ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

ジャマイカンパティ

2020-09-30 03:26:02 | 食事
 ジャマイカンパティとは、ハートフォード周辺のジャマイカンベーカリーで売られている具材の入ったパンのことだ。30代独身日本式サラリーマンが休日に朝からどこかへ張り切って出かけるときに、少し面倒くさいのが朝食だろう。長い独身生活のおかげで冷蔵庫の残りでササっと何か拵える技量を身に付けてはいるものの、休日くらいは何か楽しい食事にしたいと思う。とはいえいちいち店に入って腰掛けて食べるのも面倒だし、ガソリンスタンドのサンドウィッチとホットコーヒーというのもつまらないだろう。そんなとき筆者はジャマイカンパティを利用しているので、今回はそれを紹介します。


このパンの特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①購入できるお店
筆者が確認しているジャマイカンパティ入手可能なお店はハートフォードでは2件あり、1件目はイーストハードフォードのペッパーズ・ジャマイカンベーカリー、そして2件目がスコット・ジャマイカンベーカリー、こちらはハートフォードの北側エリアに位置する。どちらもやや入りにくい雰囲気だ。ペッパーズは周辺地域の治安は比較的よいが、主張が少ない外観のうえに店内は暗くて一見ではやってるのかどうかわからない。スコットの方はけっこう洒落た外観で、駐車場も整備されていて安心できるのだが、いかんせん周辺の治安があまりよろしくなく、住所不定無職っぽい人たちがウロウロしたり座り込んでいたりして不安になる。でもどちらも日が高いうちは危険はないしちゃんとしたお店である。住所不定無職っぽい人にも「おはよう」と言えば「おはよう」と返してくれる。



②ジャマイカンパティ概要
さっそくウィキペディアの内容を盗用すると、ジャマイカンパティのうち特に牛のひき肉が入ったビーフパティは、ジャマイカの植民地時代に英国のコーニッシュ地域のパストリーとインドからの労働者が持ってきたカレーやクミン、そしてアフリカ系労働者の唐辛子が融合してできたとの記載だ。餃子を平たくした形状で女性の手のひらほど大きさ、そしてややカリっとした食感の黄みを帯びた薄い生地にビーフだったり、ほうれん草とチーズだったり、色んなものが入っている惣菜パンだ。ジャマイカの人はさらにこれを柔らかいパンに挟んで食べるらしいが、筆者はそのままいただく。


③ジャマイカンパティ概要その2
ニューイングランドに住むジャマイカ出身の人々にとってジャマイカンパティは朝食に利用されるようで、どちらのベーカリーも比較的早い時間に開店する。既に出来上がったジャマイカンパティが保温容器に並んでいるので、注文すればすぐに出される。30代独身日本式サラリーマンでも朝食としては1個で十分なボリュームなので、メニューの中から慎重に品物を一つ選ばなくてはいけないのだが、筆者はいつもジャマイカの国民食であるアキー&ソルトフィッシュ入りパティを注文する。一番おいしいからだ。それにジャマイカ人の店員に「え!あなたアキー&ソルトフィッシュ好きなの?」と親近感を持って話しかけられることがままあるのでそれが嬉しいからもある。



③味、楽しみ方など
やはり塩気が多いが美味しい。車を運転しながら片手で気軽に食べられるのもよく、休日のドライブへの出発前にちょうどいいのだ。もちろん数個買って長屋に持ち帰り、古いレゲエを流しながらビールと一緒にランチにすると気分はトロピカルになり、平日の憂さも消え去って、アイリーな気分に浸れるというものだ。アキー&ソルトフィッシュに関していえばスコットのお店の方が胡椒が効いてスパイシー、そしてボリュームは大き目だ。ペッパーズの方はペッパーズなのにペッパーは控えめだ。


