読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

思い悩むことの贅沢と自由に歩き回ることの慢心を悟る、「潜水服は蝶の夢を見る」(仏/2007年)

2009-06-24 19:40:43 | 映画;洋画
原題:Le scaphandre et le papillon(潜水鐘と蝶)
英題:The Diving Bell and the Butterfly
監督:ジュリアン・シュナーベル
原作:ジャン=ドミニック・ボビー
脚本:ロナルド・ハーウッド
音楽:ポール・カンテロン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
出演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、オラル・ロペス・ヘルメンディア、アンヌ・コンシニ、マリナ・ハンズ、イザック・ド・バンコレ、マックス・フォン・シドー、パトリック・シュネ、ジャン=ピエール・カッセル、エマ・ド・コーヌ、ニエル・アレストリュプ


~昏睡(こんすい)状態から目覚めたものの、左目のまぶた以外を動かすことができないエル誌編集長ジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)。意識ははっきりしているにもかかわらず言葉を発することができない彼に、言語療法士のアンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)はまばたきでコミュニケーションを取る方法を教える。(シネマトゥデイ)~

目が覚めると、体が動かず、瞬き以外の全運動機能が失しなわれたことを知ったとき、私ならどんな心境に陥るのだろうか、と考えただけでも背筋が寒くなります。43歳の働き盛りの編集長だったジャン=ドミニック・ボビーに起きたこの病は、「ロックインシンドローム(閉じ込め症候群)」LIS(locked-in-syndrome)と呼ばれる不治の病。

しかし、彼はその残された唯一の左目の瞬きを使って、暗い海底に漂う潜水服から抜け出し、蝶になって思索の空を飛びまわった、その軌跡。言語療法士のアンリエット、フリーランス編集者のクロード・マンディビル、そして元妻のセリーヌ・デスムーランに支えられて、左目の20万回の瞬きでつむいだ135ページに及ぶ身辺エッセイが本作に結実しています。

本作に遡ること10年の1997年に、ジャン=ジャック・ベネックスという監督によって短編ドキュメント「潜水服と蝶/ Assigné à résidence 」(1997)が製作されているんですね。この映像は見たことがありませんが、機会があれば観たいと思います。

フランス映画である本作の監督は、アメリカ人ジュリアン・シュナーベル。今回初めて知った監督ですが、以前から観たいと思っていた「バスキア」(1996)、「夜になるまえに」(2000)を撮っているんですね。奥さんは理学療法士マリー・ロペスを演じたスペイン人女優兼モデルのオラル・ロペス・ヘルメンディアなんだそうです。

ジュリアン・シュナーベル(Julian Schnabel、1951年10月26日 - )は、「アメリカ合衆国の画家・映画監督。新表現主義の画家として著名。ニューヨーク市ブルックリン出身のユダヤ系。ヒューストン大学で学んだが、アーティストとしてはなかなか芽が出なかった。しかし、1970年代の終わりに、若き画商であったメアリー・ブーンに見出され、彼女の画廊で催された個展において、壊れた陶器の皿をカンヴァスに張りつけた作品などが話題になり、1980年代の新表現主義(Neo Expressionism)の中核をなす画家となった」。

「映画監督・脚本家としては、1996年には交流のあった画家ジャン・ミッシェル・バスキアの伝記映画『バスキア』を制作。2002年の『夜になるまえに』でヴェネチア国際映画祭の審査委員グランプリを、2007年の『潜水服は蝶の夢を見る』で第60回カンヌ国際映画祭監督賞、および第65回ゴールデングローブ賞監督賞を受賞した」。

<ジュリアン・シュナーベル - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB


そして役者陣。ジャン=ドミニク・ボビーを演じたのは、マチュー・アマルリック。「ミュンヘン」(2005)にも出演していたそうですが、ノーマークでした。

マチュー・アマルリック(Mathieu Amalric、1965年10月25日 - )は、「フランスの俳優、映画監督。オー=ド=セーヌ県出身。父親はフランス人のル・モンド紙の新聞記者、母親はユダヤ系ポーランド人の文芸批評家。1984年に『Les Favoris de la lune』映画デビュー。1996年公開の『そして僕は恋をする』や『犯罪の系譜』で人気を博し、前者の作品でセザール賞有望若手男優賞を受賞」。

「1997年には『Mange ta soupe』で映画監督デビューをしている。2004年公開の『キングス&クイーン』と2007年公開の『潜水服は蝶の夢を見る』でセザール賞主演男優賞を受賞。近年はアメリカ映画にも出演しており、2008年公開の007シリーズ第22作目『007 慰めの報酬』の悪役ドミニク・グリーンを演じた」。

