ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

アルマデン・クイックシルバー群立公園 その1

2021-04-26 02:55:34 | 生活
 アルマデン・クイックシルバー群立公園とは、サンノゼ市にある公園だ。カリフォルニアでリモート生活に入ってからというもの、筆者は動かない生活になった。それは『もしかしてそのうちニンゲンに足は要らなくなるのでは』と思うほどであった。そして喋らない生活にもなった。職場には無駄話をするきっかけが溢れているし、相手の状況が見えるので、『お、無駄話チャンス!』とタイミングを計ることができるが、リモートではそうもいかない。結果、せっかくの大切な人生の仕事時間が“仕事だけの時間”になってしまうのだ。やはり筆者は“ニンゲンの生活には足も無駄話もあった方がよい”という考え方であるため、週末には極力外に出ることにした。そこでアルマデン・クイックシルバー群立公園に行ったのだ。


この公園の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①アルマデン・クイックシルバー群立公園
サンノゼのダウンタウンから車で南へ30分ほどの場所にあるそれほど高くない丘陵一帯全てがこの公園であり、多くのトレイルが整備されている。ここはもともとは水銀の鉱山であり、トレイル中にその跡が見られることが魅力なのだ。水銀とは常温で液体の珍しい金属であり、身近なところでは体温の計測等に使われる。確か気体は有毒だ。この水銀は、鉱石から“金”を抽出するのに必要とのことで、19世紀のゴールドラッシュの頃には特にこの鉱山が重要あったという。あの陰謀論でお馴染みのユダヤ富豪、ロスチャイルド家が一時期この鉱山を所有したこともあったのだそうだ。ちなみに日本にも奈良県の宇陀などで水銀(正確には硫化水銀鉱物の辰砂)が取れ、古代から丹(に)と呼ばれ、顔料や漢方に使われていたという。


②コース1:モッキンバードヒルエントランスから
公園の北側入り口のモッキンバードヒルエントランスには立派な駐車場があって、そこから鉱山の立坑を目指すコースは2時間弱のお手頃ハイキングである。入り口でマップを手に入れる。日の当たる草むらでは七面鳥の家族が列をなし、ニンゲンのことなど目もくれずにテクテクと歩いていた。ここからニューアルマデントレイルを行くと谷を下り始める。公園と隣接する小山の頂上にはたいてい富豪の豪邸が立っていてこれを近くで眺めるのも楽しいが、その邸宅所有者との土地境界を厳然と示す有刺鉄線入りの柵がトレイルに沿って建てられているのはやや幻滅する。谷底の小川を越えると分岐があって、ブエナビスタトレイルを上っていく。けっこうな上り坂で、肥満30代独身日本式サラリーマンは息が切れる。立坑はコンクリートの基礎だけが遺され、坑口にはグレーチングが敷かれているが、埋め戻されているように見える。




③ブエナ・ビスタ立坑から
立看板の内容を読めば、この立坑はブエナビスタ立坑という名で、1882年に堀り始められ、ついには2300フィートの深さまで到達したのだという。地下水をくみ上げるために直径24フィート、重さ5トンの巨大なポンプがここに据えられていたのだという。これにより周辺の鉱山トンネル内の水位が下げられ、掘削を容易にしていたとの記載がある。とにかくこのコンクリート基礎が、腰を掛けて休憩するにはちょうどよく、しばらく座って呼吸を整える。鳥の声が爽やかだ。休憩後、意を決して先へ進むとランドルトレイルに突き当たる。マップを確認し、トレイルを周回して駐車場に戻るにはこれを東方向へ行く方がよいと判断した。この道は平たんで歩きやすく、そのためサイクリングを楽しむ人々が多い。すれ違う彼らに手を振ったり、遠くサンノゼのダウンタウンが見渡せたり、時折トンネル掘削で出たと思われる瓦礫置場があったりと、退屈しない。



 足は十分に使ったものの、見知らぬ人との無駄話を行うことはなかなか難しいものだ。しかしランドルトレイルを歩き終え、丁字路を北上して駐車場方面に戻ろうとしていると、すれ違うメキシコ人4人家族の10代の少年に声をかけられた。『すみません、このトレイルはあとどのくらい続くのですか』『えっと、目的地はどこですか』『うーん、駐車場です』『私も初めてなのでよくわからないけど、ここは駐車場もトレイルも沢山あるから、その質問に答えるのは難しいですね。』筆者は持っていたマップを彼らに渡し、今我々がいる場所を教えた。彼らは礼を言ってトレイルを進んでいった。筆者はマップを持って来たことを後悔した。何も大冒険しに来たわけではない。マップを持たずに出かければ、誰かに道を尋ね、会話をすることができたのだ。

