ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

源氏ラーメン

2018-02-25 23:37:26 | 食事
 源氏ラーメンは、コネチカット州グラストンベリー市にあるラーメン店だ。ハートフォード界隈を根城にしているニューイングランド日本式独身サラリーマンにとって、気軽にラーメンを食べられるお店が少ないのは悩みの種であろう。ウェストハートフォード市にある日本スーパー、マルイチ内にもラーメン店があるが、そんなところで一人ラーメンを啜っていると「この人はまさかあの30代独身日本式サラリーマンかしら」と日本人主婦っぽい店員たちに疑われるに違いない。よって筆者はどうしても納豆などが必要でやむを得ずマルイチへ入る際には、子連れ女性などが入店するのを見計らってすかさず後を付け、店内で怪しまれない距離で寄り添うことで、傍から見ると無口な夫のように立ち居振る舞っている。その点グラストンベリーの源氏ラーメンは気軽に来店できる。諸氏に紹介したい。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①場所
源氏ラーメンはグラストンベリー市のホール・フーズ内にあるフードコートのお店だ。サンノゼのMen Oh Tokushima Ramenの回でも述べたとおり、フードコートは独り飯に適したシステムであり、30代独身日本式サラリーマンは気後れすることなく食事を楽しめる。


②お店の様子・システム
数人の店員は皆タイ人のようだ。一人だけ派手な口紅を施したバンコクのゲイ・バー風の店員がおり非常に親切で感じが良い。注文は店頭で行い、支払いはフード・コート全店共通のレジコーナーで行う。飲食物を扱う店員が雑菌や手垢にまみれた紙幣やクレジットカードに触れなくてよい清潔なシステムだ。


③メニュー・味
ラーメンは、オリジナル・トンコツ味、スパイシーミソ味・柚チキン味などから好みの味を選ぶことができる。ラーメン以外にもパックされた握り寿司やロール寿司なども売られているので、大食漢はラーメンと併せてそれらも購入すると満足感が得られる。オリジナル・トンコツ味の見た目は九州豚骨そのもので、キクラゲや紅ショウガなども載せられた本格風だ。スープの味もなかなかによろしい。柚チキン味は醬油ベースのスープに胡椒がしっかり効いたパンチのある逸品で、柚の香りはごく僅かだ。キャベツとモヤシが多めに載せられていて、シャキシャキ感と一緒に楽しむことができる。やや残念なのは麺だ。タイ人店員によって十二分に茹でれたストレート麺は柔らかでコシは皆無、スープとの絡みも感じられない。それでもハートフォードで気兼ねなくラーメンを食べらる悦びは十分に感じられる。



 「ラーメンがいい」と「ラーメンでいい」ではニュアンスが異なる。前者にはラーメンを食べたいという強い願望が見え、他(うどんなど)を認めない排他性を感じさせるが、後者はそれらが弱い。聞き手からすると「~でいい」と言われると「本当はうどんの方がよいのかな」と思って悩むので、「~がいい」と言われる方が楽である。が、女性から「あなたがいい」と言われると、自分の愚かさや不潔さや弱さをよく知る者としては、「何故だ」と問いたくなる。相手が自分のことを想い違えている可能性を感じるのだ。「あなたでいい」と言われると、自分の愚かさ等を理解したうえで言ってくれているようで、たぶん「悪いねぇ」などと嬉しそうにリアクションするのだと思う。ニンゲンはきっと愛されたいのではなくゆるされたいのだと、ホールフーズで柚チキンラーメンを啜りながら考えた。でも人生で一度でいいから、「何故だ」と問うてみたい気もするから始末が悪く、麺は延びる。

