ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

路線バス

2016-09-30 22:51:53 | 生活
 路線バスとは定められた路線を運行し、不特定旅客を運送するバスのことをいう。我らが独身日本式サラリーマンも米国に暮らし始めて、「米国は何てったって“車社会”だから」という一言を耳にしたり、口にしたりしたこがあるに違いない。事実、歩行者や移動手段としての自転車を使用している人は日本ほど多くはないだろう。さらにはある程度の飲酒運転を許容しないと経済が成り立たないほど、確かに米国の交通システムは自家用車に依存しているように見える。しかし、とある統計データを見ると米国には一家に一台しか自家用車を所有しない家庭や、さらには車を持たない家庭もかなりの割合で存在していることが判る。アメリカンドリームを成し遂げ、クラシックカーを何十台も持つ一部の富豪たちの存在を差し引くと、その所有率は一家に1.7台もの自家用車所有率を誇る富山県よりも少ないのではないかと思われ、それはここベイエリアを走る路線バスからもうかがい知ることができるのだ。


この路線バスの特長は下記のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①概要
独身日本式サラリーマン諸氏も、オフィスへと急ぐ忙しい通勤時に少し辺りに気を配ると通りには多くのバスが走っていて、バス停もかなりの数で存在していることに気が付くだろう。バス停には、そのバス停に停まるバスの路線番号が記されている。路線図もバス停で手に入れられ、それを見ると主要な道路に沿って南はサンノゼ、北はダウンタウン、西側の太平洋方面へも広範囲に渡って路線が整備されていることがわかる。ただし時刻表はなく、ラッシュ時は20分毎、それ以外は40分毎といった便数の設定のみされているようだ。


②乗り方
券はバスに乗ったときに払う京都市バス方式だ。料金設定も京都市バス方式と同じで距離とは無関係で“1回〇ドル”という簡単な設定なので、乗っている間に「いくら払えばいいのだろう」と不安に駆られることはない。筆者はいつも5.5ドルの一日乗り放題チケットを購入する。2回乗るならこれを買った方がよいような料金設定なはずだから、往復券を買うつもりで乗り放題を購入するのだ。おつりも出てくるので小銭を気にする必要もないし、時刻表がないため運転手も時間を気にしていないから、日本の京都市バスのように券を購入するのにモタモタしても運転手にイラっとされない。ただしクレジットカードの利用可否は確かめていないので調べて欲しい。

③降り方
降り方は、降りる場所を知っていないとなかなか難しい。というのも日本の京都市バスのように英語や日本語や中国語や韓国語で毎度毎度次のバス停を教えてくれず、それでも降りるバス停の手前で窓際に張られた紐を引っ張って“次、降ります”と伝えなくてはいけないからだ。よって、知らない町にバスで出かけるより、知っているところをあえてバスで行ってみるという遊び方が無難だ。

④車内
そこはサラダボウルだ。沢山の普通の人々と、幾人かの奇人を目にするだろうが、そこには貴人は居ない。人々は確かにバスを通勤や通学手段、ヨガ教室やショッピングモールまでの移動手段として利用している。そして何故バスに乗っているかわからない奇人たちも確かにいる。


たまにはバーリンゲイムやサンカルロスや、サンマテオのダウンタウンまで、用事もないのにバスで行ってみてはどうだろう。そしてバスで戻ってみてはどうだろう。いつもの道もバスの車窓から見ると違って見えて面白いし、辿りついたいつもの町も何だか知らない町になっている。そして自分の人生とは一切関わりのない、生き方も人種も宗教も違う人々と同じ方向へ進むバスへ乗って、その混沌とした空気を吸って吐けば、「アメリカは何たって車社会だから」と耳にしたり口にしてしまったりしたときに一瞬だけその空気が鼻孔に蘇るだろう。

Home Depot前のホットドッグ屋

2016-09-28 23:14:15 | 食事

 Home Depot前のホットドッグ屋は、サンカルロス市のHome Depot前のホットドッグ屋だ。エルカミノ通りをブリテンアベニューで曲がったところにあるHome Depotで、敷地内には1ドルショップやラッキーなども入っている。ホットドッグは米国を代表する食べ物と言っても間違いではなく、独身日本式サラリーマンもニューヨークのサラリーマンに憧れて、何度か買い求めたことがあるに違いない。そしてその浅薄な味にやや失望したことだろう。それでもしばらくするとまた何故か食べたくなるのがホットドッグで、同じ失敗を繰り返すことになる。しかし、ここのホットドッグは違うのだ。