チャペスの牛ホルモン焼き

2021-04-11 06:03:41 | 食材
 牛ホルモン焼きとは牛の腸を焼くものだ。モツの中でも特別にプリプリとした食感、それにジュワジュワと広がる充実した脂肪汁が、30代独身日本式サラリーマンを幸せにする。豚のそれにも似たような効能があるが、残念ながら臭みが強いため、やっぱり牛が良い。だがしかし米国ではこれがなかなか見つからない。以前紹介したとおり、アジア系スーパーマーケットには牛や豚の様々な臓物が売られているものの、何故か牛の腸だけがない。これがとても不思議である。筆者は日曜の昼下がりなどにその理由をひとりで考えているのだが、『牛の腸はソーセージに使われるため、白人系スーパーに大量の需要があるのではないか』というのが今のところの筆者の推理だ。さて、この牛の腸を唯一手に入れることができるのが、メキシコ系スーパーのチャペスなのだ。


この食材の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①チャペスで牛の腸を買う
メキシコ系スーパー、チャペススーパーマーケットの精肉コーナーで、筆者は牛の胃袋や舌などと共に腸が売られているのを発見した。淡いピンク色に輝く細長い腸には、白い脂肪のひだがこびりついていて、食欲をそそる。おそらくこれは小腸で、日本ではマルチョウと呼ばれる部位である。値段は1ドルあたり3ドル程度とかなり格安だ。さて『メキシコ人の皆さんはどのように牛ホルモンを料理して食べているのだろうか』と思って調べてみると、YouTubeでは牛ホルモンタコスが紹介されていた。マルチョウは玉ねぎ、にんにく、オレンジと共に煮込んで臭みを取った後に細かく切り、カリカリになるまで炒めてタコスの具材にされている。



②チャペスの牛の腸を下処理する
チャペスのマルチョウは、牛から切り落としたそのままで売られているため、買って帰ってビニル袋から取り出してみればそれはとても長い。このままでも臭みは少ないし、見た目もきれいなので、十分に洗われているようにも思えるが、いちおう流水で洗ったり、塩をかけてもみ込んだりしてみる。その後はニンニク・生姜、それに酒・醬油・コチュジャン・ごま油などをかけて冷蔵庫でしばらく寝かしておくのだ。そしてミツワへ行き、適当な焼肉のタレも購入する。



③チャペスの牛の腸を焼いて食べる
ホットプレートに少しだけ油を引いて熱を入れる。熱くなったらそこに少しづつ少しづつホルモンを載せる。載せた途端、マルチョウは『ジュウジュウ』と音を立てて縮みあがり、ときどき『ぱちん』と音を立てて中の油が弾け飛ぶ。こいつを箸でつまみ、焼肉のタレにつけて食べるのだ。幸せな脂肪が口中に広がり、噛む度に脳内に幸せ物質がジュワジュワと抽出されているのを感じる。そしてビールをゴクゴク飲むのだ。部屋には濃厚な焼肉の匂いが充満しはじめる。もしかしたら長屋の隣人らに不快な思いをさせているのかも知れないが、30代独身日本式サラリーマンは、普段は物音ひとつ立てずに『じっ』と暮らしている。たまの迷惑は許されるべきというものだ。 日本のガスの焼肉コンロや七輪で焼けば、大量の脂がしたたり落ちて炎が上がり、それがまたホルモン焼きの醍醐味なのだが、それは我慢だ。翌日、流しに放置したホットプレートには革靴を磨くワックスのようなパテ状の牛脂がぼってりとこびりついている。




 さて、コロナウイルスのワクチン接種が広まっている。ワクチンの副作用で死者も若干出ているようだが、職場の雰囲気を見るに“摂取するのが普通”という考えが主流のようだ。しかし筆者のような(基礎疾患が特にない)30代独身日本式サラリーマンは、コロナで死ぬ確率とワクチンの副作用で死ぬ確率がそんなに違わないように思えるので、正直摂取する意味を感じないのだ。だがどうやら“全員が摂取している空間であればマスクをしなくてもよい”というルールができるようで、“摂取は個人の自由意思”とはいいつつも、マスク嫌いな人々からの見えない圧力を勝手に感じてしまう。筆者は鼻毛が出やすいタイプだし、英語を無理に綺麗に発音しようとするとついつい『ヒマツ』が飛びやすいタイプでもあるので、今後もマスク着用も続けたいと思っている。人生は戦いの連続だ、ホルモン焼きで力をつけましょう。

