アジア系スーパーで売られているゲテモノ肉とは、ベイエリアでもニューイングランドでも、アメリカの都市ならどこにでもあるアジア系スーパーマーケットで売られているモツ肉やタンなどの部位のことである。米国のアジア系スーパーの精肉コーナーには様々な部位の肉があって、見ていて楽しいものだ。日本のスーパーでもそういったいわゆるゲテモノ肉を見ることはあるが、たいていは陳列棚の端っこの方に佇むばかりで、こちらほど豪勢には陳列されていない。(日本以外の)アジアの人々の食生活はモツ肉に支えられているのだ。それらは普通の肉に比べれば随分と安いし、たとえ陳列風景が前日と同じに見えたって、ラベルに記載されている“パックされた日”は何故かいつでも新しいので、新鮮であるに違いない。筆者はずいぶんと昔からこのゲテモノ肉を酒のつまみにして過ごしてきたので、ここでほんの少し紹介しようという企画です。
詳細は以下のとおりだ。参照にしてもらいたい。
①豚ミミ
アジア系スーパーでは切り落とされた豚の耳がそのまま数枚パックされて売られている。これがすこぶる安い。部分的にやや黒ずんでいたりするところが見た目にリアルで少し気持ちが悪いが、乾いた感触なので触るのに不快感はない。とにかくカンタンな調理で極上のつまみになる。調理方法は、檀一雄の“檀流クッキング”を参照されたい。檀一雄の影響で料理を始めた日本男性は少なくないようだ。長崎在住の40代長身イケメン既婚料理人もその一人で、彼は檀一雄の名著“檀流クッキング”内の料理を全て再現して自身のホームページで紹介しているので、参考になるだろう。湯をたっぷり張った大鍋で豚の耳をそのままグラグラ煮ていると、何だか中華料理の達人になった気分になれる。
②牛スジ
“テンドン”という名で売られている牛スジ肉もたいそう安い。筆者はこれまで調理前の牛スジは見たことが無かったが、細長くて白く筋張っており、“足の腱”であることが如実にわかる外見だ。こいつは固くて安い包丁ではなかなか切れないし、圧力鍋がなければ二時間ほどぐつぐつ煮込まなくては柔らかくならないので、光熱費を鑑みるとコスパは悪いのかも知れない。だがじっくり煮込んで柔らかくなった牛筋はホロホロでたいそう美味であり、細かく切って串に刺し、おでんの具材にすれば見た目も非常によろしいし、醬油やみそで野菜と一緒に煮込んで牛スジ煮込みを作っても保存のいいつまみなる。栄養だって思いの外豊富のなようだ。
③豚レバー
プリンプリンの豚レバーはゲテモノ肉の中でも特別に安く、パウンドで二ドル未満だ。ケチな30代独身日本式サラリーマンには魅惑の商品である。こいつでは檀流クッキングに従って“前菜用レバー”をこしらえるのだ。といってもこれも適当な野菜と一緒に茹でるだけだ。茹でられて固くなったレバーは周りがこげ茶色になり、薄く切ると中は薄い肉色でまるでハムのようだ。檀先生は針ショウガと一緒に食べるようだが、筆者はからし醤油で食べる。これがまた臭くて酒に合うのである。だがこれを欲張ってたくさん食べるとしばらく口の中がレバー臭く、なかなか消えないので、伝染病などが流行って在宅勤務になった場合など、しばらく人に会わないときに食べるのがよいようだ。
④豚タン
豚タンはだいたい二本入りでパックされている。1本が15センチほどと牛タンよりもずいぶんと小さいので30代独身日本式サラリーマンは買いやすい。閻魔様の気分でパックから舌を取り出して、1㎝くらいに薄切りにし、塩コショウを振りかけたり、タレに漬け込んだりしたあとでフライパンで焼くのがよい。そのまま食べてもよいが、焦げ目が付いてきたらいったん取り出して、野菜などを醬油やナンプラーなどで適当に炒め、それに再度豚タンを入れてもうまい。舌先と根元で脂の量や歯ごたえが異なるので、気分に合わせて食べ分ける。ほどよい食感と臭みのバランスが良く、ビールにとてもよく合うのです。
日本人はいつぞや以来、牛馬などの家畜の肉を食べることを長く“穢れ”とし、食べていない、もしくはこっそり食べていたようだ。西洋の文化を積極的に取り入れ始めた明治時代に、かの福澤諭吉は日本国民に対して牛馬の肉食を奨励すべく文章を書いている。『食用のために牛馬を殺すのが忍びないというのはおかしな話だ。クジラを殺すのとどう違うのか。牛馬の肉が穢れというのも不可思議なものである。日本橋の蒲鉾は死人を食べる鱶の肉だし、日本人が大好きな黒鯛などは人糞が大好きだ。対して牛馬が食べるのは草ばかり。穢れはむしろ少ない。』『慣れたるを善とし、慣れざるものを悪しといふのみ』と喝破している。“クジラを殺すのとどう違うのか”の質問は、今や日本国民から欧米人に尋ねたい内容になっているのが興味深い。さて、アジアンスーパーには上で紹介した肉以外にも胃袋(ハチノス、センマイ)や腎臓、腸、子宮などの部位が売られている。“福澤先生、30代独身日本式サラリーマンはしっかり肉を食べております”と、胸を張って天国で答えるべく、近いうちにそいつらも食べてみるつもりです。