モンク・フィッシュ

2018-02-14 15:58:56 | 食材
 モンク・フィッシュとは魚であり、アンコウのことだ。ダム巡りを決行したことをきっかけに、ニューヨーク州ホワイトプレインズ市には沢山のアジアン・スーパーマーケットがあることが判明した。モンク・フィッシュはそこで入手したのだ。筆者はニューイングランド30代独身日本式サラリーマンになってからも継続的に暇つぶしをここで紹介しているが、主な活動範囲であるハートフォード市界隈をウロウロすることに不安を感じ始めている。身バレを恐れているのだ。セレブや芸能人であれば帽子を深く被り、サングラスやマスクを纏えば安心だが、30代独身日本式サラリーマンであることを隠すことは至難だ。ベイエリアでは筆者と同種の男があちこちに見られたので、それに紛れて行動できていたが、どうやらこの地域で30代独身日本式サラリーマン活動を行っているのは筆者だけのようなのだ。そんな筆者が新たな暇つぶしを行える地域として、ホワイト・プレインズ市にポテンシャルを感じ始めている。遠いけど。



この魚の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①Hマート
モンク・フィッシュはホワイト・プレインズのHマートという名のコリアン・スーパーマーケットで入手できる。外観にハングル文字や漢字が一切なく、一見普通のスーパーに見えることと、頭の中でいつの間にか“H”がコリアンの“K”とすり替わり、Kマートを探してしまいがちなので気を付けたい。Kマートこそ普通のスーパーだ。ベイエリアのアジアンスーパーでもなかなか感じられないほどの清潔感があり。鮮魚コーナーの充実ぶりは目を見張り、パックされた鮮魚や刺身まである。その品数からか白人客も多く来店しており、ハートフォード市の亜東超級市場のようなローカル臭は皆無である。ただ店は非常に混雑しておりウロウロするには適さない。


②モンク・フィッシュ
冬の旬物のモンク・フィッシュは鮮魚コーナーの小さな箱に氷と共に丸ごと一尾で入れられている。値段はパウンド5ドルと随分と安い。丸ごとといっても大きいものでも1パウンド程なので、30代独身日本式サラリーマンには手ごろな大きさだ。ご存知のとおりヌルヌルした体なうえ骨が太いので自分で捌くのは面倒だから、鮮魚コーナーの男たちにステーキカットしてもらう。そして非常に残念なことに内臓は予めすっかり取り除かれてしまっているため、ヤナギ・カワ・エラ・トモの4つ道具でアンコウ鍋にする。


③アンコウ鍋
白菜やネギや豆腐などの具材も一緒に買って、鍋にドカドカと入れてだし汁を少し加えて熱すればすぐにアンコウ鍋ができる。本来であれば皮・肉・ヒレを丁寧に分離すべきかも知れないが、ものぐさ30代独身日本式サラリーマンはどかどかと入れるだけでいい。熱で膨張した肉で皮がはち切れんばかりになったアンコウのぶつ切りを、ポン酢と唐辛子でいただけば“あれまぁ、こりゃおいしい”。夢中でむしゃぶりついてしまう。さすがは江戸時代から珍重された食材だけあって、これを味わってしまうと前回記事の“鱈ちり”への興味がたちどころに失せる。ニンゲンは残酷で、旨いものに目がない。


④雑炊
鍋のスープはなかなか香り高い風味になるので雑炊にすると幸福度が増す。



 まだアンコウの美味しさに気が付いていないアジア人が多いのか、冬の味覚であるはずのモンク・フィッシュは飛ぶほどには売れていないのでチャンスだ。他にも韓国スーパーお馴染みのイカキムチ、タコキムチ、チャンジャなどの珍味や焼肉用に漬込んだ肉、ニジマスの燻製などが売られていてしばらく遊べそうだ。人生は確認作業ではない。水戸黄門を見ているかのような、知ってる結末をただ確認するような生活から努力なしに抜け出すために、またホワイト・プレインズへ行ってみます。遠いけど。

