ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

アンデス・カフェのサルサ・ナイト

2017-02-27 22:20:18 | 食事
 アンデス・カフェは、ご存知サンマテオ市の25番通り界隈にあるペルー料理屋だ。数ある25番通りのグルメスポットの中で、当ブログが最初に紹介したお店であり、今の25番通りフィーバーの火付け役ともいえる。日本式独身サラリーマン諸氏も、既に絶品ペルーグルメをペルーワインやペルービールと一緒に楽しんでくれていることだろうが、今回はこのアンデス・カフェで密かに開催されているサルサ・ナイトを紹介する企画だ。記念すべき100回目の記事ということもあり、筆者の文体からは並々ならない緊張感がにじみ出ている。


このナイトの特長は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。



①ペルーの音楽
我々が真っ先に思いつくペルー音楽といえば、アンデスの山岳民族衣装を纏った男たちがしばしばJRの駅前で演奏している『コンドルは飛んでいく』のようなものを想像するが、アンデス・カフェではそれを聴くことは少ない。彼らはサルサが大好きだ。サルサ音楽については、日本式独身サラリーマン諸氏は既に当ブログの影響で自分なりの“サルサ・レジェンズ”を愉しんでいるはずであるから、説明は省く。


②サルサ・ナイト
サルサ・ナイトのスケジュールはお店のフェイスブックや、店に貼られたポスターから情報を入手する。たいていは金曜や土曜に予定され、夜22時頃から深夜1時頃まで続く。お店の半分のテーブルが撤去されてステージとなり、打楽器とギターとボーカルのトリオ・サルサバンドの生演奏が行われる。そして残った半分のテーブル席とバンドとの間のスペースがダンスを楽しむゾーンになる。料金は5ドルと格安だ。



③入場
以前の記事では、裏手の寂れた駐車場の勝手口から入ることを薦めていたが、このサルサ・ナイトの日に限っては堂々と表から入るほうがいい。というのも裏から入るとバンドのステージ側から入るかたちになり、観客たちの注目を集め、あたかもゲスト出演を果たしたような恰好になってしまうからだ。表のドアを開ける前にこっそりと窓から中の様子を窺い、一人で腰掛けられる2人掛けテーブルの空席の有無を確認する。4人掛けしか空いていない場合は、それを一人で占領するには気後れするので出直そう。そしてついにドアを開けると、店員が申し訳なさそうに「一人か?今日はサルサナイトだが、いいのか?」と尋ねてくるので「いいのです」と答える。ここまでできればもうアンデスの山は越えたようなものだ。


④鑑賞・参加
22時を過ぎてから始まるが、食事は普通に注文できるので、諸氏の好みのメニューと赤ワインを頼むといい。 最近の筆者は米が入った緑色のスープにはまっているので、これもお勧めだ。後は酔いに任せて体を揺らしていると、陽気なペルー人たちが「何を座り込んでいるんだ?踊りに来たんだろう?」と煽ってくるので、ダンススペースへ行き、ペルー人たちに不快な思いをさせない程度の情熱で体をくねくねさせるといい。バンドマンたちの演奏技術の良し悪しは不明だが、とにかくペルー人たちは楽しそうだ。あっという間に時計の針は0時を回る。



 最低限の腕前さえあれば、ギターと打楽器と歌声だけでこれだけ皆で楽しく盛り上がれる。むしろこの決して特別でない“地域の盆踊り的な雰囲気”が、対価を期待せず、余計なことを考えず楽しめるのかも知れない。『あれだけ金を払ったのに、ジミーペイジは出てきただけで演奏しない』なんておそれもない。そして以前の気まずい出来事以来、何となく距離感があった弟の店員ともサルサのお陰ですっかり打ち解けて、今ではただの客と店員の関係にまで修復した。踊り疲れた帰り道、心は無意味に晴れやかで、まるで百回目の記念ブログを書いたような気分であった。

ヒラー航空博物館

2017-02-23 22:10:43 | 生活
 ヒラー航空博物館は、サンカルロス市にある博物館だ。2000年代に入り大量の情報を簡単にやりとりできるようになり、“ヒトはどこにいても仕事ができるようになる”と言われていたが、やはりヒトは図書館に行かないと勉強ができないように、相応しいステージに立たないと相応しい役割を演じることは難しいようで、情報通信の発達と共にヒトを運ぶ手段としての航空システムの利用はむしろ増加しているようにも思える。我々のような独身日本式駐在員が未だに存在しているのもそれが大きな理由であろう。このヒラー航空博物館は、情報通信技術と同じくらいに世界を変えた航空技術と、“空を自由に飛びたいな、翼をください”という夢を叶えようとした人々の展示物を見られる施設であり、我ら日本式独身サラリーマンにとっては暇つぶしに相応しいステージだ。


