ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

Hマートで買えるヒラメのアラ

2024-05-28 11:38:29 | 生活

Hマートで買えるヒラメのアラとは、韓国系スーパーのHマートで買えるヒラメのアラのことである。Hマートはベイエリアにはいくつもあるが、筆者がここでいうのはデイリーシティにあるHマートのことだ。このHマートは、大きなアパートメントの1階に入っていて、前面の狭い駐車場はいつも混雑しているため、アパートの住民はいい気はしていないように思われる。仕事帰りにこのHマートに立ち寄るためには280号線に乗らねばならない。そうするとさっきまで晴れ渡っていた空がすぐに曇る。太平洋側から吹き続ける風で持ち上がった空気が急激に冷やされ、このランプ橋付近から雲になるのだ。なのでこの辺りは五月中旬でもひどく寒い。そういった理由からあまり足が向かないスーパーではあるが、最近のフィリピン・フィリピンした生活にも少し飽きてきたのである。

 

 

このヒラメのアラの詳細は以下のとおりだ。参照にしてもらいたい。

 

①Hマートの鮮魚コーナーで、ヒラメのアラを見つける

Hマートの鮮魚コーナーは刺身コーナーがあったり、生け簀にけっこうな魚たちがいたり、冷凍モノも充実しているし、なかなか楽しい。練り物や貝類にも種類がある。とはいえ立ち寄るのがたいてい仕事帰りなので、目新しいものを探す余力がない。だが刺身類が並ぶ扉付き冷蔵庫の手前の島式冷蔵コーナーの一番下に、パックされたアラがずらりと並んでいるのを見つけた。「アラ!」と筆者の心は少しときめく。並んでいるのはヒラメが主だ(よく探すとロックフィッシュなどもたまにある)。それは頭やタマゴなども入っていてパックはパンパンでずっしりと重い。でもパウンド2.9ドルなので安いのだ。“しめしめ”と筆者は購入に踏み切った。

 

 

 

②韓国とヒラメ

韓国系のスーパーではヒラメを多くみるように思う(以前サンノゼ市のハンコックスーパーで、生け簀のヒラメを中米系店員に活造りにしてもらい、豪遊した話を記憶されている諸氏もいるかも知れない)。どうやら韓国人はヒラメが好きなようだ。調べてみると韓国のヒラメ養殖産業は1990年後半から急激に増加し、現在は年間数万トンレベルの収穫量があるようだ。さらに少し昔の日本のニュースには“韓国の養殖ヒラメのクドア寄生虫食中毒”が問題になっておるとの記事があったので、日本にも多くが輸入されているようだ。さらに調べると、ヒラメは韓国の刺身“フェ”の定番ネタで、その余ったアラで“メウンタン”という鍋料理を作るのだそうだ。

 

 

 

③ヒラメのアラ鍋

煮魚のするのもよいが、やはり鍋にしてみたい。出汁の楽しみを味わえるし、鍋は豪華でいい。ただしメウンタンのようにチゲは入れたりせず、シンプルに水炊きだ。パンパンに張ったラップを乱暴にむしり取り、中のムチムチの肉塊を摘まみだす。それは頭、アバラ、背、尾、タマゴ、ヒレ付近とに分割されている。特に背や頭には可食部が多いようで期待が持てる。しかしヒラメは凶暴な肉食魚のようで鋭い歯が恐ろしい。これを土鍋で、野菜と豆腐と一緒にグツグツすれば、脂が乗ったアラから立派な出汁が出てきて豊かな香りのスープができる。味も最高だ。クリーミーで濃厚な白身の頭部や肉厚な背、ヒレやアバラは脂分が強く、ポン酢に浸けてしゃぶると幸福に包まれる。

 

 

 

 

このHマートは、買い物を終えて下宿に戻る道のりがとても気持ちがいいのが魅力である。筆者の下宿のサウス・サンフランシスコ市は、デイリーシティのHマートからは南方向なのだが、ナビは280号北向きルートを指示する。それは280号北向きがすぐに101号南行と接続するためだ。280号が丘陵地帯を下るとき、霧がかった半島西側エリアから脱出して天気が変わり、陽の光を感じる。そこから始まるランプ橋はまるで空に飛び立つかのようにいったん標高を上げていく。そして弧を描きながら低層住宅がびっしりと立ち並ぶ丘の麓や、青いサンフランシスコ湾を綺麗に見下ろす。この爽快感は日本の道路では味わえない(と思いたい)。筆者の心は自然にポジティブになり、音楽が流れだすのだ。そして週末を迎える。だが筆者がこんなにポジティブになっていることを、世界に知る人はいない。


