ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

WRTC FM893

2017-10-27 21:41:49 | 生活
WRTC FM893は、コネチカット州ハートフォード市近辺で聴くことができるラジオ局だ。筆者が遠い昔に通っていた大学では “学期” のことをセメスターと呼んでおり、そのせいか前回記事の “霊園” を意味する『セメトリー』をついついうっかり『セメストリー』と書いてしまった。これにひどく傷つき執筆意欲をすっかり失っていたが、WRTC FM893から流れる素敵な音楽を是非とも30代ベイエリア独身日本式サラリーマンにも届けたいと思い再び筆を執った。


このラジオの特長は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。


①局の概要
このラジオ局はハートフォード市のトリニティ大学によって所有されており、完全非営利のボランティアで運営されているそうだ。CMは流れず、DJの肉声により天気や近隣の催し物のお知らせがある程度だ。HPには局の歴史についての記載があり、1947年に4人の学生がたった50ドルの機材で始めた歴史ある局なのだそうだ。1970年代にはプログレやパンクなどの最先端の音楽を先駆けて流していたとの記載もあり、ハートフォードっ子達のかつてのアイコンであったであろうことが容易に想像できる。


②曲のジャンル・センス
ベイエリアのラジオの911や100.3のように特定のジャンルの音楽のみを流す局ではなく、幅広い音楽をセンスよく提供してくれるラジオ局だ。フュージョンやファンク、ジャズやワールドミュージック、オールディーズや耳に心地よいロックなどが本当にタイミングよく流れる。東海岸だけあってアフロ系のミュージックも充実しておりとても楽しいし、何より筆者の趣味に合わない不快な音楽が一切流れてこない。音楽好きの30代独身日本式サラリーマン諸氏を満足させることは間違いない。非常にセンスのよい人々により運営される、非常にセンスのいい人々のためのラジオであることが想像でき、西海岸にはない雰囲気を感じる。


③ラジオから流れる音楽
徳永英明や忌野清志郎やジュディー&マリー、最近でも家入レオさんなどが、ラジオから流れる音楽の切なさを歌い上げているように、ラジオから流れる音楽には、CDやレコードなどのような自分が所有している音楽とは異なり、不思議な一期一会感が漂う。特にWRTC FM893は、他の局のようにサービスが充実しておらず、流れている曲を検索することができないので、その一期一会感は他を圧倒し、最近めっきり新しいものに出会わなくなった、出会うことが億劫になった30代独身日本式サラリーマンに心の栄養を与える。インターネットでも聴けるようなので、ベイエリアにいる諸氏らでも楽しめるだろう。


 九州では30代(おそらく独身)日本式サラリーマンが、AKB48のCDを600枚近く山へ不法に放棄した件で送検されたそうだ。これに関して『少しずつ捨てればいいのに』『ブックオフに持って行けばいいのに』などと考える人々は想像力が欠如している。彼は愛するメンバーの勝利に誰よりも貢献したいという純粋な思いで大量の人気投票権付きCDを買ったものの、同時にその自分の行為に極度の羞恥心を持っており、この行為が人に理解されないこともよく判っていた。だから絶対に誰にも知られたくなかったのだろう。よって少しずつゴミ置き場に捨てることも、ブックオフに持って行くことも憚られ、こっそり山に捨てたところ、海外ニュースにも取り上げられるほどの大事になってしまったという悲しい出来事だ。同じ30代独身日本式サラリーマンとは思えない、思春期の匂いがするニュースであり、羨ましいような気さえしたが、AKB48よりはWRTC FM893を聴いた方がセンスのいい人になれるので、是非聞いてみて下さい。

グリーン・セメストリー

2017-10-16 21:33:31 | 生活
 グリーン・セメストリーは、コネチカット州グラストンベリー市にある墓地だ。ニンゲンは地球上の他の生物と異なり、死ぬと墓に入る(入れられる)場合が多い。庶民たちは墓に魂(のようなもの)があると信じ、自身の先祖の墓にお参りしたり、線香の束に火を付けたり、花を手向けたり、墓地付近で幽霊に遭遇したりする。また、歴史上功績のある人物の墓は観光地として活用されており、日本でも青森県のイエス・キリスト及びその弟のイスキリの墓を筆頭に、山口県の楊貴妃の墓、和歌山県の世界最古の詐欺師として名高い徐福の墓などが賑わいを見せているようだ。ここコネチカット州の墓地も公園のように整備され、木々に囲まれた心落ち着くものが多く、秋も深まる紅葉シーズンにベイエリア30代独身日本式サラリーマンが散歩をするにはちょうどいいので、ここで紹介しようという企画だ。


この墓地の概要は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。


①コネチカットの墓の概要
コネチカット州を車でウロウロしていると、日本の田舎のような小さな墓地が散見される。べイエリアのコルマ墓地や、千葉の八柱霊園、日暮里の谷中霊園のように、公共機関の管理のもとに広大な土地に集められたものとは異なり、古くから在る小さなコミュニティ毎に建てられた墓地が守られているようだ。日本の古刹巡りを楽しむかのように墓を訪れることができそうな予感がする。


②立地・様子
今回訪れたのはグラストンベリー市で最も古いとされるグリーン・セメストリーであり、市のセンター街から車で数分南下した住宅街の中にある。中学校の校庭ほどの大きさのエリアには丁寧に芝が施されており、公園のようだ。墓石は2~3メートル間隔で一様に南を向いて整然と並んでいる。現在の死人も埋葬されているようで、北側のものは比較的新しい。