この施設の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①アクセス・概要
この博物館は、ヘリコプターの製造メーカーであるヒラークラフト株式会社の私設博物館である。創業者であるスタンリー・ヒラーは若干15歳で世界初の実用ヘリコプターを開発したとされている天才だ。彼の偉大な功績と、全人類の航空飛行に対するイノベーティブな心を讃えるために設立されたそうだ。サンカルロス空港に隣接されている。このサンカルロス空港は、非常時にサンフランシスコ国際空港等の主要空港の代替、及びプライベートセスナーの離着陸に使用されているようだ。


②屋内展示
大人の入場料は16ドルと高額だ。小児を連れた家族連れで賑わいを見せている中で、受付の女性に『大人ひとり』と伝えるのがこの施設で一番勇気が要る瞬間だ。展示もなかなかどうして面白く、童心に帰れる。鳥人間たちが琵琶湖で飛行したようなマシンから、初期のレトロなヘリ、そして最新式ヘリまでの変遷を実物大の模型で見ることができる。それぞれのマシンの操縦席には“オー!マイキー”を思い出させる欧米風マネキンが比較的無気力な表情で乗り込んでおり、興味深い。その他軍用機やホバリング機の展示も充実しており、航空マニアや軍事マニアでなくてもそこそこわくわくできる。あとは航空機操縦体感ゲームや、ドローンラジコン遊びコーナー等の体験コーナーがあるが、総じて小児に占領されている。広い施設内には昔のジャンボ機のシートがところどころに配備されており、そこで疲れた足腰を休めることができる。


③屋外展示
屋外展示場は、サンカルロス空港の広い滑走路を眺められる広いエリアに、セスナー2機と、レトロなジャンボ機の前半分がポツンと置かれているだけだ。何かイベントがあった際の会場になるようだ。レトロなジャンボ機は機内へ入ることができ、小さならせん階段を上るとコックピットがある。



 世界には2種類の男が存在する。“コックピットに入ったことがある男”と、“そうでない男”だ。筆者は前者の男になるべく、高鳴る興奮を周りに悟られぬよう平然を装って、小児達が並んだ行列の最後尾についた。このときコックピットからわずか2m。しかし後から来る別の小児たちにどんどん抜かされてしまう。小児の親御さんは筆者を“コックピットの中にいる子供を待っている父親”と勘違いしているようで、無礼な悪童たちが筆者を抜かす行為を咎める様子もない。まさか40近い男が“おい、俺が先だぞ”と小児を叱り飛ばすこともできず、泣く泣くコックピット入りを断念したのであった。 果たして世界には“コックピットに入ったことがある男”と“コックピットに入りかけた男”と“そのどちらでもない男”の3種類の男がが存在することとなった。

デヤング美術館

2017-02-21 23:29:36 | 生活
 デヤング美術館はサンフランスシスコ市のゴールデン・ゲートパーク内にある美術館だ。非常に高名な美術館であり、ここで紹介するには少々不適切かも知れないが、毎週末の暇つぶし探しに忙しい日本式独身サラリーマン諸氏がもしもまだ訪れていないようであるなら、貴重な施設である。諸氏もよくご存じのように美術館には企画展と常設展があり、我々が足を運ぶ理由は主に企画展になる。常設展は何故か“いつもある”という理由でそこまで人々を魅了せず、ともすれば“いつまでも見られない”状態にある。しかし、この美術館は他の高名な美術館と同様、常設が充実しているし、我々日本式独身サラリーマン自体がこのベイ・エリアでは常設ではないことを鑑みても、明日にでも訪れて疲れるほど暇を潰すべきであろう。



この美術館の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①建築
この美術館は建物のデザインでも有名な施設で、多くの人がポーズを決めて写真を撮る。建築意匠系の世界にいる日本人のブログにもしばしば取り上げられているので、彼らの解説を読み、どこが美しいのか、どこが洗練されているのかを予め勉強してから行くと、その美しさや洗練具合を感じることができるだろう。


②カフェ
この美術館の1階にはカフェが常設されている。広々としたホールから屋外の庭園に設置されたモダン・アートを眺めつつ、コーヒーやサンドウィッチを食べることができる。天井からは複雑なかたちの立体で構成された照明が多数ぶら下がり、アートな空間を満喫できる。実はビールやワインも飲めるので常設展へ入る前に一杯ふっかけるのも粋だ。


