ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

ペッツ博物館

2017-03-24 22:14:36 | 生活
 ペッツ博物館は、バーリンゲイム市にある私設の博物館だ。ザ・ビートルズの『Help!』のイントロを聴くと、どうしてもあのテレビ東京のお化け番組、『開運!何でも鑑定団』を思い出す30代日本式独身サラリーマン諸氏は、ペッツについて少なからず知識があることだろう(ところで諸氏は、同番組の今田耕司&福澤明ペアによる仕切りには慣れてきたであろうか?)。 そのペッツのコレクターには垂涎ものの博物館がバーリンゲイム市にあり、コレクターでない人でも気軽に楽しめる博物館となっているため、我ら独身日本式サラリーマンの休日の暇つぶしにはそこそこ適した施設だ。


この施設の特長は以下のとおりだ。


①アクセス
カルトレインの駅前、カリフォルニア通りと交差するバーリンゲイム通りとハワード通りの間にある。プロレス主人でお馴染みの高級寿司店‟さかえ寿司”の向かい側と言えば、グルメ通の諸氏には判りやすいかも知れない。小さな博物館なので目立たないし、日曜日は休館日になっているので土曜日にしか暇つぶしができないのが難だ。



②ペッツ
言わずと知れた食玩だが、実はペッツとはキャンディーの名前であり、食玩の方はペッツ・ディスペンサーと呼ばれるものなのだそうだ。1929年オーストリアで生まれ、語源はドイツ語のペッパーミントを意味する『Pfefferminz』からPとEとZを取ったものなのだという。1950年代にアメリカでキャラクター付きの頭が付いたディスペンサーが発売されたそうだが、オーストリアからアメリカに移った経緯はよく判らなかった。年代的には第二次世界大戦の影響があるようにも思える。


③館内での立ち居振る舞い
簡素な入り口の扉を開けると、ペッツ・ディスペンサーがたくさん陳列された部屋があり、長身の老店主がニコニコと応対してくれ、最初に「あなたはペッツコレクターですか?」と質問される。店主のにこやかな笑顔の奥には、‟自分は世界最大級のペッツ専門博物館の館長である”という自負がありありと見て取れ、ひやかしでやってくる人間に用はないという媚びない態度があるので、こちらから媚びなくてはいけない。「いえ、コレクターではないけれども興味があって来たのです」としっかりと伝えよう。そうして入場料の3ドルを支払うと奥のミュージアムへと案内される。


④博物館
奥の博物館は12畳ほどの一室で、そこそこ沢山のレア物(らしい)ペッツ・ディスペンサーが飾られている。館長は世界中のコレクターを相手にしているだけあって、非常に聞き取りやすい英語を使って②で記載したような内容を説明してくれる。1950年代当初のものから、日本の森永製菓のペッツも取り揃えてある。アメリカらしいキャラクターたちのレトロなペッツ・ディスペンサーたちは素人目にも愛らしく、収集している人々の気持ちを理解することができる。とはいえ、一生懸命見ても20分程度で観覧を終えてしまうだろう。


⑤お土産
手前の部屋は販売コーナーになっており、現代モノや中古モノを購入できる。筆者が訪れたときには数人のコレクターたちが集まってペッツ談義に華を咲かせており、しばらくの間は賑やかであったが、彼らが立ち去ったあとは筆者と館長夫婦の3人だけになり、「しーん」とした店内で居たたまれない気持ちになり、数ドルのペッツを購入してしまった。気弱な日本式独身サラリーマンには、入場料を含めて10ドル弱の経費が必要な博物館だ。


 人間には大なり小なり収集欲がある。みうらじゅん氏や高橋健一氏などの、一風変わった収集家を見て笑っている我々も、幼少期にはビックリマンやカードダスの収集に熱狂したし、〇個の✕✕を集めるための冒険をする物語やゲームに必ずといっていいほど胸をときめかせる。何かひとつ気に入ると、「このシリーズ全部集めたい!」とはしゃぐ女子を幾人も見た。一体収集するとは、人間にとって何なのだろうか。その答えがこの博物館にはない。

