ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

スプリングフィールド・ミュージアム

2018-03-16 16:55:04 | 生活
 スプリングスフィールド・ミュージアムとは、マサチューセッツ州スプリングスフィールドにある美術館・博物館である。3月に入りついに春めいてきたニューイングランド地方はほんの少し暖かくなり、長屋の外に出てみるのも悪くないような気がしてくる。しかし日本の春先と同じく雨天・曇天が多く、快活に街歩きというにはまだ早い。そう、お待ちかね久々のミュージアムシリーズの出番なのだ。『趣味ですか。そうですね、あえていうなら美術館巡りですね』“一人でも気後れしない、むしろ一人の方がそれっぽい”そんな30代独身日本式サラリーマンにとって有難い暇つぶし手段を今回はスプリングフィールド・ミュージアムで行ったので報告だ。



このミュージアムの特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①スプリングフィールド
マサチューセッツ州スプリングフィールド市は、91号線でハートフォードから約30分ほどコネチカット川を上ればすぐに着く。マサチューセッツ州第二の都市などと言われるがボストンに比べると遥かに規模は小さく、ダウンタウンは数ブロック程度のオフィス街のみで寂れた雰囲気が漂う。スプリングフィールド・ミュージアムは5つの建物に分かれており、それぞれの建物が2つの美術館、科学博物館、歴史館、そして子供ミュージアムになっている。30代独身日本式サラリーマンは子供ミュージアム以外の4つで暇を潰すことになる。入場料は科学博物館入り口で支払う。5館共通券で20ドルほどだ。


②科学博物館
やや小うるさい児童の数が多いのが気にはなるが、なかなか興味深い展示が並ぶ。特にニューイングランド地方で発見された太古の生物の化石や、アメリカ大陸に住む動物のはく製、モヒカンヘアのネイティブアメリカンの暮らしを再現したコーナーなどはなかなか日本で見ることができない貴重な体験ではあった。が、それほど大きな感動はない。


③美術館1
やや小うるさい児童は科学博物館と子供ミュージアムを訪れるようで、30代独身日本式サラリーマンにとって美術館は居心地がよい。このミシェル&ドナルド・ダモール美術館と言う名の洋館には欧米の絵画が多く展示されている。ミシェル&ドナルド・ダモールさんはニューイングランド地方のスーパーマーケットの創業者夫妻なのだという。“17世紀ドイツ” や “18世紀イタリア” などと国と製作時期で丁寧に小部屋がカテゴリライズされているので美術初心者でも判りやすい。ほとんんどは聴いたことのない人々の作品ばかりだが、所々に大家や、大家の弟子の作品が紛れているので見逃さないようにしたい。また、もう一つの見どころはクーリエ&イブのリトグラフ・コレクションだ。古きアメリカの風景が豊かな色彩で描かれており見ていて楽しい。歌川広重の東海道五十三次に構図が似ている。



④美術館2
もう一つはジョージ・ウォルター・ビンセント・スミス美術館だ。このジョージ~という人は裕福な美術コレクターのようで、彼の収集した作品が展示されている。こちらはアジア・アラビア地域から集めた作品が多く、30代独身日本式サラリーマンとしては日本の火縄銃や甲冑、刀剣などの展示が面白い。これらの骨董品の多くは山中定次郎という古美術商から購入したそうで、この定次郎氏は1894年に大阪から米国に渡り、ニューヨークを拠点にロンドンやパリ、上海にも支店を持ち商売を展開したやり手のようだ。


⑤歴史館
かつてスプリング・フィールドで製造されていたインディアン・バイクがずらりと並ぶのがメインだ。大きな感動はない。



 このスプリングフィールド美術館は作品数が多くなく、それぞれ建物が分かれているので、ひとつ見終わるとトコトコと屋外を歩いて次のステージへ進む感じがある。石や煉瓦で作られた荘厳な建物をサクサク回っていると、ロールプレイングゲームの中に入ったような気持ちになる。30代独身日本式サラリーマンもこのスプリングフィールド美術館を訪れて、リアルFF3を体験しながら審美眼レベルのアップを図ってみてはどうでしょう。大きな感動はないが、暇は潰せます。勇気のある諸氏は、子供ミュージアムにも挑戦されたし。