③常設展の魅力その1
何といってもまずはアラスカ先住民族の美術コーナーだ。30代日本式独身サラリーマンにとっては、その呼称をめぐって「エスキモーはダメ、イヌイット」、「やっぱりどっちでもいい」などと、一体誰がその良し悪しを決めているのか不明な議論があった人々としてお馴染みであろう。彼らの歴史的美術作品が展示されており、その吉田戦車先生の作品のような、最近のゆるキャラのような不思議な魅力の彫刻は心が和む。


④常設展の魅力その2
なぜかパプアニューギニアの民俗美術品が大量に展示されている。これも面白い。


⑤その他アメリカ美術
良くも悪くも歴史の短いアメリカの絵画や古家具や彫刻がたくさんある。


 ウィキペディアで調べると、筆者が見たもの以外にもいろいろと常設されているそうだ。何せ大きく、迷路のようになっていて、どこを回ったのか判らなくなるほどの常設コーナーだから、いくつか重要な作品を見逃してしまったようだ。すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり。でもまぁ常設なのだから、“いつもある”はずなので、またいつか行けばいい。

サバンナ・ジャズ・バー

2017-02-20 10:13:00 | 生活
 サバンナ・ジャズ・バーは、サンカルロス市のジャズ・バーだ。忘れてしまいたいことや、どうしようもない悲しさに、包まれたときに、30代日本式独身サラリーマンは、酒をあおるわけであるが、酒場ではもっぱらスマートフォンを見ながらニヤニヤしているだけであるため、その見てくれは決してよくない。店員は愛想よく振る舞ってはくれるものの、本当は、“何この人。。。少し気持ちが悪い”と思っているかもしれない。だが、ジャズ・バーなどの鑑賞型酒場ならば安心だ。ジャズが好きだからバーへ通っているのであって、することのない、生きる意味を見失いがちだからバーへ行っているのではないというふりができるからだ。そして実際に、ジャズの故郷であるこの米国で聴くジャズは楽しい。


このお店の特長は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。


①立地・アクセス
サンカルロス市のメインストリートはであるローレル通りには、様々な飲食店が立ち並び、特に休日は賑やかだ。サバンナ・ジャズ・バーはその賑やかな界隈から少し南側に離れたところにある。夜に訪れると、裏通りにひっそりと佇むバーのような少し入りにくい感じを受けるが、そこは勇気をもって入る。



②内装・システム
扉を開けるとそこはいたって普通のスポーツバーの様相だ。カウンターを挟んだホール側には高いテーブルが並んでおり、テレビからはスポーツの映像が流れる。店員が、“今日はジャズを聴くのか”と尋ねてくるので、“そうだ”と答えると5~10ドル程度の料金を支払い、奥の小さなホールへ案内される。ホールに入る前につまみと酒を注文しておくと楽だ。ステージに対して観客テーブルは3列ほどの小さなホールで、至近距離でジャズライブを楽しむことができる。壁にはびっしりとサッチモやソニーロリンズらジャズの巨匠のレコードジャケットや写真が飾られており、雰囲気がある。演奏中の出入りは自由だし、演奏の合間に店員が御用を伺いにくるので、そのときに2杯目以降の酒を注文できる。


③雰囲気
毎日変わる演奏者たちはとても自由な感じで笑顔で楽しく演奏してくれ、ジャズ本来の楽しさを教えてくれるような気がする。客席テーブルが満席になることはほとんどなく、ゆったりとできるし、何より初めて入ったのにまるで馴染みの店に久々にやってきたような感覚でいられるほど、肩ひじ張らずに済むお店だ。観客も踊り出したり、演奏途中に堂々と横切って小用に出て行ったりと自由だ。演奏レベルは演奏者によって差があるが、安い鑑賞料金に対して費用対効果は高い。出ていくときに心づもりをバケツに入れてあげたいと思えるレベルにはある。


 アメリカニューオリンズで生まれたジャズという音楽ジャンルは瞬く間に世界へ広がり、タモリやこぶ平(現:正蔵)の人生などにも大きな影響を与えた。ここはニューオリンズではないけれど、我々にはその区別はつかないので問題ない。本場のジャズホールでジャズを聴いたつもりになるには十分な施設で、料金もリーズナブルだから暇つぶしにはもってこいだ。一度きりの人生だ。一度くらい

“○○君、最近はどうしているの?”

