ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

勉強堂

2017-01-29 10:31:44 | 生活
 勉強堂はサンフランススコ市のジャパンタウンにある和菓子屋だ。伊勢の赤福や岩手のかもめの玉子、山梨の信玄餅、先般来日したプーチン大統領へ安倍首相から手渡されたと言われている山口の舌鼓などのように、日本の故郷にはどこでも老舗の和菓子屋があり、地域を代表する甘いものがある。かつて移民として日本を離れて海を越えた人々の新しい故郷とも言うべきサンフランシスコのジャパンタウンにも、同じように老舗の和菓子屋があり、この地域を代表する甘味が販売されている。それがこの勉強堂だ。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①老舗
お店のホームページによると創業は1906年、明治39年とのことであり、非常に歴史の深いお店だ。オカムラスエイチ氏という人物により創業され、息子のヒロフミ氏に引き継がれ、今はヒロフミ氏の二人の息子であるリッキー氏とボビー氏により経営されているそうだ。


②アクセス
サンフランシスコのジャパンタウンは、多くの日本食レストランや紀伊国屋書店やダイソーなどが入る大型の会館が並ぶ通りと、その通りに建立されている荘厳な五重塔がある広場から伸びる1ブロック程度の歩行者専用通路ゾーンがメインであり、勉強堂はその歩行者専用通路の終端にある。駐車場は会館の地下に大型のものがあるのでそこを利用するといいだろう。


③内装、雰囲気
まず店に入ると来客を知らせるブザーが「ピンポーン」と鳴り、懐かしい気持ちにさせられる。店内は左右で二つのコーナーに分かれており、左側が販売コーナー、右側が喫茶コーナーとなっていて、どちらもレトロな雰囲気に包まれている。特に右側の飲食コーナーは、優しい赤色を基調としたカウンターの雰囲気が、戦後日本にボーリングブームが起きた頃に、ボーリング場に併設されたのコーヒースタンドのようだ。腰を掛けて飲食している人々は、勉強堂の馴染みの2世・3世の方々のようで、コーヒーやサンドイッチを食べながら、角に置かれている小さなブラウン管テレビを見ている。人気のお店のようで、喫茶コーナーでぼんやりしている間にも販売コーナーに絶え間なくお客が訪れる。


④和菓子とお店の人たち
左手の販売コーナーのガラス棚の中には、ここで製造されている饅頭類の他に、和製スナック菓子も販売されているので、好きなお菓子を購入してみるといい。ホームページを見てもらっても判るだろうが、多くの種類の饅頭が売られており、やはり欧米式に着色が鮮やかなものが多い。赤飯も売られていたが、まさに“赤いごはん”であった。好きなだけ注文すると、プラスチックケースに入れてくれる。饅頭の餅は付きたてだからか柔らかくよく伸びる。一日置いた方が、饅頭らしい食感になるかも知れない。お店の人々は日系の方々だが、やはり日本で育った人々とは異なる雰囲気で興味深い。

 
 これまでの人生で全国各地の甘味を味わったであろう独身日本式サラリーマン諸氏も、伝統の米国産和菓子の味はまだ知らないのではないだろうか。喫茶コーナーではティーバッグ式の緑茶もサービスされるので、勉強堂で饅頭を買って、緑茶を飲んで、休日の昼下がりにジャパンタウンを楽しむ人々を眺めながらのんびりしてみてはどうだろうか。喫茶コーナーの雰囲気と饅頭の味は、不思議な懐かしさと奇妙な疎外感が入り混じった複雑な気持ちを思い起こさせるだろう。筆者はこの雰囲気が非常に気に入ったので、再訪するつもりだ。だからもしも勉強堂でそれらしい人物を見かけても、そっとしておこう。

パティオ・コーヒー・ショップ

2017-01-26 22:50:36 | 食事
 パティオ・コーヒー・ショップはサンマテオ市の食通街、25番通りにあるカフェだ。日本式独身サラリーマン諸氏はよく晴れた休日の朝などに、新聞や文庫本を読みながらのんびりと過ごしたいと思っていても、小汚く薄暗い自宅にいるとどうしても、ベッドで寝転がりながらスマートフォンでくだらないサイトを覗いて過ごしてしまうだろう。30代独身日本式サラリーマンはまだまだ未熟で、俗世間の下世話な話題から逃れられるほど精神が成熟していないのだ。そんなときは情報通信機器を置いて、パティオ・コーヒー・ショップへ出かけよう。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①アクセス・外観
このお店は、エルカミノ通りから25番通りへ入って最初の交差点の手前にある。右側がグッド・ウィルで、左側がこのお店だ。クリーム色の暖かい雰囲気の外装を見るだろう。