スタロポルスカ・レストラン

2018-03-06 09:41:10 | 食事
 スタロポルスカ・レストランとは、ニュー・ブリテン市にあるポーランド料理のレストラン、バーだ。ニュー・ブリテン市には“リトル・ポーランド”と呼ばれる多くのポーランド人が古くから住むエリアがあることが判明したのだ。たいていの30代独身日本式サラリーマンと同様に、筆者はポーランドとまったく縁がない人生をおくってきており、こうして “ポーランド” とタイピングすることも人生で初めての経験のような気がする。どうせ暇であるし、これも何かの縁と思い週末に訪ねたところ、この魔法の言葉のような店名のレストランを見つけたので、早速入ってみたのだ。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①歴史
いくつかのホームページを流し読み、ポーランド人がこのニューイングランドに移って来た背景をさらりと学ぼうと試みた。簡単に言ってしまうと19世紀のプロイセンやオーストリアからの迫害政策が大きな理由となるが、そこには古くはモンゴル帝国からの侵攻、カリシュ法令以降のユダヤ人との関係やキリスト教宗派の問題、ソ連からの共産主義の触手などと、海に守られた日本人には想像できない背景があり、「さらり」では十分に理解できなかった。


②アクセス
9号線を降りて南からニューブリテン市のメイン・ストリートを上がっていくと緩やかなカーブの上り坂になり、そこに“ウェルカム トゥー リトル・ポーランド”の文字看板が施されブロック擁壁が見えてくる。その擁壁を過ぎれば通りの名前はボード・ストリートに変わり、ポリッシュ系のベーカリーやスーパーマーケットなどがポツポツと並ぶ。スタロポロスカ・レストランはその通りの外れにある。


③スタロポロスカ・レストランの雰囲気
店内は左右に分かれており、左側がバー、右側がダイニングになっている。ダイニングは4人用卓が両側に並び、教会や白髪老人の肖像などの小さなセザンヌ風の画が飾られている。4人卓にどっかりと独りで座り、ポーランド料理を楽しむ客も見られる。バーには独り客が集い、ビールを飲みながらサッカー観戦をしている。ハイエンドなレストランではなく、“食堂兼飲み屋”のような雰囲気で、30代独身日本式サラリーマンでも安心なお店と言えよう。店員はポーランド系の人のようで、日本人には聞き取りやすいはっきりとした発音なのもありがたい。



④メニュー
スタロポロスカ・レストランのメニューには、ニシンの酢漬けやキャベツの漬物、赤いビートのサラダなどロシア料理に近いものが見られた。ニシンはトマトソースとからめて出され美味であった。ロールキャベツ風肉ダンゴやソーセージ料理などはドイツ料理の影響であろうか。子供の頃に憧れた“肉料理”そのものの見た目が嬉しく心が躍る。どれも美味ではあるが、最初のうちはパクパクと美味しく頂けるが、バター風味ばかりが濃厚であまりパンチのないだらっとした風味に舌が飽きてくる。“ピエロギ”と呼ばれる柔らかい小麦の生地の中に肉やボルチーニ茸を詰め込んで煮た料理もとても美味しいが、やはりバターが濃厚で、多くは食べられない。食事メニューよりもアパタイザーを2皿程度とピエロギ1枚といった感じで注文する方が、一人客にはよいようだ。



⑤ポーランド・ビール
ティスキ、ゼウィック、レックという銘柄のポーランド産瓶ビールがよく冷やされた状態で売られていて、非常に嬉しい。これらのビールはどれも非常に飲みやすいピルスナービールで、ほのかに麦の風味があって爽やかに飲み干せる。バターたっぷりのポーランド料理を一気に胃の中に流し込むのに最適なビールであり、嬉しい発見であった。

 
 さて、ポーランドは欧州の中ではかなりの親日国だという話だ。というのも20世紀初頭に日本政府と日本赤十字社が、ロシアによってシベリアに抑留されていたポーランド独立を目指す人々の孤児数百名をポーランドへ送り返したこと、その孤児のうちの一人が成長して組織した独立運動をナチスから密かに庇護したことなどで、日本に対して感謝の念を抱いているというのだ。これまで全く縁がなかった30代独身日本式サラリーマン諸氏も、大和魂Tシャツなどを着てスタロポルスカ・レストランへ通えば、 “あらアナタ、日本人ネ?” とニュー・ブリテン在住日本好きポーランド女子に見初められ、大逆転人生が訪れるかも知れません。