アルマデン・クイックシルバー群立公園とは、サンノゼ市にある公園だ。カリフォルニアでリモート生活に入ってからというもの、筆者は動かない生活になった。それは『もしかしてそのうちニンゲンに足は要らなくなるのでは』と思うほどであった。そして喋らない生活にもなった。職場には無駄話をするきっかけが溢れているし、相手の状況が見えるので、『お、無駄話チャンス!』とタイミングを計ることができるが、リモートではそうもいかない。結果、せっかくの大切な人生の仕事時間が“仕事だけの時間”になってしまうのだ。やはり筆者は“ニンゲンの生活には足も無駄話もあった方がよい”という考え方であるため、週末には極力外に出ることにした。そこでアルマデン・クイックシルバー群立公園に行ったのだ。
この公園の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。
①アルマデン・クイックシルバー群立公園
サンノゼのダウンタウンから車で南へ30分ほどの場所にあるそれほど高くない丘陵一帯全てがこの公園であり、多くのトレイルが整備されている。ここはもともとは水銀の鉱山であり、トレイル中にその跡が見られることが魅力なのだ。水銀とは常温で液体の珍しい金属であり、身近なところでは体温の計測等に使われる。確か気体は有毒だ。この水銀は、鉱石から“金”を抽出するのに必要とのことで、19世紀のゴールドラッシュの頃には特にこの鉱山が重要あったという。あの陰謀論でお馴染みのユダヤ富豪、ロスチャイルド家が一時期この鉱山を所有したこともあったのだそうだ。ちなみに日本にも奈良県の宇陀などで水銀(正確には硫化水銀鉱物の辰砂)が取れ、古代から丹(に)と呼ばれ、顔料や漢方に使われていたという。
②コース1:モッキンバードヒルエントランスから
公園の北側入り口のモッキンバードヒルエントランスには立派な駐車場があって、そこから鉱山の立坑を目指すコースは2時間弱のお手頃ハイキングである。入り口でマップを手に入れる。日の当たる草むらでは七面鳥の家族が列をなし、ニンゲンのことなど目もくれずにテクテクと歩いていた。ここからニューアルマデントレイルを行くと谷を下り始める。公園と隣接する小山の頂上にはたいてい富豪の豪邸が立っていてこれを近くで眺めるのも楽しいが、その邸宅所有者との土地境界を厳然と示す有刺鉄線入りの柵がトレイルに沿って建てられているのはやや幻滅する。谷底の小川を越えると分岐があって、ブエナビスタトレイルを上っていく。けっこうな上り坂で、肥満30代独身日本式サラリーマンは息が切れる。立坑はコンクリートの基礎だけが遺され、坑口にはグレーチングが敷かれているが、埋め戻されているように見える。
③ブエナ・ビスタ立坑から
立看板の内容を読めば、この立坑はブエナビスタ立坑という名で、1882年に堀り始められ、ついには2300フィートの深さまで到達したのだという。地下水をくみ上げるために直径24フィート、重さ5トンの巨大なポンプがここに据えられていたのだという。これにより周辺の鉱山トンネル内の水位が下げられ、掘削を容易にしていたとの記載がある。とにかくこのコンクリート基礎が、腰を掛けて休憩するにはちょうどよく、しばらく座って呼吸を整える。鳥の声が爽やかだ。休憩後、意を決して先へ進むとランドルトレイルに突き当たる。マップを確認し、トレイルを周回して駐車場に戻るにはこれを東方向へ行く方がよいと判断した。この道は平たんで歩きやすく、そのためサイクリングを楽しむ人々が多い。すれ違う彼らに手を振ったり、遠くサンノゼのダウンタウンが見渡せたり、時折トンネル掘削で出たと思われる瓦礫置場があったりと、退屈しない。
足は十分に使ったものの、見知らぬ人との無駄話を行うことはなかなか難しいものだ。しかしランドルトレイルを歩き終え、丁字路を北上して駐車場方面に戻ろうとしていると、すれ違うメキシコ人4人家族の10代の少年に声をかけられた。『すみません、このトレイルはあとどのくらい続くのですか』『えっと、目的地はどこですか』『うーん、駐車場です』『私も初めてなのでよくわからないけど、ここは駐車場もトレイルも沢山あるから、その質問に答えるのは難しいですね。』筆者は持っていたマップを彼らに渡し、今我々がいる場所を教えた。彼らは礼を言ってトレイルを進んでいった。筆者はマップを持って来たことを後悔した。何も大冒険しに来たわけではない。マップを持たずに出かければ、誰かに道を尋ね、会話をすることができたのだ。