②家庭的でおしゃれ過ぎない。
内装は家庭的なバーのような雰囲気で、店員さんたちもとてもフレンドリーだ。お洒落過ぎないのがいい。若手デザイナーがあつらえた内装や照明のカフェで、お洒落な恰好の客が格好良くコーヒーを飲みつつ、アートな雑誌を読んでいたりするカフェは大変息苦しいが、ここは大丈夫だ。レトロな雰囲気のカウンター席には、独りで新聞を読みふける中年の男たちが並んでいる。我々はここに仲間入りするのだ。


③広すぎず、適度な閉塞感がある。
また、お店が広すぎず開放的すぎないのがいい。どことなく日本の喫茶店のような閉塞感があり、落ち着くのだ。最近の内装建築の傾向として、“開放的”というものが正義のように扱われているふしがあり、天井をやたら吹き抜けさせたり、太陽光を取り入れたりする所為で、落ち着かなくなってしまった。できればずっと隠れていたいのに、何を目的で開放しているのだろうか。


④コーヒー、その他のメニュー
食事はサンドウィッチやオムレツなどの一般的なメニューだし、安心して食べられる味だ。コーヒーを注文すれば長居していても文句は言われないので、のんびりとじっくりと、読書を楽しむことができるだろう。




 このブログもベイエリア界隈では随分とメジャーな存在となりつつあるようで、特によく紹介するこの25番通りを一人で歩いていると、「もしかしてこの人が、ブログの人じゃない?」という目でジロジロと見られるようになった。そして先日ついに、「あの、もしかして独身ブログの人ですか」と声を掛けられた。「え。人違いではないですか?何の話か皆目分からないのですが、、」と何とか胡麻化したが、狼狽ぶりで怪しまれたかも知れない。独身日本式サラリーマン諸氏も、独りでぶらぶらと歩いていると、筆者と間違えられるおそれがあるので、特に25番街を歩くときにはカムフラージュで左手の薬指に指輪をし、“独身ではないふり”をすることをお勧めする。

長谷寺・室生寺

2017-01-25 22:39:26 | 生活
 長谷寺・室生寺は奈良県にある仏教寺院である。中年に差し掛かった30代日本式独身サラリーマン諸氏は、たまに訪れる一時帰国休暇や大阪方面への出張時の合間の週末には、都会の喧騒を離れてのんびりしたいという欲求が沸くに違いない。とはいいつつも、いざのんびりしようとしてみても、実際は暇を持て余してどこかへ出かけたくなってしまうだろう。30代独身日本式サラリーマンはまだまだ未熟で、のんびりすることができるほどに精神が成熟していないのだ。しかし人ごみは嫌だし、今さら修学旅行生や外国人たちに混ざって観光するのも気苦労だ。そうした場合に活用できるのが長谷寺、室生寺だ。


この仏教寺院の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①長谷寺参道でワサビ巻きと柿の葉すし
土曜日の朝には近鉄大阪線へ乗り込み、長谷寺駅へ向かう。大阪の都心からたった1時間と少しの乗車時間とは思えない田園風景を眺めることができる。紅葉や牡丹のシーズン以外、長谷寺駅前は閑散としており、西側には遠く奈良の街並みが見える。さっそく参道で昼飯にしよう。“大寅すし”で、“素朴な贅沢、柿の葉すし”と“山の恵みの絶品ワサビ巻き”を注文し、瓶ビールを飲もう。


②井谷屋で宿泊
“大寅すし”でほろ酔い気分になったらば、長谷寺随一の旅館“井谷屋”に宿泊する。古びていてややさもしい感じもするが、温かみのあるお宿だ。温泉でまったりしたら、部屋で瓶ビールを開ける。そうしてしばらくするとお部屋まで食事が運ばれてくるので、京都テレビを堪能しながら奈良の日本酒とともに食事を味わう。ところどころに奈良の名産をちりばめた、丁寧に作られた美味しい料理だ。


