黒いオレンジ色で気色が悪い。だが30代独身日本式サラリーマンはけち根性だけは達者なので、 “捨ててしまうのはもったいない、このハラワタの重さ分も支払っているのだ” と思い始める。それに “ひょっとしたら美味いのでは・・・”という期待も出てきた。





③ホットプレートで焼く
イカはシンプルにホットプレートで焼くことにした。ハラワタはアルミホイルで作った器に入れて、それに少しだけ日本酒を注ぎ、器ごと加熱する。その他のゲソ、胴体、頭は一口大に切っておき、食べる分だけちびちびとホットプレートに入れて焼く。換気効果の弱いアメリカ式長屋の部屋はすぐにイカの匂いが充満する。アルミホイル内のハラワタはしだいにグツグツしはじめ、適当に混ぜていると色はマイルドな茶色に変わってビジュアルがよくなっていく。箸についたハラワタを舐れば、旨い。何とも言えない深いイカの臭みと風味、甘みとえぐみが相まって最高の味になっている。まさにこれは、“人間に幸せを与えるためのハラワタ”と呼んでよい。細切れに焼いたイカをこのハラワタにディップして食べれば、ホクホクのイカの歯ざわりとハラワタの風味のフュージョンで、うま味が1.4倍増する。日本酒を飲みながら楽しめば、さらにうま味は2.2倍になる。とはいえハラワタは珍味の部類に入るので、一度に大量に食べると多少胃がムカムカするかも知れない。




 2022年初頭のロシアによるウクライナに対する軍事侵攻に対して、インド・中国などの一部の国を除いて多くの国がロシアを非難し、ロシアに対しては経済制裁、ウクライナには物資支援を行っている。平和ボケの30代独身日本式サラリーマンとしては、その制裁や援助が、結果として国どうしの憎悪のエスカレートを抑え、市民の犠牲者を減らす方向へ動いて欲しいものだ。矜持はあるし、命を犠牲にしてでも守らねばならない秩序もあるだろう。しかし30代独身日本式サラリーマンは、いつも適当な距離感を持ってものごとを判断したい。そしてどんな判断に対してもいくばくかの逡巡を持っていたい。我々が “絶対に正しい” と思ったときこそ大いに危ない。何故なら我々は所詮30代独身日本式サラリーマンなのだから。

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