読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

映画には原作殺しという作品もある、「海猫」(2004年)

2009-05-22 09:06:28 | 映画;邦画
~漁師・赤木邦一(佐藤浩市)の元に嫁いだ薫(伊東美咲)。子供にも恵まれ、夫の仕事を手伝い、海の女になるはずだった。ところが怪我をして入院した邦一は看護師の啓子に心惹かれ、薫もまた自分に秘かに想いを寄せる義弟の広次(仲村トオル)に身を任せるのだった・・・・・・。(シネマトゥデイ)~

監督:森田芳光
原作:谷村志穂
脚本:筒井ともみ
音楽:大島ミチル
出演:伊東美咲(野田(赤木)薫)、佐藤浩市(赤木邦一)、仲村トオル(赤木広次)、ミムラ(野田美輝)、蒼井優(野田美哉)、深水元基(野田孝志)、白石加代子(赤木みさ子)、三田佳子(野田タミ)、小島聖(啓子)、角田ともみ(幸子)、宮下順子(太田)、鳥羽潤(高山修介)

今から5年前の本作。この映画を観た人のレヴューを見ると、いたって評判がよろしくありません。その原因は主演の伊東美咲さんの演技、あるいは森田監督への批判であります。伊東美咲さんについては製作発表会見で「繊細に、そして大胆に演じたい」と語っておられただけに、演技力に難があり、大胆さにも欠けていたといわざるを得ませんね。

<「繊細に、そして大胆に演じたい」と語る、伊東美咲 『海猫』製作発表>
http://allabout.co.jp/entertainment/movie/closeup/CU20040613U/

森田監督については、野田(赤木)薫、赤木邦一、赤木広次という人間とその関係を描き切れなかったという悔いがあるのではないでしょうか。私は原作を読んでいませんので、なんとも言いがたいのですが、主人公薫がロシア人とのハーフであるという設定をあまり重視していなかったのではないかと思います。「青い目」という設定であるのに、薫の瞳はブラウンだったような。

また、この三人のベッドシーンは本作の中ではとても重要な部分だと思うのですが、漁師である邦一にはもっと荒々しくて良く、それでこそ内省的な弟、広次との対比が出てくるんだと思います。伊藤さんにも出産シーンに負けないくらいの激しい性愛の姿を演じてほしかったところです。そうでなければ、美哉がなぜ生まれなければならなかったのかがわかりません。そしてその最期も。

それにしても、この豪華な助演陣であります。特に伊東さん以外の女優陣は良い仕事をしていたと思います。作品を批判することは簡単ですが、私は作り手の気持ちも理解したいと思っています。そう言った意味では、この作品にかけられた製作陣の情熱が感じられます。惜しむらくは、森田監督がどこかで下さねばならなかった妥協が、最も重要なところでなされたというところでしょうか。

さて、原作者の谷村志穂さん。「結婚しないかもしれない症候群」(1990)で話題になったことは覚えていましたが、その後、このような作品を書かれる小説家であったとは知りませんでした。最近、映画化した生野慈朗監督の「余命」も彼女の作品だったんですね。

谷村志穂(1962年10月29日 - )は、「小説家。北海道札幌市生まれ。北海道札幌西高等学校、北海道大学農学部卒業。応用動物学を専攻。出版社勤務を経て、1991年処女小説『アクアリウムの鯨』(八曜社/角川文庫)を発表。2003年、郷里の北海道を舞台に描いた『海猫』(新潮社)で第10回島清恋愛文学賞を受賞」。

<谷村志穂- Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B0%B7%E6%9D%91%E5%BF%97%E7%A9%82


監督の森田芳光さん。「39 刑法第三十九条」(1999)、「黒い家」(1999)、「模倣犯」(2002)などを観ていますが、もっと頑張ってほしい監督さんの一人です。

森田芳光(1950年1月25日 - )は、「映画監督、脚本家である。東京都渋谷区生まれ、東京都渋谷区育ち。1981年に『の・ようなもの』で長編映画監督デビュー。以降、シリアスなドラマから喜劇、ブラックコメディー、アイドル映画、恋愛映画、ホラー映画、ミステリ映画と幅広いテーマを意欲的に取り扱い、話題作を数多く発表する」。

<森田芳光 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E7%94%B0%E8%8A%B3%E5%85%89


本作の脚本を手がけた筒井ともみさん。テレビの「必殺仕事人」シリーズ(1980年~)、「それから」(1985年)、「失楽園」(1997年)などの森田芳光監督作品に筆を取っておられました。