庄助

2018-02-09 16:36:02 | 食事
 庄助とは東京都墨田区曳舟にあった居酒屋である。今はもうないようだ。最近の暇な週末の昼下がりにはもっぱら愚かなグーグル地図を使って、昔暮らした場所を訪ね歩いている。そうすると当時贔屓にしていた酒場やスナック、コンビニエンスストアなどが思い出され、「あったあった」などと呟いて時間を潰せるものだ。しかし10年も時が経つと街は変わり、あるはずのものが消えていることもしばしばあるだろう。庄助もその一つだ。愚かなグーグルで庄助の消息を調べるも、門前仲町などにあるメジャーな庄助ばかりが出てきて曳舟の庄助の情報は出ない。庄助の閉店を惜しむブログなども見当たらない。庄助もまた、西部邁氏や有賀さつき氏のようにひっそりと姿を消したようだ。いつか誰かが同じように庄助を調べたときの為に、ここに記録を残しておきたい。


このお店との筆者の思い出は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①場所
東京スカイツリーが6割ほど立ち上がっていた頃の京成曳舟駅駅北側の向島郵便局がある通りは、小さな小さな下町の、商店街とも呼べないほどの商店街になっていて、はんこのお店や小さなスーパー、スナック・居酒屋がポツポツと並んでいて、庄助もそこにあった。古い住宅の1階を居酒屋風に作った小汚いその店構えに、孤独な20代独身式サラリーマンはごく自然に吸い込まれたのだろう。初めて入ったときの記憶がない。


②主人
その頃の庄助の主人は60代くらいの初老の痩せた男性で、面長で優し気な表情、白くて長い髪を後ろで結わえた風貌は似非マイク真木のようであった。土曜日も働かされていた筆者は、予定の無い悲しい週末の夜に立ち寄るのが常であった。たいてい早い時間に現れるため、カウンター10席とこあがり2卓の小さな店内にはまだ誰も居ないことが多く、他の客がやってくるまで主人と他愛もない会話をしながら飲んでいたし、土曜の夜は客がほとんど来ない日もよくあったので世の中について話し込むこともままあった。だが何を話していたのかは忘れてしまって、主人がかつて営業マンで日本全国を列車移動して働いていたこと、福島県の山奥出身であること、体を壊して煙草もお酒も止めていること、身寄りは福島の妹のみであることなどを憶えている。注文する肴を迷っていると、「○○が旨いって言われるんだよね・・」と恥ずかし気に勧めてくる顔もよく憶えている。


③メニュー
庄助は焼き鳥屋を標榜していて、“誰も来ないけど、肉はこだわって選んでいる”と宣う主人が選別してきた鶏肉は、備長炭(と主人は言っていた)を使って焼きあげられ、柔らかくとても美味しかった。焼き鳥以外にもメニューは沢山あって、どれも20代独身式サラリーマンには旨いものだった。その日限定のメニューがカウンターの隅のホワイトボードに記載されていて、よくそれから選んでいたのを憶えている。また、福島から取り寄せているという蕎麦も絶品で、〆によく注文した。極め付けはサンショウウオだ。これも福島の田舎から取り寄せているとのことで、小さなサンショウオがそのままのカタチで串に刺されて焼かれて出てくる。これは一度しか食べなかった。




④庄助で出会った人たち
庄助では、狭い店内で同席する人と交流することがあった。草野球帰りの江戸っ子30代の2人組既婚サラリーマンとは、そのまま錦糸町のマリンに出掛けて盛り上がった。地質調査会社に勤務しながら大学院へ通う人や、ジャズか何かのバンドを趣味でやっている人などとも会話が盛り上がった。でもそのうちの誰の消息も今は知らない。皆、主人の人柄に惹かれて来店しているような様子があった。会話の途中で2階の天井裏をネズミが走り、ゴトゴトと音を立てた。



 諸氏らはどこで30代独身日本式サラリーマンとしての素養を身につけられたであろうか。筆者はこの庄助であったような気がする。当時から内臓を悪くして医者にかかっていた主人のことだから、おそらく店を続けることができなくなったのであろう。福島の妹のところに寄せているのか、もうあの世に旅立っているか、はたまた単に移転しただけで、どこかで左うちわでヨロシクやっているのか・・週末の昼下がりに感傷的になってしまった。愚かなグーグルの所為である。


3月11日追記
どうやら庄助はまだやっているようだ。食べログを覗くと“お店の運営状況が確認できていない”との表示があり、早合点したのであった。週末の昼下がりに無駄に感傷的になってしまった。愚かな食べログの所為である。