このお店の特長は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。


①雰囲気1
庭の手入れや日曜大工に勤しむ米国人にとってホームセンターは非常に神聖な場所であり、多くの人で賑わう。また、広大な駐車場と歩道を区切る植栽帯にはジーパンにキャップを被った40人ほどのメキシカンの男たちが寝転がったり、談笑したりしている。彼らはいわゆる職のない連中であり、Home Depotに職を求めて集まっているのだ。というのも簡単な配管工事や大工工事をおこなう人々が、ここで材料を購入し、さらにここで彼らを日雇いで雇うことで労務も確保するということなのだそうだ。日本でいうかつての山谷や西成のような場所に当たるのだろうが、ここには岡林信康の歌のような陰気さはない。


②雰囲気2
ホットドッグ屋は、巨大なHome Depotの建屋の前にチョコンと建てられた掘っ立て小屋のような作りで、店の前に屋外テーブルが2,3台並べてある簡素な作りだ。特段流行っている様子もない。イタリア人のような、メキシカンのような親父と、明らかにメキシカンなお姉さんが狭い掘っ立て小屋の中に入っていて、彼らが調理する。


③メニュー・味
旨い。中のソーセージによって4種類ほどのメニューがあり、うち二つに挑戦したが、いずれも旨い。ビッグポリッシュソーセージは歯ごたえ十分で、マスタードとピクルスとの相性がよい。スパイスが効いたイタリアンソーセージはオニオンと一緒に炒めて出てくる。そこいらの店とパンの質も違う。下手なファストフード店よりずっと美味しいと断言できる。また、“小さな小汚い店で買って、外ですぐ食べるあの感じ”が何となく幼い時分に駄菓子屋や祭りの屋台で経験した気持ちを思い起こして一層美味しく感じるのだ。



独身日本式サラリーマンも、日本でコーナンと100円ショップに用事があるようにHome Depotや1ドルショップには必ず用事があるはずだ。そんなときは思い切ってサンカルロス市まで足を運んで、このホットドッグも味わってみてもらいたい。そして職を求めてじっと佇んでいる男たちを眺めながらソーセージを頬張り、自由の国の厳しさを目の当たりにするといいだろう。

家系ラーメンヨコハマ

2016-09-20 21:52:37 | 食事
 家系ラーメンヨコハマは、ベイエリアから橋を渡ってユニオンシティにあるラーメン屋だ。ベイにかかる4本の道路橋のうち、もっともマイナーな橋と呼んでいいDumbarton Bridgeを行く。橋のベイ側のたもとにはFace bookの本社があり、その看板で記念写真を撮る人々を見ることができる。そして湾沿いは干潟の回復を目的とした整備という名の放置がされている。橋を越えるあたりから、どぶ川の様な臭気に襲われるが、これは塩田のせいだと思う。橋を渡ってから15分程度北上したところのショッピングエリアに、家系ラーメンヨコハマはあるのだ。

この店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。

①内装・雰囲気
店内は黒っぽい内装だ。筆者が訪れたのは午後二時頃であったが、大変な賑わいであった。
大きな黒い布に白くデカデカと“家”と書かれた垂れ幕が下がっている。

②店員
店員も内装に合わせて黒いTシャツを着ている。
そのTシャツの左胸の部分に“家”と大きく書かれている。

③メニュー、味
複数のラーメンがあり、スパイシー系のラーメンがヒスパニックの人々に人気のようだ。筆者は、元祖家系ラーメンをいただいた。普通に美味しい、筆者の知る家系ラーメンに近い味であった。アサヒビールも売られていて、よく冷えていたので満足した。


とにかく、店内のいろいろなところに“家”と書かれていて、ずっと“家”という字を見たり、“家”という字を何度も書いたときに感じる「“家”ってなんや!」というもどかしい感覚になってしまった。人々の都市部への集中が核家族化を生み、女性の権利確立により夫婦別姓を選択する人々も増加したそうだ。親戚縁者の住む故郷から地球1/3周分も離れたベイエリアに住む独身日本式サラリーマン諸氏は、改めて“家”について考えなおしたいと思うこともあるだろう。そんなときはあのどぶ臭い橋を渡って“家系ラーメンヨコハマ”へ行ってみよう。

GUAYAKI Yerba Mate

2016-09-13 07:00:17 | 食材
GUAYAKI Yerba Mateは、清涼飲料水の商品名だ。
大人になり、酒類の美味しさを憶えてしまったせいで、なかなか清涼飲料水というものを飲まなくなった。しかも米国のコンビニエンスストアなどには、「果たしてこれは“清涼”なのか」という疑惑の晴れない代物がずらりと並んでいることは、独身日本式サラリーマン諸氏の知るところであろう。それでもカリフォルニアの青い空の下、太平洋から吹き付ける風を受けながらゴクゴクと、まるで清涼飲料水のCMのように飲める清涼飲料水を知っておきたいものだ。そんなときにGUAYAKI Yerba Mateはお勧めできる。