 2020年9月の米国は、差し迫った大統領選挙のニュースや噂で盛り上がっているようだが、職場の人などの個人の口からどちらを支持するなどという声を聴くことは多くない。日本と同様に「政治と野球と宗教の話」はアメリカでも内輪でしかあまりしないのだろうか。ただ町を車で走っていると、個人宅と思われる家に堂々と支持する候補者の旗やスローガンが掲げてあるのをよく目にする。日本では公明党でしか見られない光景だ。やはり住んでいる地域によって支持する候補(もしくは政党)や支持熱に違いがあるようで、これを感じながら車を走らせるのも楽しいのだが、国民をこうも二分してしまう二大政党制が、果たして政治体制の理想かと問われると、首をかしげながらジャマイカンパティを食べざるを得ない。

サーモンリバートレイル

2020-09-27 18:08:15 | 生活
 サーモンリバーレイルとは、イーストハンプトン市にあるトレイルのことだ。ここ数日でニューイングランド地方の気温はぐんと下がり、すでに木の葉が色づき始めている。路上に丸々とした狸の死骸がやたら多くなったのも、冬眠の開始が予定より早まりそうで慌てて食いだめをしているからであろうか。ハイキングには絶好の気温であるが、冬はもうすぐそこなのでこちらも早めに主要なトレイルを消化しておかなければと、筆者の心も焦っている。今日はサーモンリバートレイルだ。


このトレイルの紹介は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①アクセス
サーモンリバートレイルの入り口は、イーストハンプトンとコルチェスターを結ぶ16号線に面している。16号線は、木々に囲まれた景色が良好な気持ちのいい道路のうえに通行車両が少ないので、制限速度よりもかなり飛ばした車が走っている。特にこのトレイルの入り口は道路を下りきった谷にあるし、いつものように看板が不親切で位置が明確でないから、GPSで入り口が近いことが判ったら、ウインカーを早めに出して後続車両に注意を促したい。入ってすぐに駐車場があり、30~40台分ほどのスペースがある。そして谷底になかなか立派な川が流れていることに気が付くだろう。それがサーモンリバーである。



②入り口
サーモンリバーは、トラウトマネージメントエリアに指定されていて、ライセンス(これはウォルマートで購入可能)を購入すれば釣りをすることができる。あるサイズ以上のトラウトは持ち帰れるとのことで、フライフィッシング客も集まる場所のようだが、筆者が尋ねたのは朝の8時であり、駐車場には筆者の他に2台の車があるばかりであった。トレイルのスタート地点には木製の屋根の付いた立派な橋がかかっており、なんでもこの橋はもともと住民の交通の為に18世紀後半に架けられ、その後何度も補強工事がされた歴史あるものだそうで、大そうな説明書きがある。が、熟読する気はしないのですぐに橋を渡る。



③出発
橋上から眺める川の眺めはきれいな渓流で、秋口の朝の柔らかな日差し、ひんやりとした空気も相まって非常に心地よい。日本だと“○○渓”と名付けられるような、清流沿いの爽やなトレイルハイキングへの期待が高まるも、橋を渡り切ったところに据えられたトレイルマップを見れば、トレイルはすぐに川から逸れるようでやや気落ちした。地図によれば2マイルほど行くとトレイルは分岐していて、そこから巡回ルートになり、どちらへ行ってもまたこの分岐へ戻ってくるようだ。踏破すれば合計約7マイルのロングハイキングであり、筆者は「ウーム、分岐までかな」と気後れし、トレイルマップの写真を撮った。米国のトレイルは標識があまりないので、マップは写真に撮っておくことを強く薦める。また、自転車は禁止との記載があるので、安心してハイキングができそうだ。



④トレイル
川沿いの道はほんの100mほどで終わり、谷をなだらかに登り始め、せせらぎの音はたちまちにに遠ざかる。ところどころに川に下りられそうな小路が見つかるも、往路はとにかく前へ進むことにした。 そのうちに勾配が急になり、ポツポツと倒木があったりと、筋肉を使うトレイルに代わっていき心拍数が上がるが、おおよそ歩きやすいトレイルで、ランニングをする人たちとすれ違ったり、追い抜かれたりする。この急こう配を上り切ると尾根を往くルートになる。コンクリートブロックで土留めがなされた展望所のようなものがいくつか設置されているものの、木々が生い茂って遠景はあまり望めない。この尾根ルートは数百メートルで終わり、再び谷へ下ると今度はややじめじめした湿地になっていて、木の根元に多数の茸が群生している。この茸はどうも食べられそうな風貌をしているので一応写真に撮って帰宅して調べることにした。ぬかるんだ部分にはきちんと木製の橋が架けられており、よく整備されている。この湿地帯を抜けると再び少しの上りになり、それを上り切ると分岐点に到着する。ここまで約50分。残り3マイルの巡回ルートをまわる気は毛頭ないので引き返すことにした。