石油ストーブ

2018-02-06 15:14:10 | 生活
 石油ストーブとは、灯油を燃料とする暖房器具のことである。コネチカット州の冬の寒さは西海岸のベイエリア30代独身日本式サラリーマンには想像できまい。月別気温は青森県の十和田周辺とほぼ同程度であり、1月2月の平均気温は氷点下2度、最低気温はマイナス10度を下回ることさえある。だが生活のほとんどを室内や車内で過ごすので特に不自由がないのが実情だ。長屋の室内は暖房を付けていなくても下のヒトや上のヒトの余熱でそれなりに温められているし、二重窓になっていたり、サッシには隙間テープが張られていたりとしっかり寒冷地仕様になっている。それに部屋ではだいたい布団にくるまってじっとしているので、補助暖房器具を必要としないのだ。それでも週末に暇を持て余し、ホーム・デポで何か探し物がないかと探していたときに、山積みになった石油ストーブを見て“使ってみよう”と思い、買い求めたのであった。以下はその報告です。


この製品の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①ケロシン・ヒーター
石油ストーブはオイル・ヒーターではなく、ケロシン・ヒーターと呼ぶ。なんだか風邪薬のような響きを持つ“ケロシン”は、ナフタレンやメタンなどのような有機化合物の名前であり、石油から精製される灯油の主成分なのだそうだ。米国では灯油のこともケロシンと呼ぶ。ケロシンは発熱量・揮発性・引火性などの諸条件から飛行機の燃料にも使われているとのことだ。小学校の教室に置かれたような、部屋に置いて可愛い対流型のケロシン・ヒーターは150ドル程度で売られている。


②ケロシンを入手する
ケロシンはホーム・デポで1ガロン入りの缶が10ドルで販売されている。これは高い。“さては失敗したかな”と思うも、ハードウェア・ショップというものに初めて入って調査したところ、タンク持込みで1ガロン6ドルで購入可能であった。


③さっそく部屋を暖める
長屋に戻り、ヒーターを組み立ててベランダで通称“シュポシュポ”を用いてケロシンを入れる。そしてヒーターを居間の中央に据える。万一の際に長屋の住民に迷惑をかけぬように火災報知器のリセットボタンを確認し、ベランダの窓を開けた状態で点火する。着火の瞬間に少しだけ黒煙が舞い上がるが、ダイヤルを回して芯のでしろを調整すれば炎は安定し、部屋が熱され始める。北京原人が火を用いたのは遥か昔だが、未だに火を扱うのは緊張感がある。30分も稼働させれば部屋は半袖で過ごせるほどに温まる。

④湯を沸かす、燗をする、するめや鱈チーズなどの乾物を炙る
ケロシン・ヒーターの熱を使って“湯を沸かす、燗をする、するめや鱈チーズなどの乾物を炙る”のような粋な楽しみを味わうことができるのが、30代独身式サラリーマンにとっては嬉しく、昨今の暖房器具では味わえない深い悦びがある。熱でぐらぐらとゆらぐ上部の空気や、ヤカンの中で少しづつ沸点に近づく湯が「ジ・・ジジ・・・」と音を立てる様などが孤独な長屋に温度以上の温かみをもたらす。


 とはいえ毎度の給油や不定期の芯の交換、一酸化炭素中毒による安楽死への警戒などと気を遣う点が多いので、ものぐさな30代独身日本式サラリーマンには不向きな器具だ。正直“失敗したな・・”と思いグッドウィル行きも考えたが、稼働に電気を必要としないことから、天変地異などで電力がストップした際の非常設備として灯油缶と共に置いておくこととした。これで大災害が起きても部屋で悠然と熱燗を作り、炙りスルメを齧り、安楽死することができる。西部邁氏や有賀さつき氏のように心配されたり応援されたりすることを避けて颯爽とこの世を去る人々に何か格好良さを感じてしまうが、もともとそんなに心配されたり応援されたりする人を持たない30代独身日本式サラリーマンには縁のない死に様だと気づき、精一杯生きようと思いました。