Taylor Shellfish ファーム

2017-03-20 21:09:37 | 食事
 Taylor Shellfishファームは、ワシントン州シアトルにあるオイスター・バーだ。 水野晴夫の金曜ロードショーや、高島忠夫のゴールデン洋画劇場、さらには淀川長治の日曜洋画劇場で育った30代日本式独身サラリーマンは、オイスター・バーといえば名画ポリスアカデミーやポリスアカデミー2で衝撃を受けた‟ブルー・オイスター・バー”のような店を想像するかも知れない。そのようなお店はカストロ通りに足を運べば少なからずあるだろうが、筆者が思い描くオイスター・バーはなかなか見つからない。筆者が調べたベイ・エリアのオイスターバーは、一人で気軽に酒と牡蠣を楽しむ雰囲気というよりは単なるシーフード・レストランであるものが多く、一人で入店するには不安がある。しかしこのTaylor Shellfishファームは違った。 ベイエリアを飛び出し、シアトルまで行けば、気軽に牡蠣が楽しめることをここで諸氏に紹介しよう。



このお店の特長は以下の通りだ。ぜひ参考にしてもらいたい。


①牡蠣
牡蠣は古代ローマ時代から西洋人が生食していた非常に珍しい食材であり、日本人が生食を始めたのはその欧米文化の影響だという内容が、識者によりウィキペディアに投稿されていた。また、伊丹十三監督作品の『タンポポ』では、役所広司演じるヤクザ男が生ガキの殻で唇を切り、その血の滴が生牡蠣に落ちて広がる様子を見た海女の少女が、突如‟性”に目覚めるという衝撃的なシーンが撮られているとおり、ヒトの想像力を掻き立てる造形をしている。最近では、イラン人建築家の故ザハ氏の新国立競技場デザイン案を見た森元首相が、「生ガキがどろっとたれたみたい」と評したことも記憶に新しい。


②アクセス
筆者はシアトル市に詳しくないので、Taylor Shellfishのホームページを参照して欲しいが、I5線で東西に分断されたダウンタウン内の東側境界周辺にある。若者たちが集うエリアのようだ。


③Taylor Shellfishファーム
ホームページによればTaylor Shellfishファームはこの地で貝類の養殖を行っている会社であり、その会社がバーを開いているということであった。魚介の鮮度は抜群のはずだ。



④メニュー、楽しみ方
このお店はまさに筆者の想像する港町のオイスター・バーであり、感動した。飾らない、でも小洒落た内装の店のメニューは、生牡蠣の他には数種の海鮮おつまみだけでしかなく、ここで腹いっぱい食べるためのお店ではなく、あくまで酒と肴を愉しむバーになっている。7種類の生ガキは1個から注文でき、一人客でも様々な牡蠣を楽しめる。どの牡蠣もノドゴシやアトアジが微妙に異なっており、とにかく新鮮で旨い。牡蠣以外にもミル貝の刺身やエビカクテルなども美味美味で、酒がぐんぐんと進む。店員は皿から牡蠣がなくなるたびに笑顔で「おかわりオイスターは? 」と駆けつけてくれ、まるで椀子そばを食べているように牡蠣を食べられる。筆者は、「あ、もしかしてここは、極楽かな」と思った。



 お洒落シアトル市民はここで生牡蠣を前菜にワインを少しだけ飲んで、夜の町へと繰り出す。一方筆者はここで生牡蠣をしこたま食べてワインをがぶがぶ・・・すっかり酩酊してしまった。颯爽とオイスター・バーを出ていく若人グループの後に、『遅れまじ』と肥満体に鞭打って出かけようと試みたが、足もとがおぼつかなくなったのでホテルへ戻っておとなしく寝ました。ベイエリア日本式独身サラリーマン諸氏も、シアトルに倉庫の片付け等の業務で出張の際には、このTaylor Shellfishファームで酩酊してみてはどうでしょうか。

カンブイ・アフリカン・フード

2017-03-18 13:10:18 | 生活
 カンブイ・アフリカン・フードは、キャンベルにあるアフリカ系スーパーマーケットだ。ワリヤ・エチオピアン・レストランの回で、どうやらサンノゼ周辺にはアフリカ系のコミュニティがあることが判明した。どんな小さなコミュニティにも市場と床屋があるのは常であり、少しだけ調査したところ、このカンブイ・アフリカン・フードがすぐに見つかった。筆者はワリヤ・エチオピアン・レストランで飲んだ旨いエチオピアビールの入手を期待して車を南へと走らせた。



このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①アクセス
シリコンバレーの谷底ともいえるキャンベル市内は、直線的な道路沿いに屋根が低く庭が広い一軒家が立ち並ぶアメリカ西海岸らしい町並みだ。カンブイ・アフリカン・フードはハミルトン通りとバスコム通りという比較的大きな2つの道路の交差点に位置する。マップが示す場所に辿りつくと、奥行きのある駐車スペースを挟んで2棟の細長いテナントビルがあり、やや怪しげなネイルサロンやジュエリーショップが入っている。カンブイ・アフリカン・フードは向かって左側のテナントビルの奥にある。少し不安になるが、古来から市場とは開かれているものであるから勇気を出して入ってみる。