この公園の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。
①アルマデン・クイックシルバー群立公園
サンノゼのダウンタウンから車で南へ30分ほどの場所にあるそれほど高くない丘陵一帯全てがこの公園であり、多くのトレイルが整備されている。ここはもともとは水銀の鉱山であり、トレイル中にその跡が見られることが魅力なのだ。水銀とは常温で液体の珍しい金属であり、身近なところでは体温の計測等に使われる。確か気体は有毒だ。この水銀は、鉱石から“金”を抽出するのに必要とのことで、19世紀のゴールドラッシュの頃には特にこの鉱山が重要あったという。あの陰謀論でお馴染みのユダヤ富豪、ロスチャイルド家が一時期この鉱山を所有したこともあったのだそうだ。ちなみに日本にも奈良県の宇陀などで水銀(正確には硫化水銀鉱物の辰砂)が取れ、古代から丹(に)と呼ばれ、顔料や漢方に使われていたという。
②コース1:モッキンバードヒルエントランスから
公園の北側入り口のモッキンバードヒルエントランスには立派な駐車場があって、そこから鉱山の立坑を目指すコースは2時間弱のお手頃ハイキングである。入り口でマップを手に入れる。日の当たる草むらでは七面鳥の家族が列をなし、ニンゲンのことなど目もくれずにテクテクと歩いていた。ここからニューアルマデントレイルを行くと谷を下り始める。公園と隣接する小山の頂上にはたいてい富豪の豪邸が立っていてこれを近くで眺めるのも楽しいが、その邸宅所有者との土地境界を厳然と示す有刺鉄線入りの柵がトレイルに沿って建てられているのはやや幻滅する。谷底の小川を越えると分岐があって、ブエナビスタトレイルを上っていく。けっこうな上り坂で、肥満30代独身日本式サラリーマンは息が切れる。立坑はコンクリートの基礎だけが遺され、坑口にはグレーチングが敷かれているが、埋め戻されているように見える。
③ブエナ・ビスタ立坑から
立看板の内容を読めば、この立坑はブエナビスタ立坑という名で、1882年に堀り始められ、ついには2300フィートの深さまで到達したのだという。地下水をくみ上げるために直径24フィート、重さ5トンの巨大なポンプがここに据えられていたのだという。これにより周辺の鉱山トンネル内の水位が下げられ、掘削を容易にしていたとの記載がある。とにかくこのコンクリート基礎が、腰を掛けて休憩するにはちょうどよく、しばらく座って呼吸を整える。鳥の声が爽やかだ。休憩後、意を決して先へ進むとランドルトレイルに突き当たる。マップを確認し、トレイルを周回して駐車場に戻るにはこれを東方向へ行く方がよいと判断した。この道は平たんで歩きやすく、そのためサイクリングを楽しむ人々が多い。すれ違う彼らに手を振ったり、遠くサンノゼのダウンタウンが見渡せたり、時折トンネル掘削で出たと思われる瓦礫置場があったりと、退屈しない。
足は十分に使ったものの、見知らぬ人との無駄話を行うことはなかなか難しいものだ。しかしランドルトレイルを歩き終え、丁字路を北上して駐車場方面に戻ろうとしていると、すれ違うメキシコ人4人家族の10代の少年に声をかけられた。『すみません、このトレイルはあとどのくらい続くのですか』『えっと、目的地はどこですか』『うーん、駐車場です』『私も初めてなのでよくわからないけど、ここは駐車場もトレイルも沢山あるから、その質問に答えるのは難しいですね。』筆者は持っていたマップを彼らに渡し、今我々がいる場所を教えた。彼らは礼を言ってトレイルを進んでいった。筆者はマップを持って来たことを後悔した。何も大冒険しに来たわけではない。マップを持たずに出かければ、誰かに道を尋ね、会話をすることができたのだ。