③墓
そこにある西洋式の墓群は、ファミコンゲームの『魔界村』や『悪魔城ドラキュラ』でよく見た石板式、十字架式の墓に加え、不規則に石塔が建てられており、不思議な空間になっている。刻まれた名前や死因、死亡年月日などを見ながら、彼らがヨーロッパから新天地を求めて過酷な航海を生き残り、町を作り、ネイティブアメリカンを追いやり、子供を作り、その子らによって墓が建てられる、そんなドラマを勝手に感じ取りながら楽しく散歩することができる。1700年後半から1800年代に亡くなった人々の朽ち果てた古い墓石もあり、恐らく一度もアジア人を見たこともない人々の魂の廻りを練り歩き驚かせてやるのも一興だ。


④資料館
墓地の隣には小さな郷土歴史資料館も建てられている。調査によると熱心な学芸員が親切に説明してくれるようであったので、入るのを差し控えた。



 さて、ニンゲンは何故墓に入るのだろうか。入っている人に聴くことはできないので、これから入る人に尋ねたところ、“自分は特別入りたいなどとは思わないが、子供たちが自分を入れるだろう”との答えが一般的なようだ。近いうちに縁者がいなくなるベイエリア30代独身日本式サラリーマン諸氏は、今でこそ「俺には地元に○○家代々の墓があるから、そこに入る」などと高をくくっているかも知れないが、墓には“入れてくれる人”がいないと簡単には入れないことを認識しておかなくてはならない。孤独な諸氏が希望の墓に入るためには、金にモノを言わせて他人やロボットに自分を埋葬してもらうか、何とかして親兄弟よりも先に死ぬか、即身仏さながらに生きているうちから墓に入るしかない。自身の死後の姿を、コネチカットの知らない人たちの墓に重ねながら、静かに、心穏やかに、落ち葉を踏みしめながら散歩してみてはどうだろうか。

アドリアティクス・レストラン

2017-10-09 09:48:02 | 食事
 アドリアティクス・レストランは、コネチカット州グラストンベリー市にあるレストランだ。グーグル・マップでは地中海料理とされているが、主にピザやパスタなどが出されるイタリア料理だといっていい。ピザ・レストランというものは概ね大人数でワイワイ楽しむものであり、ベイエリア30代独身日本式サラリーマンが単独で足を踏み入れることは想像しにくい。だが、今や米国ではピザは『野菜』に認定されるほどの国民食であり、グラストンベリー市のセンター街のレストランもピザ屋ばかりが目に付く。 とかく野菜不足に陥りがちなベイエリア独身日本式サラリーマン諸氏は、今のうちに“独りピザ”にも慣れておくことも必要かもしれない。それにピザはワインやビールとも良く合う。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①立地・外観
アドリアティクス・レストランは、グラストンベリー・センターと呼ばれるこじんまりとしたショッピングゾーンにある。このエリアはどのお店も同じような外観であるし、景観規制でもあるのか華美な照明や看板が少ない。そのうえアドリアティクス・レストランは同エリア内の複数のピザレストランに比べて特に目立たず、ひっそりと佇んでいるので迷ってしまうが、何せ小さなエリアであるから、ぶらぶらと歩いているうちに見つかるはずだ。6~7軒のテナントが入る建屋の北端から2番目に位置していてる。店内は暗く、中の様子を見ることができないのでドアを開くのに少し躊躇する。


②中の様子
ドアを開けるとガスの匂いがプンとする。正面の奥がキッチン、手前がホールになっており、左右の両壁際になかなか上質なこげ茶色の4人掛け用ボックス席が並んでいる。向かって右側は奥の便所までホールが伸びており、その奥まった辺りのボックス席で奥向きに腰を掛ければ、便所から戻る客以外からは存在を消すことができるので、安心して食事を楽しむことができるだろう。そんなに混雑する様子もないので、ゆったりとできるお店だ。


③店員
店員の中年女性はとても感じの良いシチリア風の黒髪の女性だ。テンションが高すぎないのも独り客には嬉しい。ヒラリークリントンさながらの高圧的な笑顔で“エブリシング オーライ??”などと声を掛けられることもなく、自然に接してくれるだろう。


③味、酒、値段
このお店のピザは旨い。たいていのピザは一口目が旨くともだんだんと飽きてきてムカムカし始めるにもかかわらず、何故か完食してしまってしばらく胃が苦しくなる。しかしここのピザはこってり感が少なく、完食しても明日また食べたくなるほどのライトなピザだ。それでいてモッチリとサクサクの両方を満たす生地には満足感があり、独りで食べていても自然に笑顔がこぼれるので気を付けたい。直径10インチのピザはすぐに胃袋の中に納まる。ステラやサミュエルアダムスなどのドラフトビールをゴクゴク飲みながら上質なピザを楽しむ時間は楽しい。そして値段も手ごろだ。


 
 1年以上前に神奈川県の障碍者施設で想像を絶する事件を起こしてしまった悲しい若者は、拘留中の今でも“自己紹介できない程度に意思疎通ができない者は社会のお荷物であるから、安楽死させるべきだ”という思想を捨てきれずにいる。その思想に関して議論すること自体が非常にセンシティブであるために、大事件であるにも関わらずマスコミは静かであった。しかし、彼のその思想を逆から見ると“意思疎通(自己紹介)さえできれば、君は社会のお荷物などではないのだよ”といいう、“自分はお荷物かも知れない”と思い悩むベイエリア30代独身日本式サラリーマン諸氏からすれば、比較的生きていいハードルが低い、愛のある思想でもあるから不思議だ。言われてみたい。日ごろ自分に厳しく、“自分は一体何の役に立っているのだろう”と思い悩んでいる諸氏たちよ。いいんだよ。だって君は(英語で)自己紹介できてるんだから。会社のお荷物なんかじゃないんだ。ポジティブな意識を持ってピザを食べに行ってください。