ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

セイブルック・フィッシュハウス

2017-11-28 18:55:35 | 食事
 セイブルック・フィッシュハウスは、コネチカット州ロッキー・ヒル市内にあるシーフードレストランだ。クラムチャウダーの発祥地だけあってか、ニューイングランドの白人は魚介系の料理を好むようだ。大衆用のスーパーマーケットのStop Shopでも比較的多くの魚介類が並び、富裕層向けの Whole Foods Market の鮮魚コーナーでは鯛やサバ、マスなどの小ぶりの魚が丸ごと一尾で売られている。肉食白人が多く住むベイエリアではあまり見ない光景だ。また、シーフードレストランと銘打った食堂、バーも点在しており、ベイエリア30代独身日本式サラリーマンの心をくすぐる。今回はそのうちのひとつを紹介する。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①アクセス・外観
ロッキーヒル市は比較的新しい町であるためか、古いダウンタウンはなく、幹線道路沿いに点々と商業施設やレストランがあるばかりだ。セイブルック・フィッシュハウスは、州道99号沿いの先日紹介したコネチカット川渡し船へ向かう交差点付近にあるお店だ。白を基調とした建物に、緑色で統一した窓枠・扉やオーニングテントが可愛らしく、釣り針を模したお店の看板デザインも小洒落ている。付近のお店とは異なるややハイエンドな雰囲気は、2人以上での来店が好ましいように見え、30代独身日本式サラリーマンにとっては敷居が高く感じる。


②中の様子
そうさ100%の勇気を出して最初の扉を開くと、正面に貼り紙があり、“右がラウンジ、左がダイニング”と書かれているので30代独身日本式サラリーマンは右へ進む。そうすると意外にもカジュアルな空間があり、敷居を越えるために足を上げ過ぎていた自分に気が付く。手前には安作りのテーブル席が複数、奥には普通のスポーツバーで見られる形式のカウンターテーブルがあり、嬉しいことに一人客もおり、筆者は思わずガッツポーズをしてしまった。ただアジア人の来店は珍しいようで、テーブル席で食事を楽しむ白人老夫婦などから視線を浴びる。


③メニュー、味
何といっても生牡蠣と生ハマグリが食べられるのが嬉しい。1個から注文できるので30代独身日本式サラリーマンは、4個ずつ程度注文するといい。特にハマグリの海の香りが素晴らしく、生ビールや白ワインと一緒に楽しめる。そして前菜が終わると20~30ドル程度のやや値が張る魚介メニューからメインを選ぶことになるが、筆者は何を頼んでいいのか判らず結局毎回フィッシュ&チップスを頼んでしまう。興味のある諸氏らは、Baked Stuffed Sole やShrimp Scampiなどにも挑戦されたし。魚介とアルコールで満たされて、何ともいえない満足感を得ることができるはずだ。調理には少し時間がかかるが、ワインをおかわりしながらゆっくりと待つ時間もまた楽しい。


 コネチカットの日はすっかり短くなり、夕方5時を過ぎると空は闇に包まれる。ベイエリアに比べて電柱が多く、土地が余って空き地が多い道路沿いの夕暮れは、何となく田舎の日本の冬景色に近いものがあり、冬の部活帰りの下校を思い起こさせて切ない気持ちになる。でもあったかいシチューは待っていないので、30代独身日本式サラリーマンはセイブルック・フィッシュハウスでニューイングランド・クラムチャウダーでも飲んで体を温めながら、宮沢りえさんとの結婚騒動のすったもんだ、貴アンドTOSHIの洗脳騒動、紀子を交えた貴アンド若による平成の兄弟喧嘩、そして今回のモンゴルと、いつも貝殻のように頑なに口を閉ざすのに何故かゴシップの種になってしまう貴乃花親方の不幸と、生まれてこのかた何の種も撒けていない自分の不幸を比べながらビールを飲みましょう。

ウォズワース文芸協会美術館

2017-11-24 19:04:51 | 生活
 ウォズワース文芸協会美術館は、ハートフォード市にある美術館だ。ニューイングランド地方の紅葉シーズンは『あっ』という間に終わり、その鑑賞に時間を潰す暇が全くなかった。独り紅葉狩りに自然公園にでも出かけ、ベイエリア30代独身日本式サラリーマン諸氏にその感傷を伝えようと思っていたが、来年に持ち越しである。そしてコネチカットは長い冬が始まり、一か月に4度もやってくる週末という時間に『すること』を探して何とか見つけたのがこのウォズワース文芸協会美術館であった。