③長谷寺で “朝の勤行”
翌日は早く起きて、宿で借りた猿除けの杖でコツコツ音を出しながら徒歩で長谷寺へ向かう。本堂にてお坊さんたちによる“朝の勤行”に参加させてもらうのだ。若い坊主にお経の唱え方を簡単に習い、一緒に般若心経を唱えるうちに国宝の本堂から見下ろす山間の一帯は朝日に包まれ始め、その山々に向かっても祈りを込める。勤行のあとに坊主たちと「おはようございます」と元気に挨拶を交わして寺を後にする。貴重な体験だ。


④室生寺へ
井谷屋で朝食をいただいたら、今度は室生寺へ向かう。長谷寺駅から室生口大野駅へさらに奥へと進む。室生口大野駅から室生寺までは、本数の少ないバスに乗ることになる。連絡が悪い場合はベンチに腰を掛け、何もない室生大野駅前でぼんやりと待つ。女性も修行に参加することができた“女人高野、室生寺”には国宝級の美しい仏像や、五重塔があり日本芸術の質の高さを改めて感じることができる。また、土門拳に愛された参道は静かで優しく、凛としている。

⑤旅の終わり
翌週の予定に備えて、ホテル・ニュー・松ヶ枝に戻りましょう。


 奈良は何だかとても面白い場所だ。秘境や古都や修行寺や剣豪の里など、ミステリアスな場所が沢山ある。さすが、せんと君を輩出した地域だけはあると思った。そういえば最近、屋久島で雌鹿と交尾を試みる猿(オス)が観察され、生物学者から非常に珍しい事例として注目されているそうだが、せんと君は鹿と童子がモチーフであるのでこの事例とは直接関係はない。我ら独身日本式サラリーマン諸氏は、独り寂しいからと言って生物学者を驚かせるような事例を作ることなく、“人間らしい活動”に勤しみましょう。

ゴールデン・ゲート・パーク内の植物園

2017-01-23 21:44:26 | 生活
 ゴールゲン・ゲート・パーク内の植物園は、サンフランシスコ市の植物園だ。日ごろオフィスと酒場と自宅の行き来ばかりで、まるで体を動かしていない30代日本式独身サラリーマン諸氏は、自分の体力が衰えていることに気が付くことすらできない悲惨な状況にある。このような生活が何世代も続くと、いつしか人類の足腰は退化していくのではないかと心配され、せっかく二足歩行を始めてくれたご先祖様に申し訳ない。よって今回は、「よし歩こう」という気持ちになっても「どこを歩くか」で足踏みしている日本式独身サラリーマン諸氏に、とっておきの歩けるスポットを紹介しよう。ベルトコンベアの上を歩いていても前進はない、電力と体力の無駄使いというものだ。


この植物園の特長は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。


①アクセス
ゴールデン・ゲート・パークは植物園の他にも様々な施設があるのは諸氏の知るところだろう。よって休日には多くの人が集まってしまうので、園内の路上駐車スペースもすぐに埋まってしまう。だから早い時間に行くといい。路上駐車スペースは無料で4時間止められるので、駐車時間を気にしせずロング散歩が楽しめる。開園時間7時半だ。


②植物園の概要 
55エーカーの広さは新宿御苑の3分の1程度であり、園内にはオセアニア、アジア、アフリカ、南北アメリカなどの地域別にそれぞれの植物が栽培されている。世界各地の植生の様子を観察しながら、木々や花々の息吹を感じつつ歩くことができ、鳥たちのさえずりも耳に心地がいい。ダウンタウンにいることを忘れさせる。植物には丁寧な手入れがされておらず、倒木なども雑然と放置されている様が、原生林を歩いているような気持ちになる。また、アジアコーナーでは昭和天皇皇后両陛下の来園記念碑が建てられている。