能量99 棒

2024-05-16 13:19:35 | 食材

能量99 とは、台湾製のスナック菓子である。古来の仏教では、僧侶は裁縫・農耕・建築などの衣食住に関わる能動的行為の一切を禁じられ、全てのものはヒトから恵んでもらわなくてはならなかったそうだ。ヒトから恵んでもらえるもの、つまりヒトが“不要だと思うもの”で生活していくことにより、欲と争いに塗れる外界と距離を置き、自身を律していくという崇高な考えに基づく。しかしやがてヒトの良いヒトたちが、“自分の要らないもの”ではなく“お坊さんが欲しいもの”を恵むようになってしまい、世の中は生臭坊主が溢れかえる状態になってしまった。そして現代版初期仏教僧と呼んでもよいホームレスや引きこもりニートが蔑まされるといった、あべこべな状態にある。世直しが求められる。今回は能量99の紹介である。

 

この棒の特長は以下のとおりである。参考にしてほしい。

 

 

①能量99 の見た目

いつものようにアジアスーパーのお菓子コーナーで、ランチ用のスナック菓子を物色していると、袋麺の5食入りプラスチックパックをやや小さくした直方体の袋が並んでいるのが発見できる。その袋の正面にはデカデカと、“能量99 ”と書いてある。様々な豆や穀物の写真がラベルの背景になっていて、ヘルシー志向の商品であることが見て取れる。やおら手に取り、袋の上部の透明の部分から袋の中を覗きみればかすがなる、そこには“やおきんのうまい棒”より二まわり小さい棒状の袋が、縦に並んでぎっしりと詰まっているのが見える。このように小分けにされた商品はランチ用としてはありがたい。筆者は購入に踏み切った。ちなみにチョコ味、カボチャ味、たまご味、やむ芋味の4種類がある。

 

 

 

②能量99

この能量99 、内容成分を見てみると、何と12種類もの穀物豆類が入っている(玄米、蓮の種、大麦、ソバ、オートミール(燕麦)、エンドウ、小豆、緑豆、インゲン豆、黒大豆、黒もち米、そしてコーン)。あながちラベルの写真は誇大広告ではないようだ。因みに筆者はオートミールがエンバクという穀物の名前であることをこの時に知った。この能量99 棒の製造元は北田食品という、1988年設立の台湾桃園市に本社を置く企業である。鏡餅のような形状のロゴからは、日系由来の会社ではないかと予想されたが、そのような情報は見つからなかった(日本にもかつて兵庫県加古川市に同名の会社があったようだが、今はないようだ)。

 

 

 

③能量99棒を取り出す

小分けにされた棒状の袋にも穀物豆類の写真が載せられているが、この小袋の方は“棒”の文字が他の文字と同サイズである。この包装は余白が少なく、縦方向にしか切れないため、斜めに少しだけ切り、角に作った穴を指で広げて能量99棒を剥きだしにしなくてはならない。包皮を指で剥いてやっとこさ顔を出した小ぶりの能量99棒の先っぽは、優しい麦色をしている。

 

 

 

④能量99棒を食べる

外側のスナックは、軽さと存在感が共に感じられて食感がよい。12種の豆雑穀がバランスよく交じり合っているからか、味には主張が全くなく、素朴そのものだ。その分、中央部分のチョコの味(筆者はチョコ味が好き)のうま味が引き立ち、小分けの袋が不要なほどにムシャムシャと食べてしまい、みるみるうちにデスクの上に小袋のゴミ山ができ、女子社員から奇異な目線を向けられることだろう。

 

 

 

商品名にある“99”は、商品と直接関係のある数字ではなさそうだ。しかし九十九という数字は日本でも“ツクモ”という特別な読み方をする数であるし、九十九里浜などといった地名にも用いられる。“数えきれない”“永遠”を思わせるとともに、“百からたった1だけ足りない”という儚さも兼ねた深みのある数字に思われる。そういえば似非30代独身日本式サラリーマンが幼少の頃には1999年には地球が滅びるといった予言が面白おかしく語られていた。2024年の五月には世界では太陽の爆発(核運動?)が活発化したため日本でオーロラを見ることができたらしく、それがまたもやいろいろな不安を呼んでいるようだが、ノストラダムスさんの予言からはもう25年も余計に生き延びているのだから、我らはそろそろ心静かに最後を迎えようではないか、どうせ一人だし。

