ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

カトー・コーナー・ファーム

2017-12-30 01:18:48 | 食材
カトー・コーナー・ファームは、コネチカット州コルチェスター市にある牧場であり、そこで加工したチーズを販売している。筆者は2017年の師走に立て続けに亡くなった人々(野村沙知代、海老一染太郎、ジェンキンスさん等)を偲びながらビールと共にバーモント州産のチーズを楽しんだが、思いのほか芳醇で濃厚なその味に感激し、コネチカット付近でも上質なチーズの販売店がないものかと調べたところ見つかったのがこのカトー・コーナー・ファームだ。30代独身日本式サラリーマンのちょい呑みに最適な肴を求めてコルチェスター市へと向かった。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①アクセス
コルチェスター市はハートフォード市から南東に10マイルほどの山あいの町で、両側に木々が生い茂る州道2号線を走れば辿りつく。お店の名前のカトー・コーナー・ファームの“カトー・コーナー”は通りの名前だ。カトー・コーナー通りは幹線道路の州道149号から逸れる小道で、いかにもトラクターなどの農業機械が走っていそうな雰囲気がある。カトー・コーナー通りを数分走ると右手にカトー・コーナー・ファームが現れる。


②外観・様子・概要
牧草を発酵させる大きなサイロや槐色の牛小屋が、イメージ通りの牧場で可愛らしい。牛小屋の手前に小さな木造の小屋があって、そこがチーズ売り場になっている。ホームページによると2017年のアメリカン・ベスト・生乳チーズに選ばれたそうで、休日にも関わらずチーズを求める白人客で賑わいを見せる。


③買い方・店員
購入方法は、好きなチーズをレジに持って行くというシステムではなく、サブ・ウェイ形式で店員と対話しながら好みのチーズの種類・重さを決定しなければならない。コミュ障30代独身日本式サラリーマンにはこれが苦痛だ。店員はチーズを少しずつカットして味見させてくれ、「これはどうだ?」「そっちはどう?」ととても親切に尋ねてくれるが、コミュニケーションが億劫で、2、3種類試食すれば、「よし、これ! これがいい!」と大していいと思っていなくても決めてしまう。また、たいていの客は連れ合いと来店し、待ち時間を楽しそうに過ごしているが、30代独身日本式サラリーマンは狭い小屋の中でどんな顔をして待っていればいいのかわからず苦痛だ。店員は二名おり、運が良ければ胸元の大きく開いたモデル風の美乳白人店員に対応してもらえるが、目のやり場に困り、自分がどんな顔をしているのかわからず苦痛だ。

④味
チーズの味は素晴らしい。小さく切ったチーズを口の中に入れると飲み込むのが勿体なく感じるほど豊かな味わいが口の中に広がり、その濃厚な風味をビールやワインで洗い流したいという気持ちとの葛藤が始まる。限界まで口中にチーズの味を保持した後に『くいっ』と酒を呑むと幸福が訪れる。その繰り返しをしているうちに酩酊する。



 年の瀬のコネチカットは極寒の銀世界で町は真っ白だ。すっかり外に出かける気が失せるのので、酒屋に直行しコネチカット州近辺で醸造されたクラフト・ビール缶を買い込み、部屋で細かく切ったチーズを肴に雪景色を眺めていたら、酔いがいつもより余計に回っております。来年がベイエリア30代独身日本式サラリーマンにとってよい年でありますよう、いつもより多めに回しております。

オールド・ウェザーズフィールド

2017-12-13 22:18:36 | 生活
オールド・ウェザーズフィールドは、コネチカット州ウェザーズフィールド市にある入植時代の面影が色濃く残った小さな観光エリアだ。当ブログでお馴染みの博物館や美術館巡りに加えて、史跡・寺院巡りもまた、無趣味な30代独身日本式サラリーマンにとっては簡単で便利な暇つぶしになる。ニンゲンは先代のニンゲンが創造したものが何故か気になり、訪れて感傷に浸ったり写真を撮ったりすることに喜びを覚える。それは墓を参る行為と同様に、自分が生まれる前のニンゲンの存在を確認することで、自己の存在を認識して安心しているのではないかと思う。歴史がないとニンゲンは不安なのだ。それはいいとして、このオールド・ウェザーズフィールドは、30代独身日本式サラリーマンがぶらりと歩いて半日過ごすには丁度良いのでここで紹介します。


この場所の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①概要
1600年前半の入植以来、大きな戦禍に巻き込まれたことがないニューイングランド地方には古い町が古いまま残っていて、欧風なレトロな雰囲気がある。特にこのオールド・ウェザーズフィールドは、 “コネチカットで最も古い町” ということらしく、歴史保全地区のようなものに指定されている。日本で言うと埼玉県の川越や岡山県の倉敷のようなものに当たるのだろう。