この美術館の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①概要
美術館の名前は設立者のダニエル・ウォズワースという人から取ったものだそうだ。投資や保険業などで財を成していたウォズワース家に生まれた彼は、晩年には米国の美術家たちのパトロン業や、美術収集業などと、30代独身日本式サラリーマンとはかけ離れた何とも羨ましい生活をしていたようだ。また、その後コネチカットに本社を置く銃製造のコルト社や、陰謀論でお馴染みの銀行家のJ・P・モルガンさんらの協力により今の規模の美術館へと成長したそうである。


②外観・アクセス~ハートフォードのダウンタウン~
この美術館はハートフォード市の小さなダウンタウンエリアの一角にある。休日のダウンタウンはガラガラで駐車場はどこでも空いているので、何処へでもとめるといいが、あまりに暇で天気のいい日などはコネチカット川を挟んだ東側のホテルの駐車場などに車を止め、歩いてファウンダーズ橋を渡り、コネチカット川の穏やかな流れを観賞するのもいいだろう。ハートフォードのダウンタウンは、小さいながらも歴史を感じる建物が多く、何が入っているのか判らないがパンパンの買い物袋をいくつも抱えた黒人たちがウロウロしているので歩いていても暇にはならない。



③美術館
保険のトラベラーズ社の本社ビルの隣にあるこの美術館もまた歴史ある建造物のようで、小さな城のような建物だ。入場料は20ドル程度とやはり高めだが、入ってみるとさすが世界のコルト社とJ・P・モルガンさんが協力してくれただけあって、美術の教科書に出てくる有名画家の作品を多数見ることができる。誰の作品があったのかよく覚えておいて、いつかの誰かとの会話のネタにしておきたい。また、アメリカン・ポップアートや抽象表現主義の作品も充実しており楽しく、何より展示のされかたにセンスを感じ、あまり美術に関心のない人でも飽きさせない。ゆっくりまわれば二時間ほど楽しめる。


 ボストン美術館とは異なり、美術に関心のありそうな大き目のカメラを持った若い女性や、学会などの帰りに立ち寄った風の大学教員に付いている若い女学生のグループなどの日本人と出会う可能性はほぼゼロだといっていいだろう。であるから30代ベイエリア独身日本式サラリーマン諸氏は、「いやー、今はたまたまシスコで働いていて、休暇が取れて何となくコネチカットに来たんですけど、ここでフランツ・クラインの画が見られるとは思いませんでしたよ」などといった台詞を準備していても使い道はありません。純粋な気持ちで美術を愉しみ、その後は安酒バーに直行し、真剣に翌週の予定を立てなくてはならない。


天虹~Wang Place~

2017-11-21 19:21:02 | 食事
天虹~Wang Place~は、コネチカット州グラストンベリー市にある中華料理店だ。今のところの筆者の踏査によれば、コネチカット州で多く見られる中華料理店は、多数の中華系の人々が暮らすベイエリアとは異なり、四川・北京・広東・湖南などといった各地方料理にはっきりとカテゴライズされているお店は少なく、“チャイニーズレストラン”と大きくまとめられて、どこも似たようなメニューのお店ばかりだ。また、レストランと謳っていてもテイクアウト中心の弁当屋的な中華総菜店である場合も多く、来店してみてがっかりすることも少なくない。ベイエリア30代独身日本式サラリーマンにとっては苦難の中華生活になるが、天虹~Wang Place~は比較的推薦できるお店であるため、ここで紹介しよう。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①アクセス・外観
Whole Foods Marketを中心としたグラストンベリーのセンター街メインストリートの南外れに4,5件ほどの店舗が並ぶ建屋があり、その一番北側に天虹~Wang Place~が入っている。建屋の前に広めの駐車場があり、必ず空きがあるので安心だ。あまり目立たない文字で、天虹~Wang Place~の看板がある。


②内装・雰囲気
扉を開けると『あれ、ほんとうにチャイニーズレストランかな』と思うようなミニ・バーが設けられていて、様々な酒類が飾られている。時折バーに腰をかけてカクテルを呑む白人客を見かけるので興味のある諸氏は挑戦するといいだろうが、大して趣きもない。そのミニ・バーコーナーを突破すると、広々と奥行きのある照度控えめな店内になり、壁には中華風の絵画や文字の掛け軸が掛けられて雰囲気がある。特に100羽近くはいるであろうタンチョウヅルの画が見事であり一見の価値がある。座席の仕切りの金属装飾にも鶴があしらわれており、どうやらオーナーは鶴が好きであるようだ。



