長い、長いトンネルのある道を通って
永井温泉に着いたのは、10:20であった。
着替えと洗面道具だけを持って下車。
すぐ温泉へ向かう。
風呂は裏の建物で、渡り廊下で繋がっている。
渡り廊下の途中に、花が飾られていた。
風呂は、大きい浴槽と小さい浴槽があり、小さいほうは温度が低かった。
二つの浴槽の説明があった。
交互に入ると良いらしい。
が、私は温度の低いほうへ入る元気はなかった。
例によって、風呂場へカメラを持ち込んで、パチリ
水中でも使えるカメラの強みである。
が、湯気でオートフォーカスのピントが合わないようだ。
この後、今後の日程打ち合わせと称して玄関ホールで会合 11:30
ご主人に、ここで12時くらいまで話をしていてよろしいかと尋ねたら、
「大声を出さなければ、朝まででも構わないよ。」
と、なんと寛容なご返事
ありがたかった。
雨はなお降り続く。
6時起床ではあるが、大浴槽の床に亀裂が入ったような雨の振る音で5時から起きていた。
こんなにも強い雨が昨日から途絶えることもなく長く降り続いているこは、私の住んでいる地方では考えられない。
あの降り方だと、間違いなく召集がかかり、氾濫場所の点検、状況把握や土嚢作り、出動待機の措置になるだろう。
宿の女将さんは、そのうち交通規制が入って前面通行禁止になるだろうって事も無げに言う。
「そうしたら、降りられなくなるんでは・・・」
と言うと、
「いや、降りるのは降りられます。」
そうだよな、昨日、白山室堂に泊まっている人たちが降りてくるから、別当出合から宿まではシャトルバスを運行しなくちゃ。
7時から白山スーパー林道管理事務所が開く。
ここは、携帯電話が圏外で通じないので公衆電話で尋ねると、スーパー林道は通行止めであった。
「とりあえず、ここから脱出、脱出!」
とH女史が叫ぶ。
朝食である。
左奥から右へ、油揚げ、鮭の切り身と昆布の佃煮、煮物
手前が、厚焼き玉子、のり、新漬けと梅干、味噌汁
ご飯が美味しい。
8時出発である。
大粒の雨が依然として地面を叩きつけている。
既に、道路は川になろうとしており、排水溝は容量を超え噴出している。
ここは、高度が高いから降った雨は溜まらないで下へ下へと流れる。
水がつくことはないだろうが、山崩れが心配だろう。
でも、この地方は雨が降ることが多いらしく、そんなに緊迫感は感じられない。
たった10時間しか滞在できなかったが、良い旅館であった。
風呂であった青年は、白山登山に来たのではなく、秘湯に入りに来たと話していた。
朝の一仕事を終えた作業着姿のご主人とその家族の見送りの中、山を下った。
山から水がどんどん下りて来て、谷底へ消えていく。
登る時は、一門しか放水していなかった手取川ダムが全門放水していた。
白山へ向かう道のゲートが閉じていて、一瞬ビックリしたが係員がゲートを空けてくれた。
白山へ向かう登山客を乗せた観光バスが、ゲートの前で停められていた。