<マチュー・アマルリック – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF

<「ミュンヘン」(2005年/アメリカ)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/12c5dd2bb2efeb5ccc7636060d00c0cc


ジャン=ドミニク・ボビーの元妻セリーヌ・デスムーランに扮したのは、エマニュエル・セニエ。彼女については、「エディット・ピアフ」で取り上げました。

<名曲「愛の賛歌」ができるまでと込められた想いを描く、「エディット・ピアフ」(仏/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/2ced9eb24ad51e3fdccd39e5f3378320


言語療法士アンリエット・デュランを演じたのは、カナダ人女優のマリ=ジョゼ・クローズ。彼女も「ミュンヘン」に出演しているようです。

マリ=ジョゼ・クローズ(Marie-Josée Croze、1970年2月23日 - )は、「カナダ人の女優。ケベック州モントリオール出身。1993年に映画デビュー。2003年の『みなさん、さようなら』でカンヌ国際映画祭 女優賞を受賞。2005年にはスティーヴン・スピルバーグの『ミュンヘン』ではオランダ人暗殺者を演じている。現在はパリ在住で、フランス映画界で活躍」。

<マリ=ジョゼ・クローズ – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%EF%BC%9D%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%BC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA


そして、上述した理学療法士マリー・ロペスを演じたのが、オラル・ロペス・ヘルメンディア。ご主人が撮った「バスキア」、「夜になるまえに」にも出演しているそうですが、彼女のその他のキャリアについてはよくわかりません。



フリーランスの編集者クロード・マンディビルに扮したのがアンヌ・コンシニ。なんとファッションデザイナーの高田賢三さんが監督した「夢・夢のあと」(1981)とういう作品が映画デビュー作ということです。また、「あるいは裏切りという名の犬」(2004)にも出演しているとありましたが、覚えていません。

アンヌ・コンシニ(Anne Consigny,1963年5月23日 - )は、「フランス・アランソン出身の俳優。アン・コンシニーという表記も見られる。祖父は政治家のモーリス・クーヴ・ド・ミュルヴィル」。

<アンヌ・コンシニ – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%8B


信心深い元恋人ジョゼフィーヌを演じたのはマリナ・ハンズ。上述のマリ=ジョゼ・クローズとともに、カナダ映画「みなさん、さようなら」(2003年)に出演しているとのこと。

マリナ・ハンズ(Marina Hands、1977年 - )は、「フランスの女優。パリ出身。父親はイギリス人の舞台監督、母親はフランス人の女優。パリとロンドンの演劇学校で演技を学び、いくつかの舞台に出演。2000年に『Fidélité, La』で映画デビューする。2006年公開の『チャタレイ夫人の恋人』を映画化した『レディ・チャタレー』でセザール賞の最優秀主演女優賞を受賞」。

<マリナ・ハンズ– Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%BA


ジャン=ドミニク・ボビーの友人ローランを演じたイザック・ド・バンコレ。先日取り上げた「バトル・イン・シアトル」に彼が出演していたことが、本作を観ようと思ったきっかけでした。

<自由貿易がもたらす悲劇を訴える人々の闘い、「バトル・イン・シアトル」(アメリカ/2008年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/fe9948b471cf6dd0e295b2f76a1e8e8b


ジャン=ドミニク・ボビーの父パピノに扮したのがマックス・フォン・シドー。彼については、「ハイジ」で取り上げました。

<誰もが「いい人間」になるチャンスをくれるのが、「ハイジ」(イギリス/2005年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/8ad069b78f278e49b544858d2eb7b718


最後は、リュシアン神父/店主を演じたジャン=ピエール・カッセル。ヴァンサン・カッセルのお父様でありますが、本作が遺作となっています。

ジャン=ピエール・カッセル(Jean-Pierre Cassel、1932年10月27日 - 2007年4月19日)は、「フランスの映画俳優。同じく俳優のヴァンサン・カッセルは息子で、女優のモニカ・ベルッチは息子の嫁(義理の娘)である。フランスを代表する俳優の一人で、フランス映画のみならずハリウッド映画などにも多く出演した」。

<ジャン=ピエール・カッセル – Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%AB


<潜水服は蝶の夢を見る : 主演俳優が語る、苦労話と感動のツボ>
http://eiga.com/movie/53278/special

<アカデミー賞ノミネート『潜水服は蝶の夢を見る』の73歳の脚本家が語るジョニー・デップとのかかわり>
http://www.anapnet.com/ent/15668


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