②通りを歩く その1
休日の朝は人通りがなく、曇り空の下で歩くこのエリアはとても静かで空恐ろしい。1700年代後半から1800年代に建てられた(と看板が付けられている)木造家屋は整備され、庭の手入れも行き届いているし、自動車も停まっていることなどから今も人が住んでいるはずなのだが、物音ひとつせず、カーテンの無い窓の中は薄暗くてよく見えない。もしも老婆などが窓からじっとこちらを見ていたりすると背筋が凍り、小便を少しちびりかねないのであまり見たくもない。そう思うと外に放たれ吠えもせずじっとこちらを見る犬や、庭木に下げられた誰も居ないブランコ、家壁にぶら下げられた人形など、全てが恐怖を感じさせる方向に働いて、景観を楽しむはずのエリアにも関わらず思わず足早になる。


③通りを歩く その2
レンガ作りの立派な教会はもともと1600年代に建てられたもので、なかなか立派な建物で一見の価値がある。また、教会裏には墓地があり、入植時代の朽ち果てた墓を見ながら歩くことができる。ただ、曇り空の朝の墓地にはどこか寂しい雰囲気が漂い、もしもじっと佇む老婆などを見かけたりしたら背筋が凍り、小便をちびりかねないので自然と足早になる。

④通りを歩く その3
朝の10時頃になると通りのアンティークショップやカントリーストアなどが開店しはじめ、筆者と同様に史跡を巡る目的で歩いている人も現れるので安心する。ニンゲンは独りでは不安なのだ。筆者はカントリーストアで、バーモント州産のチーズを購入し帰宅した。


 オープンカフェやバーなども所々にあるので、晴れた日の午後などはきっと人々が集まる明るい雰囲気の通りになるのだろう。だが30代独身日本式サラリーマンは、人々が集まる明るい雰囲気の通りなどに出向いたところで明るくなれる訳ではないので、是非とも曇り空の朝に出掛け、日本の村落で感じる恐怖とは少し違った西洋風の恐怖(ホラー)を感じながら町を歩いてみるのもいいだろう。年の瀬に入り、野村沙知代や海老一兄弟(弟)、そしてジェンキンスさんが亡くなり、何だか一つの時代が終わったような心持ちになりながらバーモント州産チーズを食べた。

ニューイングランド・サイダー・カンパニー

2017-12-09 05:03:11 | 生活
 ニューイングランド・サイダー・カンパニーは、コネチカット州ワリンフォード市にある、アップルサイダーの製造所かつバーである。ニューイングランド地方はリンゴの産地でもあり、グラストンベリー市などでは収穫期には“りんご祭り”なども開催されるそうだ。そういえばドライブ中の車窓から見える木々の様子や空気はどことなく青森県でレンタカーを走らせていたときに感じた雰囲気に似ている。そしてそのリンゴを使ったジュースのことをアップルサイダーと呼び、それがこの地方の名物になっているとのことだ。炭酸は入っていない。ベイエリア30代独身日本式サラリーマンはリンゴ・ジュースなどの甘味に興味はないのだが、このニューイングランド・サイダー・カンパニーではリンゴ・ジュースと様々なお酒をブレンドしたものを製造しており、かつ独身日本式サラリーマンが暇を持て余す週末にも開いているということであった。 “ほう。そういうことであるならば” と筆者は腰を上げた。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたたい。


①アクセス・外観
ワリンフォード市はコネチカット州の州都であるハートフォード市と、多彩な出身者で知られるイエール大学があるニューヘイブン市のちょうど中間にあり、小さなダウンタウンにはワイナリーや上品なバーが並んでいて、なかなか裕福そうな雰囲気がある。であるがニューイングランド・サイダー・カンパニーはダウンタウンからは北西方向に少し外れた町工場や倉庫のような建物が雑多に並んだエリアにあり、あまり目立たないので通り過ぎそうになってしまう。隣接した駐車場で車から降りると、すぐにフルーティーなリンゴの香りと醸造酒の匂いがしてくる。



②中の様子
扉を開けると木目調のバーカウンターがあり、中に同年代風の女性がいる。その女性店員に“ここは初めてか”と尋ねられるので、“はい。はじめてなのです”と答えると、早口でシステムを説明され、紙のメニューが手渡される。ここでは5種類のアルコール入りアップル・サイダーが製造されており、その5種全てを少しずつ飲むのが12ドル、4種を選ぶのが10ドルとなっている。メニューを見てもどれがどれか判らない30代独身日本式サラリーマンは、5つから1つを外す理由はないので、5種目に挑戦しよう。個別に13~64オンス(350㎜ℓ~1200㎜ℓほど) を注文することもできるようだが、筆者の来店中にそれを注文する人は見なかった。