この食材の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。

①概要
GUAYAKIとはこの飲料を製造する会社の名前であり、どことなく南米辺りの企業を思わせるが、ところがどっこい地元カリフォルニアの企業であるということだ。 この企業は日本でも一時期話題となった南米由来のマテ茶を利用した飲料を製造しており、このGUAYAKI Yerba Mateもそれに当たる。オーガッニックを標榜しており、健康アピールできる飲料を主に製造している模様だ。

②購入できる場所
筆者の決して短くない独身日本式サラリーマン生活の中でも、最近見つけたものであり、そう広く流通しているものとは思えない。近所の酒屋の端っこに佇んでいるのを見つけた。ただし、上述したように割と健康志向の高い商品だからWhole Foods Marketのような場所にもあるかも知れない。

③装丁、味
瓶入りのものと、缶入りのものがあり、どちらも500ミリリットル程度の容積だ。オレンジ味、レモン味等の複数の味があるが、どれも黄色い下地に味ごとに違う色のフォントで商品名が書かれている。そのデザインがまたブラジルを思い起こさせる洒落たもので、一般的米国の飲料とは一線を画す。肝心な味も悪くない。要は果実と砂糖を混ぜたマテ茶であり、いわゆるアイスティーだ。甘さが控えめなのですっきり飲めるし、何せ果実は丸ごと混ぜられているようで、その甘味から皮の苦みまで閉じ込めてあるのが秀逸だ。最初が砂糖の甘味、それから果汁の酸味と甘み、最後に苦みが舌に残って不思議な味わいなのである。個人的にはオレンジ味を勧める。筆者もまだ試していないが、スパークリングもあるようだ。


世界は常に何かの意図により動かされていて、毎日常識が覆される。人々は、最初はその変化に驚くが、何の思索もせずにすぐに受け入れる。そして昨日までの常識をあっさりと忘れることができる。この人間の愚かしいまでの柔軟さが、これまでの進歩を生み出し、同時に過ちを繰り返させ続ける。GUAYAKI Yerba Mateのオレンジ味が、独身日本式サラリ-マン諸氏の生活を一変させるかもしれない。そんな覚悟で一口目を味わうといいだろう。

Momokawa

2016-09-08 21:34:32 | 食材
 Momokawaは日本酒だ。熱燗用の安酒を除いて、米国で売られている数あるSAKEは、やはり高く、買ってみて「あ、旨くない」というのもショックだし、中には砂糖を混ぜたトンデモ酒もあったりするので、聞いたこともない名前の酒を買うには勇気がいるだろう。独身日本式サラリーマン諸氏も、かなりの通でもない限りこのMomokawaの名を聞いたことはないであろうが、このMomokawaは実は純粋な日本由来の酒である。設立1800年代の老舗酒蔵、青森県の桃川酒造の酒であり、米国オレゴン州にも酒蔵を持つ。


この酒の特長は以下の通りなので、参考にしてもらいたい。


①入手できる場所
不思議なことに、日本料理屋などでこの酒がサーブされることは少ない。また、ニジヤなどの日系スーパーや、中華系スーパーでもMomokawaを目にすることは少ない。Momokawaは、Whole Foods Marketなどのやや高級な米国系のスーパーで手に入れるのだ。
この点からも、日本人に認知されていない日本酒だということが判る。


②見た目
まるで清涼飲料のような青や緑の爽やかな瓶に入っており、水玉模様が描かれたラベルに可愛らしいフォントで“Momokawa”と書かれている。女子受けを狙った最近のお酒のような装丁だ。“白鶴”や“八海山”のような毛筆の猛々しい字で描かれたいわゆる“日本酒”とはかけ離れた外観も、日本人が近寄らない一因となっているものと思われる。


③味
味は数種類あり、辛口のシルバーや甘口のルビー、少し高めのオーガニックパールなどと名前が付けられている。非常にすっきりとした飲み口でみずみずしく、そしてフルーティーな味わいで、何だか日本の高い冷酒のような満足感が得られる。つまり本格SAKEだ。
日本料理とも合うし、ワインのようにイタリアンやフレンチとも楽しむこともできる酒だと言える。


筆者が日本で暮らしていた頃に贔屓にしていた小料理屋はこの桃川を出してくれていた。国産の桃川は、漢字で“桃川”と書かれたしっかりとしたお酒で、鯛の刺身とよく合った。
渡米直前にしみじみと
「ねぇ大将。しばらくこの桃川ともお別れだねぇ・・」とうそぶくと、
「あ、何かアメリカにもあるらしいっすよ」と返されて、「あ、そうですか」となったことが昨日のことのようだ。