 復路は下りが多いので早い。川沿いの道まで戻ってきたので、往路ではやり過ごした河原への小路を下りるとそこは滑らかな岩の渓流だった。時間帯が違えば子供たちの水遊び場になっていそうだが朝方で誰も居ない。筆者は川面に突出した岩をわたって、川の中央付近までたどり着き、そこにある平たい岩に腰を下ろした。下流を見れば緑の森に挟まれた渓流と青空の景色が雄大で、けっこうな場所にやってきた気になれる。水は川底の小石のかたちが判別できるくらいに澄んでいて、筆者は魚を探してしばらく川を凝視したが、見つけられなかった。『さて、行くかな』と立ち上がって再び岩を渡って河畔に戻り、トレイルに入る前に何ともなくさっき座っていた場所を振り向くと、魚が川面から飛び跳ねて水音を立てて消えていった。どうやら奇跡はいつも起きているようだ。橋を渡り駐車場に戻って時間と万歩計を見るとおおよそ90分、9000歩のハイキングだった。

ボルトンノッチステートパークからバレーフォールズパークまでのトレイル

2020-09-26 04:11:08 | 生活
 ボルトンノッチステートパークからバレーフォールズパークまでのトレイルとは、ボルトン市のボルトンノッチステートパークからベンロン市のバレーフォールズパークまで伸びるトレイルのことだ。思い起こせば西海岸に居た頃は、ちょいちょいトレイルを歩きに出かけ、それを読者諸氏に紹介していたものだ。ハートフォードに来てからもたまにトレイルハイクに出掛けていたものの、紹介するのを忘れていた。だいたいトレイルの紹介はあまり書くことがないし、後々見返してもあまり面白い内容になっていないことが多いので書く気が失せていたこともある。しかしながら先日のラファイエット登山の体験から体力の著しい衰えを感じた筆者は、同じ境遇にあろう30代独身日本式サラリーマン読者諸氏にウォーキングを勧める義務を感じたので、再び書くことにした。


このトレイルの紹介は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①出発地点ボルトンノッチステートパーク
ボルトン市もベンロン市もマンチェスター市の東側に位置する小さな町だ。ボルトンノッチステートパークは、ハートフォード方面からだと44号線を東進し、マンチェスターを通り過ぎて384号線と合流して6号線が分岐する場所に小さな入り口がある。標識は分かりづらいのでナビを利用して行くことをお勧めする。入り口に入ると20台ほどはとめられる駐車場があり、朝の9時頃には既に数台の車が停まっていた。付近には大きな池があるが、蓮の葉で一面を覆われていて、花咲く頃以外はあまり綺麗ではないようだ。それでも池の各所にボートが発着する場所があるので、釣りやカヌーを楽しむ人があるのかも知れない。


②トレイル概要1
このトレイルはかつてマンチェスターとウィルマンティック間を走っていた旧鉄道が遊歩道になったもので、この区間では低い山の中腹を走っている。枕木や電柱などの鉄道施設の残骸が残り、その説明の標識が掲げられていて歴史を感じさせるが、かつての鉄道だけに幅広で平坦な道であり、そのためハイカーよりも自転車やジョギングをする人々が多い。よってふらふらと草木や小鳥を見ながら歩くのはやや危険で、まっすぐにひたすら歩く人向けだ。近くに牧場でもあるのか草食動物の糞の香りがするのも少し気になるが、木々に囲まれていて心地よい、かつスニーカーでも全く問題ない気軽なトレイルと言えよう。