“いやぁ、最近はもっぱらジャズ・バーですよ”

などと言ってみても罰は当たらないはずだ。

アラジン・グルメ

2017-02-19 21:58:38 | 生活
 アラジン・グルメは、サンマテオ市にある中東系の人々を対象にしたスーパーマーケットだ。アラビアン・ナイト物語の主人公の名を使った店名からも、このスーパーがペルシア系であることが見て取れるだろう。カリフォルニアの大きなサラダボウルの中でもペルシア系の人々はやはり少数だが、ペルシャ料理や中東料理と銘打ったレストランは非常に人気があり、ファストフード系からスローフード系、さらには高級レストラン系まで沢山のお店がある。聴くところによると親日国家トルコはムスリム系国家にも関わらず飲酒を嗜む文化が発達しているようであるから、このアラジン・グルメにも我ら日本式独身サラリーマンが千夜一夜を楽しむための美味いつまみが隠されているに違いない。今回はそれを見つけにいく企画だ。


このスーパーマーケットの特長は以下の通りだ。参考にしてもらいたい。


①立地・アクセス等
アラジン・グルメはヒルズデイル通りにある。101号の東側入り口より少し手前に数件の小さな店舗が並んでいる場所があり、その東端のお店だ。黒いオーニングテントに白抜きでアラジン・グルメと書かれている店の前には、野菜や果物が山積みにされているのが見える。通りの路上駐車スペースに車を停めるが、駐車台数が限られているので満車の場合もある。そういった場合には奥のBEVMOがあるところまで行くか、少し待つ必要がある。アラジン・グルメ店内へ通じる小さな扉は大きく開いており、「ひらけゴマ」と唱える必要はない。


②中の様子
野菜や肉類の生鮮食品や、中東系の調味料やコーヒー・お茶類、乳製品などが所せましと並べられている。惣菜コーナーもあり、見たことのない食べ物が多い。レジにはヒジャブを着用した若婦人が、やや面倒そうな様子で働いている。精肉コーナーではハラールの肉を提供しているようで、鶏肉やラム肉が中心だ。酒類の販売は見られない。基本的には我々の未知なる商品のオン・パレードであるから、なかなか手が出にくいが、筆者は諸氏らのためにいくつかの商品を試してきたので、そのうちのお勧めできるものを紹介していこう。(正直、いつものように強くお勧めできるものは少ない。それだけイスラーム中東文化圏と我々の文化には差異があるということなのだと思う)


③おすすめ商品その1 ラム肉
羊肉文化の中東らしく、量も部位の種類も充実している。自宅で赤ワインと一緒にラムステーキやジンギスカン料理を楽しむことができる。独特な獣臭は“肉を食べている”ことを他の肉に比べて実感でき、日本式独身サラリーマンが必要とする明日への活力を得られる。


④おすすめ商品その2 チーズ
奥の棚にはアラビア文字が書かれた様々な種類のチーズが売られている。これらの中にはビールやワインと一緒に食べると嬉しい、ちょうどいい塩加減の歯ざわりのいいものがある。これもまた羊の乳から作られたチーズもあり、独特な風味を楽しめるだろうが、筆者はまだ試していない。


⑤おすすめ商品その3 ピタ
アラブ人の主食ともいえるピタの種類も豊富だ。少しレンジで温めて、何もつけずに味わう。ほんのりとした塩気が絶妙で、ビールを飲みたくなる。当然バターを付けても美味しい。



⑥おすすめ商品その4 ドルマ
ドルマとは米とトマトなどをブドウの葉で包んだもので、見た目は奈良県名物柿の葉寿司のようだが、味は滋賀県名物ふな寿司に近い。酸味の強いくずれた米に、ぶどうの葉の香りがぷーんとする。青森の田酒や山形の十四代などの高級日本酒と一緒にちびちびいくのがいいだろうか。



 他にもいろいろな食材や惣菜があるので、試してみて欲しい。異国に日本食レストランがあったりすると、たとえそれがまるで似非でも何故か嬉しいものだし、そんな似非でも異国の人が喜んで食べているのを見ると、強い愛国心などなくっても嬉しいものだ。『だから、こちら側もいろんなものを食べてみて相手を嬉しがらせたい、それがお互いの良心の連鎖を呼び、“争いのない世界”へと繋がっていく』という思いは完全なる幻想であることは、キムチやプルコギ大好きな我々と、寿司やてんぷらが大好きな隣人を見ればすぐに理解できる。筆者はただ旨いつまみを探して、暇を潰しているだけだ。