読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

ミイラ取りがミイラになるプロセス、「イースタン・プロミス」(英、加、米/2007年)

2009-01-02 19:56:12 | 映画;洋画
~ロンドンの病院で産婦人科医をしているアンナ(ナオミ・ワッツ)のもとに、ロシア人の少女が運び込まれる。しかし、出産の直後に少女は命を落とし、日記と赤ん坊が残された。そこに記された内容に危険を感じながらも、赤ん坊の家族を見つけ出そうとするアンナ。彼女はあるロシアン・レストランにたどり着き、ロシアン・マフィアに雇われているミステリアスな男ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)に出会う。(シネマトゥデイ)~

原題:Eastern Promises
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
脚本:スティーヴ・ナイト
音楽:ハワード・ショア
撮影:ピーター・サシツキー
出演:ヴィゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル、アーミン・ミューラー=スタール

あけましておめでとうございます。今年も、読書と映画の話題を中心に、古今東西の作品について興味の赴くまま、書きなぐって行きたいと思います。今年のスタートは、昨年末に見た本作です。タイトルの「イースタン・プロミス」は「人身売買」を意味するらしいんですね。それに、ロシアン・マフィアとタトゥーがキーワードになっています。寡黙な男の優しさには厳しい務めを背負った禁断の苦しみがある、そんな映画です。

監督のデヴィッド・クローネンバーグは今回初めて取上げますが、ジェームズ・ウッズ主演の「ヴィデオドローム」(1982年)、ジェフ・ゴールドブラム主演の「ザ・フライ」(1986年)、ピーター・ウェラー主演の「裸のランチ」(1991年)、ジュード・ロウ主演の「イグジステンズ」(1999年)、レイフ・ファインズ主演の「スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする」(2002年)など気持ち悪い映画が彼の作品の特徴ですが、ニコール・キッドマンがゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞した「誘う女」(1995年)では、ニコールの色香を存分に引き出してくれました。そして、本作ではリアルなサウナでの乱闘シーン以外は、大変シリアスな映像になっています。

デヴィッド・クローネンバーグ OC, FRSC(David Paul Cronenberg 1943年3月15日-)は「カナダを代表する映画監督・脚本家。独特のボディ・ホラーで有名。また個性的な容姿から俳優としても活躍。自作数本とテレビシリーズ『エイリアス』シーズン3、『誘う女』、『ジェイソンX』など、20作品近い出演作品が有る」。

「クローネンバーグは1943年にオンタリオ州トロントのリトアニア系ユダヤ人家庭に生まれた。子供の頃はクライム・ストーリー専門の記者だった父ミルトンの影響で物語を書いたり、バレエ団などでピアニストをしていた母エステルの影響でクラシックギターを嗜んだ」。

「1961年にトロント大学へ入学。当初は生化学・生物学を専攻するも、翌年英語・英文学に転部。在学中に短編小説で賞を受けるなど文才を発揮するが、小説という分野ではかねてより敬愛していたウィリアム・S・バロウズやウラジーミル・ナボコフなどの作家に及ぶことは出来ないとして、作家の夢は断念」。

「極めて優秀な学業成績で大学を卒業後、一年間ヨーロッパに渡り主に先祖の地に近いデンマークに滞在。帰国後、同大学の大学院修士課程に進学。友人の影響を受け映画に活路を見出し、16mmの短編映画『Transfer』(1966年)と『From the Drain』(1967年)を監督。その後35mmにカメラを持ち替え実験映画『ステレオ/均衡の消失』(1969年)、『クライム・オブ・フューチャー/未来犯罪の確立』(1970年)を監督。1971年頃からはカナダ議会からの補助金を受け、フランスなどヨーロッパで生活。3本のテレビ用作品を制作。1972年長女カサンドラ誕生。カナダのテレビシリーズ『Project X』用に『Secret Weapons』を制作。他に6本のテレビ用作品を制作後、帰国」。

さて主演のヴィゴ・モーテンセン。今や、「ロード・オブ・ザ・リング」で名を馳せていますが、私は、1991年、ショーン・ペンがメガフォンを撮った、実直な兄(デイヴィッド・モース)と性格粗暴な弟の関係を通じて、兄弟とは家族とは何かを描くドラマ「インディアン・ランナー」という作品が印象的でした。

ヴィゴ・モーテンセン(Viggo Mortensen, 本名Viggo Peter Mortensen Jr., 1958年10月20日-)は、「ニューヨーク州マンハッタン出身の俳優、詩人、写真家。デンマーク王国とアメリカ合衆国の二重国籍保持者。独身。身長約180cm(5フィート11インチ)。瞳の色はブルーグリーン。髪の色はブラウン。
『ロード・オブ・ザ・リング』三部作のアラゴルン役で世界的な名声を得る。2008年には『イースタン・プロミス』で第80回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた」。(以上、ウィキペディア)

ナオミ・ワッツについては、<ナオミ・ワッツの出世作「マルホランド・ドライブ」(アメリカ/フランス2001年)>(2007-05-22)で、ヴァンサン・カッセルについては、奥さんのモニカ・ベルと共演した映画<暴力とポエジー。地獄とエクスタシーの衝撃作「アレックス」(フランス/2002)>(2007-07-24)で取上げましたの割愛します。


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