③トレイル概要2
筆者のような自然を眺めながらゆらゆらと歩きたいハイカーは、このトレイルから谷へ少し下りる道が所々に作られているので、そこを下りるとよい。谷底にも鉄道トレイルとほぼ並行した細いトレイルがあり、そこは自転車やランナーがいないのでゆっくりと自然の中を歩くことができる。谷を流れる小川の水音が心地よいし、よく見ると小魚が泳いでいたりして楽しいが、夏場は蚊が多いかも知れない。筆者は他にも蛙や沢蟹などの生物がいないか水辺を凝視しながら歩くが、見つからなかった。そうして約一時間ほど歩くと小川は大きな池に合流し、そこが終点のバレーフォールズパークである。



③バレー・フォールズ・パーク
この池は人工の溜池であり、小さなビーチがあって、夏場は水遊びをする子供で賑わうのであろう、起点のボルトンノッチステートパークよりも整備された大きな駐車場がある。駐車場付近にはこのエリアのトレイルマップの看板があったのでよく見てみると、ここからさらに北方向へとトレイルは続いており、ここを起点にしてハイキングを楽しむ人も多いようだ。筆者はそんな過酷なハイキングは望んでいないので、池で犬を泳がせる人を眺めながらしばらく体を休めたのち、鉄道トレイルを戻ることにした。ランナーや自転車の人々はこのトレイルを何往復もしているようで、さっき追い越された人やすれ違った人と再びすれ違ったり追い越されたりして奇妙な気持ちになった。



 予想通りつまらない内容になった。筆者は一応ホワイトカラーといえどもデスクにベッタリの業務ではないので、一般的日本人よりは歩いているものと思っていたが、以前一時帰国した際、弘明寺で再会した友人の嫁さんの話を聞いて、彼女の方がずっと歩いていることが判明した。日本の都会の人は通勤でよく歩くのだ。日本人の平均寿命の長さには、平均歩行距離の多さも関係しているかも知れない。今回の約4マイル、時間にして2時間のハイキングでやっとこさ一万歩である。これに近い歩行を毎日生活の中でしている人が日本には多い。筆者は米国に来て以来もっぱら車移動で、家事も不真面目なので家ではたいていじっとしている。知らず知らずのうちに足腰が弱くなってきているかも知れない。来週も歩き、つまらない記事をアップしようと思いながら公園を後にした。

ポーツマス探訪とラファイエット山登頂 その3

2020-09-19 21:14:41 | 生活
 ポーツマスとラファイエット山登頂とは、2020年の米国レイバーデイ連休を利用して筆者が敢行した旅行のことである。何かに導かれるように登山を開始した筆者は、自分の体力を過信していたことにすぐに気が付いた。しかし谷合いの登山ルートは岩の多い悪路で、しかもぞくぞくとハイカーが登ってくるので、ここを引き返すよりは正規の巡回ルートを往く方が楽であると観念し、ひたすらに歩く。



この旅の続編の詳細は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①ラファイエット山登頂
3人の太り気味のヒスパニック女性グループと抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げながら、何とか絶景の尾根ルートを踏破してラファイエット山に登りつめたときにはもう午後1時になっていた。すでに5時間が経過している。まだ自分が平均的ハイカーであるとの期待がぬぐえず、平均6時間のハイクということだから、きっと下りは2時間弱であろうと思っていたが、涙目で登山口へ戻ったときには午後5時近くになっていた。尾根下りからやや平坦な道になり、高速を走る車の音が聞こえ始めてゴールを意識し始めたころから、筆者の頭の中では『負けないで』や『TOMORROW』のメロディが流れ始め、24時間テレビのランナーのような心境だった。車に辿りつくと同時にアスファルトの上にへたりこんだのだが、ちょうど同じタイミングでゴールした例の太り気味のヒスパニック女性グループはぺちゃくちゃと喋りながら明るく車に乗り込みサッサと去っていった。