③メニュー、味、店員
このお店は北京料理と四川料理を標榜しており、牛肉・豚肉・鶏肉・帆立やエビなどの魚介・ラム肉等のメニューや、炒飯、焼きビーフンなどを使った、一人客でも親しみやすいメニューが並ぶ。辛いメニューには唐辛子のマークが書かれているが、決して辛くないので、スパイシー好き30代独身日本式サラリーマン諸氏は『辛めでお願いします』と伝えた方がいいだろう。また、CHOP SUEYと呼ばれる八宝菜風の炒め物も安心の味がするのでお勧めできる。青島ビールをごくごく飲むのもいいし、赤ワインも取り揃えてある。店員は若めのアジア人青年が幾人かおり、皆愛想のいい人々だ。

 
 ゆったりとした店内は中華料理レストランにありがちな家族団欒の雰囲気はなく、30代独身日本式サラリーマンが独りでふらりと訪れても違和感はない。餃子の王将に出掛けるつもりで気軽に入ってもらうといいだろう。14年ぶりに舞台への出演が決まった30代独身日英式タレントのベッキーさんが、「仕事がある幸せを感じて、第2章を大切に進んでいきたい。結婚しても仕事は続けたいし、代官山あたりでセレクトショップをやりたい。夢はいっぱいあるんです」」と力強く抱負を語ったそうだ。長ずぎる序章を未だに過ごしている30代独身日本式サラリーマンも、彼女に見習って仕事がある幸せを感じながらクンパオ・チキンを食べましょう。

コネチカットリバー渡し船

2017-11-18 01:43:30 | 生活
コネチカットリバー渡し船とは、コネチカットリバーを横断する交通用フェリーをいう。地球上の多くの生物にとって河川は貴重な真水の供給源として大切に利用されている。また“川向う”“対岸の火事”という言葉もあるように、サルから分離して以来縄張りの拡大を続けたニンゲンにとっては、河川は村や国の境界線としても利用されている場合がある。近代以降ではそのような境界線を越えるために、河川には橋が架けられるのが常であるが、橋が架かる前までは舟による渡河が一般的であったようだ。日本でも江戸川の矢切のように、観光用を含めていくつかの地域で渡し船が今も営業されているそうだが、筆者が開発途上国以外で交通手段として舟で川を渡るのはコネチカットリバーが初めてであり、なかなか粋であったため紹介しておこうという企画だ。



この渡し船の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①コネチカット川
コネチカット川は、長さ約655㎞であり利根川のちょうど2倍の長さを持つというから日本人からするとこれは大河である。だいたい東京都から岡山県までの距離になるようだ。高速道路91号や、ハートフォード市・スプリングフィールド市などのニューイングランド地方の主要な都市がコネチカット川に沿って建設されていることから、歴史的にも水源や物資の輸送などのために利用されてきた河川であることが見て取れる。ハートフォード近辺のコネチカット川は東西に大きく蛇行しており、両岸は木々で覆われ、ベイエリアの乾燥しきった大地ではなかなか見られない豊かな自然を感じることができる。


②アクセス・料金
この渡し船はコネチカット川で分断されたグラストンベリー市とロッキーヒル市を渡している。グーグルの地図を見ても州道160号線がコネチカット川で分断されており、その河川上を破線でフェリーの航行が示されている。この地点は北方に架かる橋まで約5キロ、南方に架かる橋まで約10キロもある。その距離と交通渋滞などのタイムロスや燃料費を鑑みて、片道6ドルという高額にも関わらず利用している人は少なくないようだ。



③渡り方・楽しみ方
小さなフェリー船が、乗用車を3台分運搬できるバージを曳いて航行している。営業時間内は常に運行し、1往復10分程度であるため、時刻表や予約などはなく渡りたいときに渡し場へ行けばいいようだ。いかにも川渡しの親父といった風貌の白さが少ない白人男が2人おり、彼らに従って車をバージ上に運転し、窓から現金を支払う。常連以外が来たと察したおやじ達は、「外に出て写真撮ったっていいんだぜ」などと声をかけてくるのでにこやかに対応するといいだろう。あとはコネチカット川の遊覧を楽しむだけだ。間近で見るコネチカット川の流れは、まるで秋元康さんの詞に出てくる川の流れのようにとめどなく、おだやかで、いつまでもこの身を任せていたくなる。が、ものの5分で対岸に着く。