サボテン・ラーメン

2021-04-05 05:10:43 | 食材
 サボテン・ラーメンとは、賽の目切りしたサボテンをインスタントラーメンの具材にしたラーメンのことである。現在のメキシコでは、貧しく職の無い人々がぞくぞくと国境を不法に超えて米国にやってきており、前大統領の移民政策を人権の観点から徹底的に批難して当選したバイデン新大統領すら、『ナルベク来ナイデ!』と宣言するほどの問題になっている。だがメキシコはその貧困にも関わらず比較的長寿の国である。筆者はこの理由を“食”に見ている。その特徴のひとつがサボテン食だ。砂漠の気候に耐えて育つサボテンは非常に栄養価の高い食物であり、メキシコ人にとっては国民食のような存在で、メキシコ系スーパーならどこでも大量に売られている。以前もこのブログでメキシコ人のサボテン食を紹介したのだが、いかんせん日本人には馴染みがなく、どのように調理すればよいのか戸惑うのが本音である。そこで今回は筆者がたまたま見つけたサボテンラーメンのレシピを紹介するというわけです。


この調理方法の詳細が以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①サボテンをインスタントラーメンに入れてみようを思った経緯
筆者は通常サボテンでサラダを作る。賽の目に切ったサボテンはさっと茹で、みじん切りにした玉ねぎ、細切れにしたトマト、それにぶつ切りにしたオアハカチーズ、あとは適当に冷蔵庫にある野菜を細かく切って混ぜ合わせ、塩少々、そしてライムかレモンを絞るという簡単なサラダだ。酸味とトロミと、そしてオアハカチーズのこってりが合い混ざった心地よいサラダになるというものだ。サボテンは賽の目に切られて袋詰めにされたものがあり、それを購入すれば切る手間が省けるのだが、先日サンノゼ・フリーマーケットで葉っぱのままのサボテンを5枚ほどついつい買ってしまった。今回の発見のきっかけとなったのは、週末の昼にインスタントラーメンを拵えようと思ったときに、この処理に困ったサボテンのことを思い出し、『あ、サボテンいれてみようかな』と思いたったのである。



②入れてみた結果
筆者がサボテンを投入したインスタントラーメンは、かつてこのブログで紹介した香港製の『公仔麺 麻油味』である。沸騰した湯に乾麺を入れる前に賽の目切りのサボテンをドカドカと入れ、再度沸騰したところで麺を入れる。この時点で目で見て判るほど湯にトロミが生まれる。麺の茹で上がり時間が経過したところで湯と麺を、予め調味料を入れておいたどんぶりにぶち込むとサボテン・ラーメンはできあがる。『公仔麺 麻油味』の醬油ベースのごま油味のスープには、サボテンの影響で驚くほどのトロミが生まれ、まるで広東麺のような仕上がりになって口当たりが心地よい。だがサボテンの酸味はサボテンに閉じこもったままなのでスープの味を全く邪魔しない。それどころか口に入ったサボテンの歯ごたえとほのかな酸味が、単調なスープの味にアクセントとして働く。日曜の昼に筆者は、まさに画期的な発見をしたのだった。




③その他のインスタントラーメンでは・・・
感動したのでその他のインスタントラーメンでも試したみたが、やはり醬油系がよいようだ。『サボテンラーメンを世界で初めて食べたのは筆者かも知れない』と思って検索してみたが、やはり日本一のサボテンシティ、愛知県春日井市に先を越されていたようだ。春日井市の中華料理屋“四川”で提供されるサボテンラーメンは、麺にもサボテンが練り込んであるとのこと。ラーメン以外にもヘルシーなサボテン料理を色々提供しているそうなので、次回日本に帰った際には挑戦してみたいものだ。



 去年延期になった東京オリンピックは、仮に今年開催したとしても海外からの観光客は受け入れないことが決定したという。経済的なインパクトを狙っていた人たちの落胆は小さくないだろう。開催権獲得を巡る各国のグレーなやりとりやスタジアム等の施設建設を巡って、オリンピックの意義すら問われることもある昨今だが、どうしたってニンゲンは祭りが好きだし、特にスポーツは古来から感動を呼ぶエンターテイメントで、ある種の一体感を持って熱狂できる。それに普段はタモリ倶楽部程度でしか取り上げられないようなマイナー競技が注目される機会でもあるので、筆者は『あってもいいんじゃないか』と思っている。あとはオリンピック期間中に大きな地震が発生して、世界中のトップアスリートが一瞬のうちに津波にさらわれてしまう、なんて悲劇が起きないことを祈りながらサボテンを食べている。