②マンチェスターへ
やがて予想どおり『やってやったぞ』と達成感がムクムクと沸き上がってきて景気がよくなったので、どこかでもう1泊することにした。アクセルブレーキを踏むのも億劫なほど疲れ果てていたのももう1泊する理由だ。エクスペディアではニューハンプシャーの州都であるマンチェスターが、93号沿いで2時間ほどのドライブで着くし、宿代も安めなので手ごろだと判断した。夕暮れのニューハンプシャーを走る車内には細野晴臣のトロピカルダンディーが流れ、筆者の心は晴れやかだ。



③マンチェスター
93号線から見えるマンチェスターは赤レンガの建物が並ぶ綺麗な町で、いくつかの大学の看板が大きく見える学園都市のようだった。ダウンタウン付近にて車を流して様子を見ても、ハートフォードやサクラメント、スプリングフィールドのような廃れた州都の雰囲気はなく、若者が多く乞食は少なく、ゴミも散らかっていない。ところどころに洒落たレストランがあってテラスで食事を楽しむ人も多い。治安のいい町のように見えた。


④ブバ・ヌードル・バー
疲労困憊だったが、祝賀会を行う必要があり夜の町へ繰り出す。予め宿でブバ・ヌードル・バーというフォーやラーメンを出す店に目を付けていた。だが足は筋肉痛で、既に千鳥足だ。ダウンタウンのメインストリートからはやや外れた通りに佇むこのお店は、“バー”と銘打っているだけあって外見にラーメン屋の雰囲気は全くない。やはりコロナの影響で通りにテーブルを出して外で食事をしている客が多く、中は席が空いている。筆者は注文した生サッポロビールを一気に飲み干すとすぐに眠気を感じ、祝賀会は早めに切り上げた方がいいことを悟った。。味噌味はやや薄めだが、キムチや立派なチャーシューが入り、そしてニンニクが効いた素晴らしいスパイシーミソラーメンを平らげ、早々に宿に戻って寝込んだのだ。


 最近はコロナを理由にして旅をしていなかった。京大類人猿研究所でゴリラを研究する人の話によると、旅とはもともと生殖機能を有するようになった大人が近親間の交配を避けるために“群れ”から離れる行為であると仮説を立てている。ゴリラなどの類人猿では見られる行動なのだそうだ。今でいうと温泉街のソープランド、昔で言えば伊勢神宮周辺の遊郭の存在や、旅芸人や転校生が何故かモテる事実など、ニンゲンにもその性質が残っていると彼は言う。30代独身日本式サラリーマンは目下何の群れのメンバーに入っていないので、毎日が放浪中なのだが、確かに旅には何か奇跡を期待してしまうものだ。しかし今回もまた特に出会いは無かった。

ポーツマス探訪とラファイエット山登頂 その2

2020-09-19 20:56:08 | 生活
ポーツマスとラファイエット山登頂とは、2020年の米国レイバーデイ連休を利用して筆者が敢行した旅行のことである。ポーツマスを後にした筆者は、ラファイエット山登山を達成すべく装備を整える必要があったので、まずはセイバーズへと向かった。運のいいことに天気は非常に良好で、パズテルズのアルバムが流れる車内には幸先よい雰囲気が漂う。


この旅の続編の詳細は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①セイバーズ
セイバーズとは以前紹介したグッドウィルと同様に、米国で展開するセカンドハンドショップである。ここにいけば食料品以外なら何でも手に入る。旅行には、荷物はなるべく持たずに出かけ、必要な物は現地のセイバーズやグッドウィルで手に入れるのが楽しいし、購入したもので旅の記憶が思い起こされて後日も楽しい。ポーツマス市にもセイバーズがあったのでさっそく立ち寄るも、またもコロナの影響で何故か試着室を使うことができず、サイズやシルエットが少しずつ異なる3着のズボンと日よけ用ベースボールキャップを合計15ドルで手に入れた。これで山に登れる。