ケンシコ・ダム・プラザ

2018-02-03 15:47:23 | 食事
 ケンシコ・ダム・プラザは、ニューヨーク州ホワイト・プレインズにあるダム湖及び周辺の公園である。“ダム”とは何とも力強い響きを持つ言葉であり、ついつい「ダム! ダム!」と声に出してみたくなる。また、その力強い響きどおりの質実剛健な構造物が自然の中にドシンと居座る感じに魅力を感じる人が少なくないようで、有名人でもなだぎ武さんや長瀬智也さんなどが“ダムマニア”を自称しているようだ。30代独身日本式サラリーマンにとって昨今の深刻な課題となっている週末の暇つぶしの一環として『ダム巡り』を決行したので、そのレポートです。


このダムの特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①アクセス
ニューヨーク州ホワイト・プレインズ市はマンハッタンから約20マイル北方にある町で、地価が比較的安く鉄道駅も整備されていることなどからニューヨーカーたちのベッドタウンになっているようだ。コネチカット州ハートフォード市からは約1時間半のドライブになる。91号線を南下しニューヘイブンから95号線をロング・アイアンド・サウンド沿いに走る道や、84号線の山を抜ける道などの複数のアクセスがあるので、交通状況によって使い分けたい。前者の道は海沿いとはいえ海が見えることはほとんどなく、雑然とした工業地域や住宅地ばかりの退屈な景色になるので期待しない方がよいだろう。ここまで来たならばマンハッタンまで行けばいいのだが、“ベイエリア30代独身日本式サラリーマン、ニューヨークへ行く”の図を思い浮かべると、どうも気後れしてしまい、ダムに落ち着く。


②概要
ケンシコ・ダムは、ニューヨークの水需要の増加に併せて1885年に築かれダムであり、1917年にさらなる需要の増加で改築されている。立方体に切断したブロック石を積み上げて造られたロック・フィルダムと呼ばれる形式のダムであり、ダム高94m(ダム高とは地表面からの高さではなく、地中に埋められた基礎部からの高さを言うとのことだ)、ダム幅562mのサイズは黒部ダムと幅は同等、高さは半分くらいの程度だ。


③ダム
人里離れた峻険な谷間に築かれている日本のダムとは異なり、平野部の緩やかな丘陵に囲まれた盆地を利用したケンシコ・ダムはホワイト・プレインズの市街地から非常に近い。ダムの下流側が開かれた公園になっているいるので、ダムの正面真下に立ってその大きさを実感することができる。だがその風貌はダムとは思えない。横長で、規則正しく切断加工された花崗岩ブロックが曲線的に積み上げられ、頂部に幾何学模様が彫られた石が並ぶ様は中世の城壁のようだ。写真を収め、あまり知識を持たない人に『これはトルコにある要塞です』と見せると信じてもらえるほどだ。ダムの堤内から地下水路に排水しているために下流側に川がない点や、水が張られていないリフレクティングプールがまるで空堀のように正面に鎮座している様子も城壁らしさを高めている。石垣マニアの人にとっても一見の価値があるダムだ。


④ダム2
ダム頂部へ登る遊歩道がダム両端の丘に造られている。ここからは堤体を真横から眺めてその曲線美を堪能することができる。頂部に登ると下流側にはホワイト・プレインズの街並み、上流側には広大な人工湖を眺めることができ、万一このダムが壊れたりしたら大変なことが起きることが小児でも想像がつく。そしてしばらく景色を眺めるともうすることがなくなるので、遊歩道を降りることになる。



 ケンシコ・ダムは一見の価値はあるものの潰せる時間は長くても1時間程度だ。でもホワイト・プレインズには日本人を含むアジア系の人々が多く暮らしているようで、ベイエリア30代独身日本式サラリーマンの台所のニジヤさんや、韓国・中国系スーパーが沢山ある。ハートフォード近辺では手に入らない酒・食材を仰山入手して、「ダム!ダム!」と呟きながら車で帰宅した。