 生まれてこのかた船で渡河したことのない30代ベイエリア独身日本式サラリーマンにはお勧めのアトラクションだ。舟がタイミングよくやってきたときの“渡りに舟感”や、渡り終えた後の“川を渡り切った感”には、“橋”では体験できない充足がある。また、振り返ってさっきまで自分が居た対岸を見ると不思議な時間感覚に襲われ、また戻ってみたくなる。六文銭を忘れて奪衣婆に身ぐるみを剝がされて、泣く泣く鬼と共に渡る三途の川が、人生最初の舟での渡河(片道)にならぬよう、生きているうちに現世の川を渡っておいても無駄な時間ではないだろう。

ボストン美術館

2017-11-11 17:24:14 | 生活
ボストン美術館は、マサチューセッツ州ボストン市にある美術館である。アメリカ建国の重要都市であるボストン市は、コネチカット州ハートフォード市から車で90分ほどの場所にあるため、気軽というほど気軽ではないにせよ、そこそこ気軽に日帰りドライブが可能だ。世界都市ボストンでも特段『すること』を思いつかない独身日本式サラリーマンにとっては、車中だけで往復約3時間も時間を潰せるのことはポジティブ要素だし、諸氏は既に知っている。美術館が簡単に、孤独を感じずに、そこそこ充実した気分を味わえる施設であることを。ただし、ボストン美術館は世界でも有数のコレクションを誇る大美術館であるため、そこそこどころではない充実感を味わえることを先に述べておきたい。


この美術館の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①立地・アクセス
ボストンの中心部は、チャールズ川の河口付近に突き出たショーマット半島であり、教会や州の議事堂などの歴史ある建物と、最先端のファッションや飲食エリアが混在した素敵なエリアとなっている(らしい)が、ボストン美術館はそのエリアからは南東に数キロに離れた、複数の大学が乱立する学生の下宿街のような場所に位置している。よってグーグルマップのナビを美術館にセットして何も考えずにハイウェイを走らせていると、ふいに前方に見えてくるボストンのビル群に胸が高まるも、それよりずいぶん手前のさみしい場所でゴールして肩すかしに遭った気分になる。また、駐車場の料金がどうしても30ドルほどかかるうえに、入場料も30ドル程度かかるのでかなりの出費になる。


②中の様子
印象派の大家達の著名な作品や、フェノロサや岡倉天心らの努力で集められた貴重な日本絵画などが見られる美術館であるにも関わらず、休日に訪れてもそこまで混雑していないために、ゆっくりと美術を観賞できる。館内は中央が大きく吹き抜けており、1階から4階までのロの字型のエリアが常設、地下1階が主に企画展示エリアになっているようだ。フロアガイドを見ると簡単に回れるように感じるが、各フロアに様々な罠が隠されており、地図がなければなかなか思い通りに鑑賞することができず、同じ美術を何度も見たり、上下の階になかなか移動できなかったりする羽目に遭うだろうが、それも含めて楽しむといいだろう。疲れたらば吹き抜け中央1階のレストランや、3階にあるレストランなどで休むことができるが、共に洗練されており日本式独身サラリーマンには敷居が高く感じられる。


③中の様子2
その規模の大きさは、ベイ・エリアで筆者が暇つぶしに出掛けていた小美術館を遥かに凌駕しており、メキシココーナーはフォート・メイソン芸術センターのメキシコ美術館のざっと30倍、エジプトコーナーはサンノゼのエジプト美術館の10倍以上の規模があり、これまでのせっかくの暇つぶし紀行がコケにさえているかのような感覚になってしまうので、それ相応の覚悟を持って行かなくてはならない。



 ボストン美術館には、美術に関心のありそうな大き目のカメラを持った若い女性や、学会などの帰りに立ち寄った風の大学教員に付いている若い女学生のグループなど、日本人と思われる人々と多くすれ違うことができ、美術鑑賞以外にも心のふれあいのポテンシャルを感じられて楽しい施設だ。筆者の場合はポテンシャルはポテンシャルのまま鑑賞を終了したが、30代ベイエリア独身日本式サラリーマン諸氏も、少し大き目なカメラをぶら下げて、「いやー、今はたまたまシスコで働いていて、休暇が取れて何となくボストンに来たんですけど、フリーダ・カーロだけは少し見たくて来てみたんです・・」などといった格好いいセリフを準備しておいてはいかがだろうか。敷居の高い洗練されたカフェにはワインもありますよ。