③中の様子その2と酒の説明
ニューイングランド・サイダー・カンパニーのサイダー全5種盛りは、それぞれガラスの1オンスカップに入れられ、1から5の番号付きの5つのくぼみが施された細長い木板に載せられて渡される。各々の色合いや濁度が異なる様はまるで検尿検査のサンプルのようで面白い。先に手渡された紙のメニューに1番から5番までのサイダーの成分・製造方法など表示されているので、「どれどれ、ふむふむ」と詳細を愉しみながら飲むことができる。バーコーナーは店員との距離が近くてやや居づらいが、奥の工場の一角にもテーブルコーナーがあり、そこでは工場の設備や樽を眺めながら急かされることなくゆっくりと飲酒を楽しめる。肝心の味は、どれもやはり“アルコールの入ったリンゴジュース”に過ぎず、『病みつきになるほどの旨さ』を感じることはできなかったが、芳醇なリンゴの甘味とほどよいアルコールの香りが爽やかで、チーズなどと楽しむ人は多いかもしれない。


 
 奥のテーブルコーナーにはジェンガやボードゲームなどのおもちゃが置かれており、アップルサイダーでほろ酔いながら友人や恋人などと楽しめるようになっているが、30代独身日本式サラリーマンが独りで遊ぶような玩具はトランプカードしかない。リアルフリーセルでもしながら、30代独身米国式トップシンガーのブリトニースピアーズさんのように、36歳の誕生日を13歳年下のラブラブな恋人とお祝いができる日の来否を占ってみてはどうでしょうか。

鱈ちり

2017-12-06 02:47:30 | 食材
 鱈ちりは、鱈を入れた鍋料理だ。コネチカット州の気温はみるみるうちに下がり、早朝には車の窓に氷が張り付き、いつ何時積雪があってもおかしくない状況にある。スーパーマーケットの店頭には薪木や手袋・ニット帽、そして雪かき道具などの冬に備える商品が並んでいる。厚手の防寒着を着て町を歩く人や犬も増えてきた。つまり鍋の季節だ。前回の石狩鍋に続いて、冬の味覚鱈ちりがコネチカットで比較的簡単に楽しめることが判明したのでここで紹介し、30代独身日本式サラリーマンの長い冬にささやかな温もりを与えようという企画だ。


この鍋の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①鱈の購入
鱈はフィッシュ&チップスに用いられる白身魚であり、コネチカットでは“COD”という名で普通に売られている。しかし残念なことに骨も皮もはぎ取られた無様な切り身でしか売られておらず、アラや内臓などを入手するのは店との交渉が必要なようだ。筆者はあわよくば白子などの入手を目論み、店内で魚をさばいていると思しきWhole Foods Marketに赴き、頭部や臓物の有無を店員に尋ねるも、白人店員の面倒くさそうな対応にすぐに心が折れて切り身のみを購入したのであった。お値段11ドル/パウンド。100グラム当たり約2.4ドルであり、そこそこの値段だ。



②鱈ちりの調理
鱈以外の具材に関しては、それぞれ好みのものを購入されたい。ア・ドン超級市場へ行けば大抵のものは手に入る。悠久の中国民謡を聴きながら、筆者は春菊、豆腐、糸こんにゃく、ネギ、そして鶏肉団子マッシュルーム入りを仕入れる。買ってきた材料を全てを鍋に入れて加熱すればぐつぐつと煮立つので、それで出来上がりだ。昆布だしを加えてもよい。



③鱈ちりを食べる
骨や皮で繋がっていないフィレなので、どうしても鍋の中で崩れてしまうのが残念ではあるが、日本で売られている鱈よりも心なしか味と香りが濃厚でなかなかに良い。どうも日本で水揚げされている鱈がマダラであるのに対して、こちらのものはダイセイヨウダラと呼ぶものらしく、品種が異なるらしい。窓の外の薄ら寒い景色を見ながら、春菊や肉団子からも味が染み出ただし汁と燗(チン)した日本酒で体はポカポカに温まるのがなかなかに幸福で、師走の空気を感じることができる。


 タイセイヨウダラは、1970年代の乱獲により水揚量が激減しており、タラを巡ってイギリスとアイスランドは三度の戦争(第一次~第三次タラ戦争)まで起こしているとのことだ。筆者がタイセイヨウダラの旨さを発見し、当ブログに取り上げたことで、またしてもタイセイヨウダラの捕食者の個体数が増加することになると思うと少しばかり心が傷み、俄然毎日捨てられているであろうアラや白子に目が向かう。「一生懸命生きているお魚達のパワーを頂くからには、食べ残さず骨まで美味しく頂く事が一番の供養」という宮澤 正之さんの精神に強く共感する筆者は、暇つぶしを兼ねて週末に鱈のアラ探しを行う決意を固めつつ、雑炊を啜った。