筒井ともみ(本名 筒井 共美、1948年7月10日 - )は、「女性脚本家・小説家。東京都出身。成城大学文芸学部文芸学科国文学コースを卒業。女優の赤木蘭子は伯母、俳優の信欣三は伯父にあたる。1972年頃から脚本家として活動を開始、アニメーションから実写ドラマ、映画の脚本を手掛ける一方で、小説、エッセイの執筆と活躍の場を広げている。 向田邦子賞の審査員なども務めている。2007年4月からは東京芸術大学大学院 映像研究科 映画専攻 脚本領域の准教授となる。2008年4月からは教授として、指導にあたっている」。

<筒井ともみ- Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%92%E4%BA%95%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%BF


そして出演陣。伊東美咲さんについては、「ラストラブ」で取り上げました。これも残念な作品でした。

<映画には役者殺しという作品もある、「ラストラブ」(2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/88e690daa7d739e9c79a8f40d3fa5599


佐藤浩市さんについては下記の記事で取り上げました。

<黒澤監督は納得してないだろうな、「天国と地獄」(テレビ朝日/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/056e64ed566b057abc3144bba01eca7b


以下、主な出演陣のプロフィールとリンク先のみ記します。

仲村トオル(1965年9月5日 - )は、「身長184cm。本名:中村 亨(読み同じ)。所属事務所はフライングボックス。東京都稲城市出身、千葉県流山市育ち。血液型A型。専修大学松戸高等学校・専修大学文学部卒業。デビュー作は1985年の映画『ビー・バップ・ハイスクール』。特技は乗馬、スキューバダイビング。妻は女優の鷲尾いさ子」。

<仲村トオル- Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%B2%E6%9D%91%E3%83%88%E3%82%AA%E3%83%AB


日本を代表する舞台女優さんである白石加代子さん。

白石加代子(1941年12月9日 - )は、「東京都出身の舞台女優である。有限会社白石加代子事務所所属。夫は早稲田小劇場に所属していた深尾誼(ふかお よしみ)」。

<白石加代子 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E7%9F%B3%E5%8A%A0%E4%BB%A3%E5%AD%90


<三田佳子- Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E7%94%B0%E4%BD%B3%E5%AD%90


深水元基(ふかみ もとき、1980年1月20日 - )は、「東京都出身の俳優、モデル。breath所属」。

<深水元基 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%B1%E6%B0%B4%E5%85%83%E5%9F%BA


ミムラ(1984年6月15日 - )は、「身長:167cm、血液型:B型。株式会社スターダストプロモーション所属。夫は指揮者である金聖響」。

<ミムラ - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A0%E3%83%A9_(%E5%A5%B3%E5%84%AA)


蒼井優(1985年8月17日 - )は、「福岡県春日市出身の日本の女優、モデル。所属事務所はイトーカンパニーグループ。身長160cm。堀越高等学校卒業、日本大学芸術学部演劇学科中退」。彼女の出演作については下記の作品を観ています。

<日本人として観ておきたい、英霊たちの無念を描く「男たちの大和/YAMATO」(2005年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/6c3779641cd4ab6555fd312dd55e341c

<世界に恥じないジャパニーズ・ドリームがここにある、「フラガール」(2006年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/0d82268fb18c4866c69996d3fdec544f

<蒼井優 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%92%BC%E4%BA%95%E5%84%AA


角田ともみ(1977年9月22日 - )は、「タレント、女優。所属事務所はスペースクラフト。2001年に角田智美から改名。神奈川県出身」。

<角田ともみ- Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%92%E7%94%B0%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%BF


小島聖(ひじり、1976年3月1日 - )は、「女優。所属事務所はフライングボックス。東京都出身」。

<小島聖 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%B3%B6%E8%81%96


ウミネコ(海猫、学名:Larus crassirostris)は、「チドリ目カモメ科に分類される海鳥。留鳥で、おもに日本近海で繁殖・生息するため日本国内で一般的にみられる中型のカモメである。ネコによく似た鳴き声で鳴くためにこう呼ばれる。全長約47cm。夏羽では背と翼上面は灰褐色で、頭部と下面は白色。冬羽は頭部に灰褐色の斑がある。 脚の色は黄色で、くちばしの先端に赤と黒の斑点があるのが特徴。また、尾には黒い帯がある」。(以上、ウィキペディア)


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