 


スイカの種

2024-05-05 02:18:40 | 食材
スイカの種とは、スイカの種子のことである。米国で車を運転していると、窓から顔を出し、風を受けて気持ち良さそうな表情した飼い犬たちをよく見る。彼らはニンゲンが編み出したこのマシンに対して何の知識もないはずなのに、恐ろしい(はず)の速度で走る箱の中に居ても、何の恐怖も疑問も持っていないようなので、こちらとしては不思議な気分になる。だが自身を振り返って考えれば、実は我々もクルマのことで知っていることは多くない。にも関わらず疑問も恐怖も持たずにいる点では、飼い犬たちと差はないように思う。生き物の『事象を受け入れる能力』は極めて高いのかも知れない。仮にネアンデルタール人さんが間違って現在にタイムスリップしてきても、すぐにスマホでラインを始め、アダルト動画を見るのだろう。今回は食べるスイカの種を紹介しよう。


この種の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①スイカの種と日本
スイカの種は、日本有史以来忌み嫌われる存在のように思われる。その黒ゴキブリの子供のような見た目のせいか、『食べると食あたりを起こす、盲腸になる』などと言われており、幼児の頃に母や祖母などから“飲み込まないように”と注意された記憶がある人も多いに違いない。また、客先でスイカを出された時の種の処理の礼儀作法は、日本社会で未だに確立されておらず、人々を戸惑わせる原因となっている。そのためついには“種なしスイカ”なるものが開発され、主流となっている状況にある。かつて昭和後期生まれの少年にトラウマを与えた “加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ” の“スイカマン”のコントにも、スイカの種に対する潜在的な忌避感が根底にあるように思われる。


②食べるスイカの種
以前もどこかの回で紹介したが、北米のアジア系スーパーでは日本人には馴染みのない豆や種が売られていて面白い。とはいえ①で挙げたような背景があるため、筆者はアジア系スーパーの食料品コーナー(園芸コーナーではない)でスイカの種の袋詰めを見つけても、積極的な購買意欲を持てずにいた。しかしフィリピン系のパシフィックで売られている商品は、ラベルのデザインがトロピカルでポップなので挑戦することにしたのだ。それはルシア社の商品で、黄色いラベルには手書き風のスイカのスケッチがある。ちゃんと黒い粒々も丁寧に描かれていていて具合がいい。



③ルシア社のスイカの種
このルシア社のスイカの種は、見た目が日本のものとは異なる。黒みが少なく、チャバネゴキブリほどの大きさがあって、スイカというよりは大き目の向日葵の種に近い風貌をしている。だが、ラベルには確かにWATERMELON SEEDSと書かれているし、絵もスイカなので、スイカのはずだ。内容物はスイカの種と塩のみなので余計な香りや味付けの無いシンプルな商品と言える。


④ルシア社のスイカの種
これが食べて楽しい商品だったので、一人長屋でデストラーデ選手ばりのガッツポーズを決めてしまった。それと同時に長くの間、些細な偏見から購入を避けていた自身への反省もあった。食べ方にコツがある。このスイカの種は、皮は食べずに中の胚の部分だけを食べるのだ。まず歯で種の先の方のみを割って、そのあと今度は残った殻を縦方向に歯を立てれば、パリリと割れて中からナッツ色の薄い胚の部分が顔を出す。うまくいけば、スマートフォンのシムカードを取り出すように、殻から胚の部分を綺麗にスルリと指で摘まみだせる。これが気持ち良い。うまくいかないことも多く、それがまた楽しい。味はナッツの風味に、ほのかに僅かに甘酸っぱい匂いがあって、嬉しい。チビチビ飲む酒のつまみとしてなかなか上等である。



“仮にネアンデルタール人さんが間違って現在にタイムスリップしてきても、すぐにスマホでラインを始め、アダルト動画を見るのだろう”と書いたが、それは間違っているかも知れない。彼らが滅んだのは『事象を受け入れる能力』が足りなかったからかも知れないからだ。車を恐れる生物、火を恐れる生物、体制に疑問・不満を持つ生物は淘汰され、考えず、疑問も持たず、エライ人が発明したもをすぐに受け入れ、体制に従うことができる体質の生物(飼い犬)が、生き残ったのかも知れない。選挙に行かずに、構造のわかっていない機械やシステムにただ身を委ねる特殊能力を持つニンゲンが最強・・・などと考えつつ、種の保存に貢献しそうにない30代独身日本式サラリーマンが、スイカの種をポリポリしている。