②店内の様子と立ち居振る舞い
暗く狭いカンブイ・アフリカン・フードの店内の様子から、近辺のアフロ・コミュニティの規模の小ささを感じる。入って右側のレジコーナーには黒人の中年男性がおり、不審そうにこちらの様子を窺う。まずはこの主人に、『私はこの店に冷やかしや勘違いで入ってきたわけではありません。アフリカの食材に興味があり、やってきたのです』ということを伝え、彼の警戒心を解く必要がある。しかしそれだけでは店主モハメドの警戒心は完全には解けない。よって店内に陳列されている品々について『これはそのまま食べるのですか』や『お酒は置いていないのですか』などと2、3質問を投げかける。そうするとモハメドは、‟あ、この独身日本式サラリーマン風の男は、本当にアフリカの食材に興味があるんだ”とついに心を許し、笑顔を見せ始める。そうやって市場は開かれるのだ。



③店内の商品
アフリカの人々の主食の穀物の粉や香辛料、スナック菓子などが、コンビニよりも狭い店内に所広しと陳列されている。冷凍コーナーには塩漬けの魚なども売られており、彼らの生活を支えている。また、アフロヘア・スタイルを簡単に作れるウィッグが多く販売されており、この地でアフリカ文化を守りながら生活する人々の様子を感じ取ることができる。残念ながらビールは販売されていなかった。


 あれだけ『私はアフリカ食材に興味がある』と心から伝えたうえ、狭い店内を20分もウロウロしておいて、何も購入しないのも気まずい。よって筆者はケニアの紅茶と胡椒、クスクス、そしてそのまま食べられるチンチンを購入した。モハメドは「あんた、クスクスの調理方法知ってる?」と親切に声をかけてくれた。チンチンはなかなか美味しかったし、紅茶はしっかりとした苦みが口の中に残るドライな味で心地よい。「もちろん知っています」と知ったかぶりをしたクスクスの調理も近いうちにやってみます。

サムズ・カフェ

2017-03-16 19:42:26 | 食事
 サムズ・カフェはストックトン市にあるカフェだ。日本式独身サラリーマンが大した目的地もなく米国を車で遠出する際の楽しみといえば、途中で昼食やガソリン補給のために立ち寄る見知らぬ町であろう。それが楽しみだから、あえてフリーウェイではなくのんびりと下道を使ってみたりもする。サムズ・カフェは筆者のそうした気ままなドライブ中に出会った場所のひとつであり、もしも諸氏がストックトンの町を通過するときに小腹が空いていれば立ち寄ってもいいであろうと思ったのでここで紹介しようという企画だ。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①ストックトン市
人口が30万人程度のストックトン市はカリフォルニア州のその他の町と同様に、ゴールド・ラッシュ期にやってきた人々により築かれた古い町であり、肥沃な土地と太平洋へと通じる大型河川が産業に利用されてきた。しかし2012年に自治体が財政破綻し、今では米国内でも犯罪率の高い町になってしまっているようだ。


②立地
ストックトン市のパシフィックアベニューはひなびた商店街になっており、バーやメキシカンレストラン等の飲食店やアンティークショップなどが並んでいるが、日曜日はほとんどのお店が閉まっており、閑散としている。しかし上記のニュースから連想されるような犯罪の匂いがする感じは全くなく、のんびりとした雰囲気の商店街だ。サムズ・カフェはそのパシフィックアベニュー商店街の北端にあり、休日でも開いている。


③サムズ・カフェ 雰囲気
サムズ・カフェのいかにも古きよきアメリカのカフェといった内装は、昔むかしに日本に上陸した当時のファミレスのような雰囲気で不思議な懐かしさを憶える。日曜は馴染み客で賑わっており会話が飛び交い、誰が客で誰が店員かわからないアットホームさもどこか懐かしい。そして店員さんや調理している人は中華系の顔立ちの人が多く、メニューにもオムレツやトーストといった米国風の朝食・ランチに加えてフライドライス等の中華メニューもある。ただ、彼らの非常に流暢な英語や服装から鑑みるとおそらく遠い昔に米国にやってきた人々の末裔だと思われる。