詳細は以下のとおりだ。参照にしてもらいたい。
①豚ミミ
アジア系スーパーでは切り落とされた豚の耳がそのまま数枚パックされて売られている。これがすこぶる安い。部分的にやや黒ずんでいたりするところが見た目にリアルで少し気持ちが悪いが、乾いた感触なので触るのに不快感はない。とにかくカンタンな調理で極上のつまみになる。調理方法は、檀一雄の“檀流クッキング”を参照されたい。檀一雄の影響で料理を始めた日本男性は少なくないようだ。長崎在住の40代長身イケメン既婚料理人もその一人で、彼は檀一雄の名著“檀流クッキング”内の料理を全て再現して自身のホームページで紹介しているので、参考になるだろう。湯をたっぷり張った大鍋で豚の耳をそのままグラグラ煮ていると、何だか中華料理の達人になった気分になれる。
②牛スジ
“テンドン”という名で売られている牛スジ肉もたいそう安い。筆者はこれまで調理前の牛スジは見たことが無かったが、細長くて白く筋張っており、“足の腱”であることが如実にわかる外見だ。こいつは固くて安い包丁ではなかなか切れないし、圧力鍋がなければ二時間ほどぐつぐつ煮込まなくては柔らかくならないので、光熱費を鑑みるとコスパは悪いのかも知れない。だがじっくり煮込んで柔らかくなった牛筋はホロホロでたいそう美味であり、細かく切って串に刺し、おでんの具材にすれば見た目も非常によろしいし、醬油やみそで野菜と一緒に煮込んで牛スジ煮込みを作っても保存のいいつまみなる。栄養だって思いの外豊富のなようだ。
③豚レバー
プリンプリンの豚レバーはゲテモノ肉の中でも特別に安く、パウンドで二ドル未満だ。ケチな30代独身日本式サラリーマンには魅惑の商品である。こいつでは檀流クッキングに従って“前菜用レバー”をこしらえるのだ。といってもこれも適当な野菜と一緒に茹でるだけだ。茹でられて固くなったレバーは周りがこげ茶色になり、薄く切ると中は薄い肉色でまるでハムのようだ。檀先生は針ショウガと一緒に食べるようだが、筆者はからし醤油で食べる。これがまた臭くて酒に合うのである。だがこれを欲張ってたくさん食べるとしばらく口の中がレバー臭く、なかなか消えないので、伝染病などが流行って在宅勤務になった場合など、しばらく人に会わないときに食べるのがよいようだ。
④豚タン
豚タンはだいたい二本入りでパックされている。1本が15センチほどと牛タンよりもずいぶんと小さいので30代独身日本式サラリーマンは買いやすい。閻魔様の気分でパックから舌を取り出して、1㎝くらいに薄切りにし、塩コショウを振りかけたり、タレに漬け込んだりしたあとでフライパンで焼くのがよい。そのまま食べてもよいが、焦げ目が付いてきたらいったん取り出して、野菜などを醬油やナンプラーなどで適当に炒め、それに再度豚タンを入れてもうまい。舌先と根元で脂の量や歯ごたえが異なるので、気分に合わせて食べ分ける。ほどよい食感と臭みのバランスが良く、ビールにとてもよく合うのです。
日本人はいつぞや以来、牛馬などの家畜の肉を食べることを長く“穢れ”とし、食べていない、もしくはこっそり食べていたようだ。西洋の文化を積極的に取り入れ始めた明治時代に、かの福澤諭吉は日本国民に対して牛馬の肉食を奨励すべく文章を書いている。『食用のために牛馬を殺すのが忍びないというのはおかしな話だ。クジラを殺すのとどう違うのか。牛馬の肉が穢れというのも不可思議なものである。日本橋の蒲鉾は死人を食べる鱶の肉だし、日本人が大好きな黒鯛などは人糞が大好きだ。対して牛馬が食べるのは草ばかり。穢れはむしろ少ない。』『慣れたるを善とし、慣れざるものを悪しといふのみ』と喝破している。“クジラを殺すのとどう違うのか”の質問は、今や日本国民から欧米人に尋ねたい内容になっているのが興味深い。さて、アジアンスーパーには上で紹介した肉以外にも胃袋(ハチノス、センマイ)や腎臓、腸、子宮などの部位が売られている。“福澤先生、30代独身日本式サラリーマンはしっかり肉を食べております”と、胸を張って天国で答えるべく、近いうちにそいつらも食べてみるつもりです。