ウィルマンティックとは、コネチカット州東部の小さな町だ。とかく30代独身日本式サラリーマンはタモリに影響されやすく、彼の番組にあやかって街歩きの真似事をしてみたくもなるが、いざ実践してみるとそれを十分に楽しめないことがわかる。30代独身日本式サラリーマンはタモリほど地形や歴史に対する見識がないので発見が少ないし、タモリのようにおだててくれる取り巻きがおらず孤独で寂しい。それにタモリのように著名でないのでぶらっと食堂に入ってみても “あらタモリさん!” と店員に手放しでは歓迎されない。それでも暇な週末に知らない町に出かけたくなるのは、心のどこかで“今日こそ知らない町で、何かが起きるかも知れない”と期待しているのだろうか。先日はウィルマンティックに足を運んだ。
この町の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。
①街選び
街歩きを決行するには、まずどの町を歩くかを決める必要がある。所ジョージのようにダーツで決めるほどの胆力を持ち合わせないので、まずは愚かなグーグルマップで長屋近傍の町を彷徨う。そうすると何となく町が見つかる。幹線道路からは外れた山あいにあるにも関わらず、メインストリートには比較的多くの飲食店が並び、小さなミュージアムがあるこのウィルマンティックが目に付いた。だがそれほど興味があるわけではないので、これ以上はこの町を調べない。調べるとその少々の興味が失せる可能性があるからだ。火が消えないうちに車に乗り込む。
②アクセス
ハートフォード地区からは車で30分程度だ。6号線を東へ向かってもよいが、2号線から66号線へ入り北上する道は、山の中に気持ちのいい車道が整備されていて、農場の景色や山道の途中にある小さな村落の雰囲気を眺めながら運転ができる。
③メインストリート
メインストリートの西端に路上駐車し、東に向かって散策を開始する。通りはレンガ造りの古そうな建物が並ぶものの廃墟が多く、その合間にこじゃれたカフェやレストランが入っている。少し北に上がると大学があるので、平日の昼夜は学生諸君らがこれらのカフェなどを利用しているのだろうが、日曜の昼下がりは人通りが少なく、やや貧相な風体の男たちが腰をかけていたり、ジャンクフードを貪ったりしているのが目に付く。古い歴史がありそうな教会も趣きがあり、通り全体を歴史的地区として保全しようとする向きも見受けられる。
④鉄道と河川
メインストリートを歩いていると1900年初頭に建設されたという長い歩道鉄橋が南に延びていたので渡ってみることにした。鉄道と河川を越えて住宅地とダウンタウンを結んでいるのだそうだ。鉄道はダウンタウンに隣接して停車用の分岐線がずらりと並び、かつては鉄道輸送で発展した町であることが窺える。川の流れは非常に豊かで水が綺麗だが、鉄道用敷地で入れないはずの川辺にはゴミや酒瓶などが散乱しているのが橋の上から見て取れた。しばらく橋上でぼんやりと川面や街並みを眺めていたが、その間の橋の利用者は40代風の白人女性のみで、こちらのにこやかな笑いかけには目もくれずスタスタ通り過ぎて行った。
⑤蛙
再びメインストリートに戻りさらに東進すると、今度は車が通る立派な橋がある。この橋のたもとには割と大きな蛙の像が建てられている。石柱の上に鎮座し、後ろ足をだらしなく伸ばした蛙の目は金色で珍妙だ。正面から見るとバッタの様に見えなくもない。商店街で見た廃墟の壁に、“Frog town market”と描かれた消えかけたペイントも見たので、この町は蛙と何かの縁があるのだということがわかる。
⑥スーパー
メインストリートから北側の住宅エリアをうろついてみると教会の裏にスーパーがあった。ベイエリアではよく見かけるLGBTの旗が掲げられたこのスーパーは、オーガニック食品やローカルの食材などが多く売られる金持ち用のスーパーで、筆者は記念にカトー・コーナー・チーズを購入した。通りには割と貧相な人々が多く住居も簡素なものが多いようだったが、このようなお店もあるので山の方には富裕層が住むのだろうか。
