ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

ハンコック・スーパーの新鮮ヒラメをバカ食い

2022-11-29 10:41:28 | 食材
 ハンコック・スーパーの新鮮ヒラメをバカ食いとは、サンノゼ市の韓国系スーパーで捌いてもらったヒラメを、30代独身日本式サラリーマンがバカ食いするイベントのことを言う。“たまには大枚を叩いて豪奢な食事をしたい、でも一人で行ける店がなくて・・”と悩んでいるベイエリア駐在30代独身日本式サラリーマン、特に白身魚好きであれば朗報だ。さて、筆者は現在長期出張中で、会社経費節約のためにAIRBNBという民泊サイトを利用している。その部屋でFOXテレビのトライアル視聴を利用して2022年のカタールW杯日本対ドイツ戦を途中から見ていたら、ちょうど堂安選手の劇的同点弾直後に無料視聴時間が終了したのだった。その後の試合終了までの15分は、ネットニュースを見てやきもきする虚しい観戦になった。ここのところ元気のない日本、このまま快進撃を続けてほしい。


この贅沢食事の詳細は以下の通りだ、参考にしてもらいたい。


①ハンコック・スーパーの鮮魚コーナー
サンノゼのエルカミノ通り沿いにあるハンコック・スーパーといえば、他のアジアスーパーに比べて低価格の庶民派スーパーである。とはいえ鮮魚コーナーは小ぶりで魚の種類が多くないので、鮮魚よりは野菜や肉類、それにキムチや総菜・冷凍食品を購入するのに使っていて、鮮魚コーナーは素通りすることが多かった。だが一か月ほど前に、鮮魚コーナーの左側の柱に“ヒラメのお造りを作ります”と書かれた貼り紙があることに気が付いたのだ。売りたいのか売りたくないのか分からないほど目立たない、小さな貼り紙だ。だがパウンド35ドルとかなり高めの値段だったので、なかなか注文するには至らずにいた。



②ヒラメを注文する
とはいえ円安ドル高で資産が増えた(気になっている)筆者はここのとことろ強気で、財布の紐が緩い。とある暇な週末に、思い切って景気よくヒラメを注文してみるかと、鮮魚コーナーの中南米系店員に声をかける。店員達は色めき立ち、生け簀からヒラメをすくい上げ、『コレにするか?』と尋ねてくる。やはり一尾丸々注文しなくてはならぬようだ。そしてどれも大きい。店員は重さを測って値段を伝えてくる。お値段約90ドル・・・3パウンド弱のヒラメである。だがパロアルト辺りの高級寿司屋で飲み食いするのに比べれば安いものだし、養殖ヒラメと言えども鮮度が抜群なのは確実だ。それにメキシカン店員らの輝く眼光を目にすると、今さら『あ、やっぱりやめます』とはなかなか言えない。


③メキシカン店員がヒラメをせっせと捌く

メキシカン店員は、『捌くのに25分程度かかる』と言い残しコーナーの片隅の調理台でせっせとヒラメを捌き始める。注文前には買い物をほぼ済ませていた筆者は普段見ない調理具コーナーをめぐったり、冷凍コーナーの魚介類を眺めたりして時間を潰す。時折鮮魚コーナーに戻ると、メキシコ店員はメキシコ人らしからぬ真剣な顔つきで手を動かしている。そしてプラスチック皿にヒラメの刺身がずんずん盛られていき、まるで富士山のようになってくる。明らかに多すぎる。盛り終えたプラスチック皿は、氷と共に平たい段ボールに入れられて手渡された。



④帰って食べる
長屋に戻り段ボールを開ければ、刺身とは別に頭や内臓などのアラも丁寧にパッキングされているし、ワサビ(偽物だが)も入れてくれている。また、山盛りに見えた刺身は下にたっぷり大根ツマが敷かれているのでそこまで多くないかも知れない。これを①そのまま刺身、②ヒラメシャブシャブ、③アラは煮つけにして豪華ヒラメ尽くしを堪能しよう。刺身は部位によって少しづつ歯ごたえや脂ののりが異なるので、そこまで飽きはこない。当然エンガワのような脂っぽい部分もある。しゃぶしゃぶはツマの大根と一緒にシャブシャブするのが簡単だが、カイワレと一緒も美味である。せっかくだから少しだけ高い日本酒も買ってきて、豪華絢爛な宴会にしたいものだ。



