宇部新川とはJR宇部線の駅である。石炭記念館を後にした筆者はときわ公園入口前にバス停を見つけ、次の目的地の宇部新川駅行きのバスに乗り込んだ。宇部市・小野田市の海沿いは、瀬戸内工業地域の中核をなすにも関わらず、鉄道交通の便がよくない。新幹線や山陽本線の主要駅からは離れていて、JR小野田線・宇部線を使って行かねばならず、地図を見れば一帯は陸の孤島のような感がある。それでも中心部である宇部新川駅は、地図だけ見ればけっこうな盛り場で、出張者や工業労働者の憩いの場になっているようだ。筆者はひょんなことから宇部市周辺へ行くことになったので、この盛り場へ行くのを楽しみにしていた。
この町探訪の記録は以下の通りだ、参考にしてもらいたい。
①街を歩く
バスを降りた筆者は宿探しのついでに町を散策してみることにした。まだ日が高い。宇部新川駅から南東へ伸びる商店街は、もともと夜の町ということもあるのか、加えてコロナや猛暑の影響もあってか、閑散としている。野良猫がアーケード商店街真ん中でのんびりと寝そべっていたりして風情がある。地図で見ると酒場が密集するこのエリアも、店舗の二階が住居になっている建屋が多く、生活者のための駐車場などのスペースもたくさんあって、町に生活臭が強いのがまた風情を与えているようだ。時折見られる小じゃれたバーは、近くにある山口大学の学生らをターゲットにしたものだろうか。
②ビジネス旅館駅前
歓楽通りの入り口付近に“山田屋別館”という風情豊かな安宿が見つかったのだが、残念ながら閉店しているようだ。次に新川駅の南西方向にいかにもな安宿、“ビジネス旅館駅前”が見つかった。町役場のような入口の階段を上がるとすぐに町役場の受付のようなフロントがあって、『風呂やトイレは共用だが大丈夫か』と確認される。まるで町役場のような内階段を上がると長い廊下があり、部屋が並んでいる。すれ違う宿泊客はやはり作業員風・船乗り風の中年男ばかりで『こんにちわ!』と気持ちのいい挨拶が交わされる。部屋は小さな冷蔵庫とテレビがあるばかりで、タコ部屋の雰囲気があって風情を感じる。2階には小さな食堂や洗濯物が干せる大きなベランダがあったりして社員寮のような雰囲気もある。テレビには期待の通り24時間無料でやや古めのエロ放送が流れていた。部屋も風呂屋もトイレも清潔で、決して悪くない。
③鮨処たつみに入る前
やっとこさ酒場町に灯がつく時分になったので、再び町へ出かける。大通りから逸れる小路に粋な雰囲気の酒場がちらほら見える。最初に行ってみた魚介を推す酒場は予約でいっぱいで入れないとのことだ。コロナ禍でもなかなかに栄えてるようでうれしい気持ちになる。隣の建屋にある焼き鳥屋に入るも、ここもずいぶんな人気店のようで、30代独身日本式サラリーマンが一人で入るには相応しくないようだった。バイトの姉ちゃんに『90分の時間制限でお願いします』と言われて気分が冷めたので、焼き鳥数本とハイボールを飲んで店を出た。熱心に焼き鳥を焼いていた大きな坊主頭の大将は、筆者の気分を察したように表まで出てきて扉を開けて送り出してくれたのだった。
そして入ったのが鮨処たつみである。おつまみが充実した嬉しい鮨屋で、このわた、葉わさび、ゲソ酢味噌にクジラベーコンを瓶ビールや東洋美人でしっぽり愉しむ。眼鏡の坊主の大将は黙々と調理を続け、客と話さない。お付きのまだ若い2人の子分は大将の動きを察して材料をサッと準備している。大将が奥に入った隙に『大将、怖いの?』と冗談半分に尋ねるも、子分らは『いえ!大将は怖くないですよ!』と全否定された。最後に上握りをいただきました。カウンターだけの居心地のいい鮨酒場で、宇部新川で嬉しい思い出ができました。
この町探訪の記録は以下の通りだ、参考にしてもらいたい。
①街を歩く
バスを降りた筆者は宿探しのついでに町を散策してみることにした。まだ日が高い。宇部新川駅から南東へ伸びる商店街は、もともと夜の町ということもあるのか、加えてコロナや猛暑の影響もあってか、閑散としている。野良猫がアーケード商店街真ん中でのんびりと寝そべっていたりして風情がある。地図で見ると酒場が密集するこのエリアも、店舗の二階が住居になっている建屋が多く、生活者のための駐車場などのスペースもたくさんあって、町に生活臭が強いのがまた風情を与えているようだ。時折見られる小じゃれたバーは、近くにある山口大学の学生らをターゲットにしたものだろうか。
②ビジネス旅館駅前
歓楽通りの入り口付近に“山田屋別館”という風情豊かな安宿が見つかったのだが、残念ながら閉店しているようだ。次に新川駅の南西方向にいかにもな安宿、“ビジネス旅館駅前”が見つかった。町役場のような入口の階段を上がるとすぐに町役場の受付のようなフロントがあって、『風呂やトイレは共用だが大丈夫か』と確認される。まるで町役場のような内階段を上がると長い廊下があり、部屋が並んでいる。すれ違う宿泊客はやはり作業員風・船乗り風の中年男ばかりで『こんにちわ!』と気持ちのいい挨拶が交わされる。部屋は小さな冷蔵庫とテレビがあるばかりで、タコ部屋の雰囲気があって風情を感じる。2階には小さな食堂や洗濯物が干せる大きなベランダがあったりして社員寮のような雰囲気もある。テレビには期待の通り24時間無料でやや古めのエロ放送が流れていた。部屋も風呂屋もトイレも清潔で、決して悪くない。
③鮨処たつみに入る前
やっとこさ酒場町に灯がつく時分になったので、再び町へ出かける。大通りから逸れる小路に粋な雰囲気の酒場がちらほら見える。最初に行ってみた魚介を推す酒場は予約でいっぱいで入れないとのことだ。コロナ禍でもなかなかに栄えてるようでうれしい気持ちになる。隣の建屋にある焼き鳥屋に入るも、ここもずいぶんな人気店のようで、30代独身日本式サラリーマンが一人で入るには相応しくないようだった。バイトの姉ちゃんに『90分の時間制限でお願いします』と言われて気分が冷めたので、焼き鳥数本とハイボールを飲んで店を出た。熱心に焼き鳥を焼いていた大きな坊主頭の大将は、筆者の気分を察したように表まで出てきて扉を開けて送り出してくれたのだった。
そして入ったのが鮨処たつみである。おつまみが充実した嬉しい鮨屋で、このわた、葉わさび、ゲソ酢味噌にクジラベーコンを瓶ビールや東洋美人でしっぽり愉しむ。眼鏡の坊主の大将は黙々と調理を続け、客と話さない。お付きのまだ若い2人の子分は大将の動きを察して材料をサッと準備している。大将が奥に入った隙に『大将、怖いの?』と冗談半分に尋ねるも、子分らは『いえ!大将は怖くないですよ!』と全否定された。最後に上握りをいただきました。カウンターだけの居心地のいい鮨酒場で、宇部新川で嬉しい思い出ができました。