このようにぶらりと観察しながら町を2時間ほど徘徊し、帰宅した後に旨いに決まっているカトー・コーナー・チーズを肴にビイルを飲みながら、散策中に感じたことを踏まえてウィルマンティックについて調べてみる。するとこの町の住民がフレンチ・インディアン戦争期に敵と間違えて蛙の大群に夜襲をかけたことや、豊かな河川の水力を利用して「生糸の町」として繁栄し衰退した歴史、2000年代初頭には「ヘロインの町」と言われるほどに荒廃してしまった過去を持つことなど楽しい史実が判明し、それが見てきた景色が繋がって楽しくお酒を呑むことができました。30代独身日本式サラリーマン諸氏も、ハイティーンは遥か昔で書はほとんど持っていないが、たまに町へ出よう。コスパのいい暇つぶしだと思います。
この町の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。
①街選び
街歩きを決行するには、まずどの町を歩くかを決める必要がある。所ジョージのようにダーツで決めるほどの胆力を持ち合わせないので、まずは愚かなグーグルマップで長屋近傍の町を彷徨う。そうすると何となく町が見つかる。幹線道路からは外れた山あいにあるにも関わらず、メインストリートには比較的多くの飲食店が並び、小さなミュージアムがあるこのウィルマンティックが目に付いた。だがそれほど興味があるわけではないので、これ以上はこの町を調べない。調べるとその少々の興味が失せる可能性があるからだ。火が消えないうちに車に乗り込む。
②アクセス
ハートフォード地区からは車で30分程度だ。6号線を東へ向かってもよいが、2号線から66号線へ入り北上する道は、山の中に気持ちのいい車道が整備されていて、農場の景色や山道の途中にある小さな村落の雰囲気を眺めながら運転ができる。
③メインストリート
メインストリートの西端に路上駐車し、東に向かって散策を開始する。通りはレンガ造りの古そうな建物が並ぶものの廃墟が多く、その合間にこじゃれたカフェやレストランが入っている。少し北に上がると大学があるので、平日の昼夜は学生諸君らがこれらのカフェなどを利用しているのだろうが、日曜の昼下がりは人通りが少なく、やや貧相な風体の男たちが腰をかけていたり、ジャンクフードを貪ったりしているのが目に付く。古い歴史がありそうな教会も趣きがあり、通り全体を歴史的地区として保全しようとする向きも見受けられる。
④鉄道と河川
メインストリートを歩いていると1900年初頭に建設されたという長い歩道鉄橋が南に延びていたので渡ってみることにした。鉄道と河川を越えて住宅地とダウンタウンを結んでいるのだそうだ。鉄道はダウンタウンに隣接して停車用の分岐線がずらりと並び、かつては鉄道輸送で発展した町であることが窺える。川の流れは非常に豊かで水が綺麗だが、鉄道用敷地で入れないはずの川辺にはゴミや酒瓶などが散乱しているのが橋の上から見て取れた。しばらく橋上でぼんやりと川面や街並みを眺めていたが、その間の橋の利用者は40代風の白人女性のみで、こちらのにこやかな笑いかけには目もくれずスタスタ通り過ぎて行った。
⑤蛙
再びメインストリートに戻りさらに東進すると、今度は車が通る立派な橋がある。この橋のたもとには割と大きな蛙の像が建てられている。石柱の上に鎮座し、後ろ足をだらしなく伸ばした蛙の目は金色で珍妙だ。正面から見るとバッタの様に見えなくもない。商店街で見た廃墟の壁に、“Frog town market”と描かれた消えかけたペイントも見たので、この町は蛙と何かの縁があるのだということがわかる。
⑥スーパー
メインストリートから北側の住宅エリアをうろついてみると教会の裏にスーパーがあった。ベイエリアではよく見かけるLGBTの旗が掲げられたこのスーパーは、オーガニック食品やローカルの食材などが多く売られる金持ち用のスーパーで、筆者は記念にカトー・コーナー・チーズを購入した。通りには割と貧相な人々が多く住居も簡素なものが多いようだったが、このようなお店もあるので山の方には富裕層が住むのだろうか。
このようにぶらりと観察しながら町を2時間ほど徘徊し、帰宅した後に旨いに決まっているカトー・コーナー・チーズを肴にビイルを飲みながら、散策中に感じたことを踏まえてウィルマンティックについて調べてみる。するとこの町の住民がフレンチ・インディアン戦争期に敵と間違えて蛙の大群に夜襲をかけたことや、豊かな河川の水力を利用して「生糸の町」として繁栄し衰退した歴史、2000年代初頭には「ヘロインの町」と言われるほどに荒廃してしまった過去を持つことなど楽しい史実が判明し、それが見てきた景色が繋がって楽しくお酒を呑むことができました。30代独身日本式サラリーマン諸氏も、ハイティーンは遥か昔で書はほとんど持っていないが、たまに町へ出よう。コスパのいい暇つぶしだと思います。