④ギターライブ
日曜の午前中から昼にかけて、店内で60~80年代のポップやフォークソングのライブが行われている。白人の白髪の老人がカウンターの端に腰掛けて、ギター1本で懐かしの唄を鳴らしている。歌声はのびやかで若々しく、ノスタルジックな雰囲気の店内と往年の名曲たちは妙にマッチして、タイムスリップしたかのような感覚になる。馴染み客は毎週の演奏をお店のBGMとして楽しんでいるようで、見向きもせずにコーヒーを飲む初老の男や時折拍手する家族も見られる。各テーブルには彼の演奏リストがメニューと一緒に置いてあるので、演ってほしい曲をリクエストすることも可能だ。



 鉄道建設労働者として活躍した苦力の子供たちが開いたアメリカン・チャイニーズ・カフェには、かつてのストックトンの街並みの白黒写真が多数飾られており、オーナーのサムがこの町を愛し、このカフェが客たちに愛されている様子を窺うことができる。ケチャップとマスタードとタバスコとソイ・ソースが置かれたテーブルに腰を掛け、フォークソングを聴いていると、ついついまったりとしてしまい、旅程が変わってしまうだろうが後悔はない。まるでここが目的地だったかのような満足感と、満腹感を得るだろう。

リトル・シープ・モンゴリアン・ホットポット

2017-03-12 10:05:38 | 食事
 リトル・シープ・モンゴリアン・ホットポットは、世界に展開する火鍋店であり、サンマテオ市にもお店がある。日本にも‟小肥羊火鍋”という名で10年以上前から東京や関西都市圏に複数の店舗を構えているため、グルメ通の日本式独身サラリーマン諸氏はよく知っているであろうが、一応ここで紹介する。というのも、だんだんネタが切れてきたのだ。このお店は単独で訪れるには不向きであるため、最低一人の独身日本式サラリーマン仲間を確保し、共に出かける必要があるので注意されたい。


このお店の特長は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。


①火鍋
火鍋は日本の中国料理店ではあまり目にすることがないため、日本人にとっては馴染みの薄いメニューである。ウィキペディアに投稿した専門家の知識をそのまま借りると、そのルーツはモンゴル人の羊肉料理であるとか、船乗りたちの即席メニューであったなどと様々な説がありはっきりとはしていないようだが、清朝時代には『満貫全席』のメニューに入っていたそうだ。その他にも特辛の火鍋によって胃痛を引き起こし、大量吐血した人の話など、興味深い内容が投稿されているので、独身日本式サラリーマン仲間でこのリトル・シープ・モンゴリアン・ホットポットを訪れた際の蘊蓄に使うといい。



②店内の様子
白黒を基調にした内装や、中央の円形のバーテーブルなど、アジアな感じは見受けられず、洗練されたバーのような雰囲気ではあるが、ただの鍋レストランだ。



③メニュー
肉類から魚介、きのこを含む野菜の種類が非常に豊富で、様々なバリエーションの鍋を楽しむことができるのが、このお店のだいご味だ。一皿の分量がケチケチしていない点も嬉しい(そのため我々は一緒にに行く仲間を見つけなくてはならない)。鍋と共に愉しむ酒の種類も豊富だ。


④楽しみ方 その1
バブル崩壊後の90年代にその安価から一世を風靡し、1992年に流行語大賞を受賞した‟モツ鍋”を、諸氏はもうしばらく口にしていないのではないだろうか。このお店では牛筋、牛モツ、豚モツ、鹿モツなどの内臓系メニューが豊富であり、簡単にもつ鍋を作ることができるのだ。ガーリックが効いた辛めのスープとモツは非常によく合い、スープの旨味も増していく。普通の肉よりずいぶんと安価であるのも嬉しい。ビールが進み、あっという間に酩酊してしまう。



⑤楽しみ方 その2
次のお勧めが海鮮鍋だ。エビカキ帆立、タコイカなどの海鮮類を鍋にぶっこみ、それと海鮮系のミートボールも少々入れると海賊鍋が出来上がる。こちらは白湯スープのコクで愉しむ方がいいかもしれない。ワインとよく合う鍋の出来上がりで、あっという間に酩酊してしまう。



 火鍋屋へ行く場合、上記のように‟本日の鍋”のテーマを決めて楽しむことをお勧めする。何のコンセプトもなく、豚肉から魚介から全てをドカドカと入れてしまう残念な鍋を自分で作って食べておいて、安易に「火鍋なんて大したことない」などと宣っている方々の哀れさといったらない。火鍋が可哀想というものである。よって諸氏が共に火鍋を食べる日本式独身サラリーマン仲間を見つけたあかつきには、しっかりと‟本日の鍋”について議論し、テーマを絞っておくべきだ。そして人気店だから最初の客が出はじめる19時過ぎに行くと比較的待たずに入れます。