さて豪華なヒラメ尽くしにしてみても、やはり一度の食事では到底食べきれない。そして翌日も気分よく刺身をつついていたら、これが一日目よりも美味い。調べてみれば、一日二日置いた方が味が良くなるということだ。それも捌かずに置いておく方がよいとのこと。次回は丸々ヒラメを買ってきて、冷蔵庫で熟成させてから自分で捌いてみようかしら。“そうすればパウンド35ドルも払う必要もない訳だ”とやはりけち根性が芽生えてくる。それに昆布締めやカルパッチョなども作って、さらなるヒラメ尽くしに挑戦しようかしら。そんなことを考え始めている、暇な日曜日、今日も誰とも話していない。

フィラデルフィア探訪 その3

2022-11-24 05:24:55 | 生活
フィラデルフィア探訪とは、筆者が出張の合間を縫って探訪したペンシルバニア州フィラデルフィア市の記録である。司馬遼太郎氏の北米紀行“アメリカ素描”では、製造業の衰退による80年代のフィラデルフィア市の荒廃が、“打ち捨てられた都市”として驚きの目で記録されている。しかし2022年、少なくとも市の中心部に荒廃した様子は見られず、観光都市や学術文化都市として再生しているように見える。調べてみると、もともとの製造業の地盤を生かした情報や軍需産業、ヘルスケア産業なども盛んなようで、勢いのある都市のようだ。出張最終日、カリフォルニアへ帰る便までには時間があったので、最後に市内をウロウロしてみることにした。


この探訪の概要は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。



①市庁舎からジュエリー・ロウ
狭いチェストナッツ通りは、石柱や石造彫刻を誂えた古い西洋風デザインのビルが並び、古都の面影をあえて残している。豪華絢爛な市庁舎や教会を眺めながら東へ進むと、“ジュエリー・ロウ”という一画にたどり着く。ここは宝石や高級時計類の店舗がゴタゴタ立ち並ぶ、日本人にとっては奇妙なエリアだ。歴史的には“ダイヤモンド・ディストリクト”と呼ばれる、宝石類の加工・研磨や取引を行う市場のような区画であり、このような場所はニューヨークやアントワープなどの都市にもあるそうだ。筆者が思うに、宝石・貴金属関係を扱う特殊職人が政治的支配者によって集められ、集中的に生産・取引を行っていたような地域なのであろう。店舗は古めかしくて中の様子が見えにくいものが多く、ややもすればパッチモンを売り付けられそうな雰囲気があるが、フィラデルフィアのジュエリー・ロウは米国で最も古いダイヤモンド・ディストリクトということで、格式があるそうだ。とはいえ貴金属とは縁がない30代独身日本式サラリーマンは、外から様子を見て楽しむのみだ。



②独立革命ミュージアムからイタリアンマーケットへ
独立革命ミュージアムへ立ち寄るも、読み物が多く英語話者以外にはなかなか辛い展示物ばかりでほぼほぼ素通りしてしまった。ミュージアムを南下してイタリアンマーケットへ向かう途中には、“アメリカ初の銀行跡”や“トマス・ペインのコモンセンスが印刷された印刷工場跡”などの史跡を通り過ぎ、異国の歴史の中に立っていることを思い知る。この辺りは閑静で高級な都市住宅地のようで、歩く人も品の良い犬を連れている。南下すればするほど土地のランクが下がっていくのがわかり、じきにイタリアンマーケットの入り口に着く。イタリアンマーケットは、19世紀にクエーカー教徒のウィリアム・ペンが都市計画した区域の外にイタリア移民が住み着き始めたことに由来しているそうだ。カトリックのイタリア人は区内の居住が許されなかったのだろうか。掘っ建て小屋風の低家屋が軒を連ね、歩道に張り出したオーニングテントには雑貨や食料が並び、下町の空気が漂って活気がある。しかし今はイタリア色は薄れていて、中南米臭やベトナム臭が濃い。おそらくは絶えず移民が住みつくエリアになっているのだろう。筆者はせっかくなのでキャノーリというイタリアンスイーツを食べてみたが、クリームを食べているだけで特段美味くはなかった。



イタリアン・マーケットの9番通りを歩きぬき、さらにずんずん南下していくと大通りに出る。そこで時間切れになったのでウーバーに乗って空港へ戻る。運転手はインド人だ。『フィラデルフィアはきれいな町だと思ったよ』というと、『古い町だからエリアによる違いがはっきりしてるから、きれいなとこはすごくきれい。逆もまたしかりだよ』と言っていた。最近のフィラデルフィアは、ケンジントン通りのようなスラムばかりがクローズアップされてしまうが、それはニンゲンが生活できているがゆえの暗部にすぎず、どこの都市にも少なからずあるものだと思われる。また出張がてら都市を探訪したい。フィラデルフィアへ来たならば、Prohibition Taproomというバーがおすすめです。