③ウォーキングするうえでの利点
上記のように植物たちを愛でながら楽しく歩けることに加え、いくつかの散歩するうえでの利点がある。まず入場が有料で9ドルもするので、一度入ったら覚悟を決めて「今日はとことん歩くぞ」という強い気持ちを持つことができる。しかもサンフランシスコ市民は無料で入ることができ、ウォーキングや太極拳やヨガをしに集まる市民が少なからずいるため、勝手に仲間意識やライバル意識を持つことも可能だ。そして、これが最も嬉しい点だがペットの入場は禁止されているため、中央にある広大な芝生スペースで犬畜生の糞尿を気にすることなく思い切り寝転ぶことができるのだ。散歩はやめて、文庫本でも持参して寝転がりながらサンフランシスコの日差しの下でのんびり読書をしてもいいだろう。


普段はオフィスで流暢に英語でコミュニケーションしている日本式独身サラリーマン諸氏も、植物を英語で覚える機会はなかなかないだろう。このゴールデン・ゲート・パーク植物園は、それぞれの木々や花々に名札が付いている。万一酒場で知り合った女や、カフェの店員の女などにさりげなく花言葉を贈られたときなどに備え、しっかりと学習しておきたいものだ。

メキシコ美術館

2017-01-22 20:16:31 | 生活
 メキシコ美術館は、サンフランシスコ市にある中南米の作品を集めた小さな美術館だ。
美術館のような純粋な観覧施設は、相手が物体であるため単なる冷やかしで来訪しても、申し訳なさを感じることなく楽しむことができるというものだ。それに対して米国の博物館は、下調べをせずに来訪すると、体験型・参加型と言われるタイプのものがあるので非常に危険だ。学芸員さんのテンション高めの説明を、わかったような顔をして笑顔を作ったり、うなずいたりするのは非常に疲れるし、相手に申し訳ない。こちらは単なる暇つぶしでやってきているのであって、知的好奇心に駆られている訳ではないのだ。その点、このメキシコ美術館は安全なので、シャイな日本式独身サラリーマン諸氏も安心して暇をつぶせる。


この美術館の特長は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。


①立地
サンフランシスコの北端のマリーナ地区に、フォート・メイソン芸術センターという施設があり、この美術館はその施設内にある。施設は海に面しており、左手には金門橋、正面にはアルカトラズ島を眺めることができる。横浜の赤レンガ倉庫を思わせるような長方形の建物が複数並んでいて、その中に劇場やマジックシアター、古本屋やカフェ、ギャラリー等が入っている総合芸術施設になっているのだ。大きな有料駐車場が併設されていて、1時間5ドル程度だったと思う。


②メキシコ美術館概要
メキシコ美術館はD館の1階にあり、公式会館時間は正午から午後4時と非常に短い。しかも正午きっかりには開館しない。筆者が来訪した日は天候が悪かった所為か、正午を過ぎても開館する様子は全くなく、せっかくの暇つぶしを反故にされるのではと不安になったが、12時15分頃にその重々しい鉄の引き戸をヒスパニック系の女性がガラガラと開けてくれた。


③メキシコ美術館 展示物
じっくり見ても30分あれば全て見終わる。メキシコと銘打っているが、ペルーなどの南米のものもあり、主に発掘された古代の尿瓶のような陶器作品や人形などが展示されている。非常に簡素な内容だが、中南米の歴史・美術に予備知識が全くない場合はそれなりに楽しめる。お土産コーナーには現代の作家による陶器や装飾品が売られており、それらを見るのも楽しい。入場は無料だが、退屈そうに座る受付の女性の前にチップの箱が置いてあるので、ほんの気持ちを入れてあげよう。


④フォート・メイソン芸術センター
このメキシコ美術館以外にも、センター内にある施設で愉しめる施設としては古本屋が挙げられる。アンティークのレターセットやレコード、絵本なども置かれた比較的お洒落な古本屋であり眺めていて楽しいし、併設されたカフェには芸術センター内に用事がある芸術家志望のような風貌の若者たちが沢山見られて刺激を受けること間違いない。また、グリーンズ・レストランという女子が好きそうなベジタリアンなレストランもあったりする。


 何となくソフィスティケートされた、アートな空間で、建築製図の筒状ケースや一眼レフカメラを持った若者が集っていそうな雰囲気があるが、メキシコ美術館は本当に安心して入れる。すぐに見終わるので退屈もしないから、シャイな日本式独身サラリーマンも一度足を運んでみて欲しい。