②ラファイエット山
ラファイエット山はニューハンプシャー州のフランコニア・ノッチ州立公園内にある山で、ポーツマスからは内陸側へ戻り、93号線を北上するルートをとる。この州立公園はニューイングランド地方では珍しく山らしい山が連なるエリアで、スキー場やキャンプ場なども整備された一大アウトドアスポットだ。30代後半になり 自己肯定感が全くなくなり、レディーガガの歌を聴いても疲れるだけになってきた筆者は、何か自信がつく行動を行わなくてはいけないと感じていたのだ。そんな訳で高さ5200ftのラファイエット山への登山を決定した。とはいえ登山口が既に標高2000ft程度あるので、実質の高低差はおおよそ1000mの登山となる。


③登山口にて
森に囲まれた93号線を北上し、州立公園に到着したのが昼過ぎであった。とりあえず登山口の様子を調べに行くと、連休の影響で駐車場はほぼ満車の賑わいだ。緑のポロシャツを着た係員の白人中年男性がいたのでスタスタと駆け寄り、『明日、ハイキングしようと思うのだけど、ラファイエット山にはどう行けばいい?』と尋ねるも、答えを聞いて筆者はやや尻込みした。ラファイエット山へはまず谷沿いの滝などが見られるトレイルからリトルハイスタック山へ登り、その後尾根を縦走してラファイエット山へ到達、そしてラファイエット山の尾根を伝って戻る巡回コースで、おおよそ6時間のハイクとのこと。そして朝7時に駐車場に来ないと満車になる可能性があると言われたのだ。しかしここで『やめた』と言うのはまるで藤光の焼き抜き蒲鉾のCMみたいで情けないので、挑戦を止めないことにした。それに老人も含めて平均6時間ということならば、運動不足30代独身日本式サラリーマンとはいえども平均以下ではクリアできるだろうという期待もあったのだ。



④宿を探す
そういうわけで翌朝7時から登山を開始せねばならぬことになったので、近場で宿を探すことにしたが、エクスペディアではどこも満室で適当な宿が見当たらない。筆者の脳裏には『本当は登りたかったが宿が無くやむを得ず・・』という言い訳がよぎり始めていたが、30マイルほど93号を南下したプリマスという小さな町のデイズ・インに飛び込みで入り、やけに美人なフロントのインド人風姉さんに空室を尋ねたところ、何と一部屋空いていたのだった。エクスペディアでは満室となっていたが、どうやらキャンセルでもあったのだろうか。筆者はいよいよ過酷なハイクに挑戦しなくてはならないと気が重くなったのだった。ちなみにフロントにもう一人いた東欧風の姉ちゃんもすこぶる美人であったが、当てがわれた二階の部屋は薄暗く、窓のカーテンを開けると眼下に廃墟のようにタイルが剥がれた灰色の改装中の屋内プールがあり、怖くなってすぐにカーテンを閉めた。


⑤プリマス
さて、筆者は夕食をとるためにプリマスの町へ繰り出した。プリマスの町は小さいながらも、メインストリートにはやはりアウトドア客のためのレストランがいくつかあり、けっこう賑わっている。筆者は疲れもあったし、旅行者で賑わう店内で一人食事するのは気が引けたので、ホテルに持ち帰ってゆっくり食べようと決め、中華料理屋でチキンウイングとチキンエッグフーヤンを買い、何だか洗練されたスーパーで登山用のバナナとクッキー、そしてビールを買い込んで宿に戻った。



 翌朝は寝坊した。薄暗い部屋でぐっすりと寝込み、計画到着時刻の7時に起床したのだ。急いで荷物をまとめ、猛スピードで93号を北上しつつも『本当は登りたかったが、駐車場が満車でやむを得ず・・』という言い訳が筆者の頭にはよぎり始めた。7時25分に登山口に到着。やはり駐車場は満車で、『あぁ』と安心の吐息を漏らしたそのとき、緑ポロシャツの係員が『まだ反対車線の駐車場が少し空いているから、急いで次のインターで下りてUターンしろ!』と呼び掛けてくれた。筆者は何故か急いで言われたとおりに車を走らせ、何とか残り2、3台の空きスペースに車を滑り込ませ、遭えなく登山開始となったのだ。しかも絶好の好天気だ。