歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

アラミレ『ジョスカン_ミサ・ダン・オートル・アメ』

2011年07月14日 | CD ジョスカン
Josquin Desprez
Missa D'ung aultre amer, Motets & Chansons
Andrew Lawrence-King
Alamire
directed by David Skinner
CD701

2007年録音。68分17秒。OBSIDIAN。オケゲムのロンドー〈D'ung aultre amer〉をハープ伴奏によるソプラノ・ソロで歌ったあと、ジョスカンの《Missa D'ung aultre amer》がKyrieからAgnus Deiまで歌われ、そのあとさらにジョスカンのシャンソン、モテットが、合唱やら独唱やらハープ独奏やらいろいろなかたちで演奏されていきます。

冒頭のシャンソン、ルネサンス・ハープの響きがちょっとめづらしい。ビヨン、ビヨンて音がする。この楽器はマンロウの録音なんかによくフューチャーされていて、聴いたことはあるけど、こう正面きって聴くのははじめてかも。ややハスキーなソプラノ(Clare Wilkinson)がそのハープによく乗って、オケゲムのアルカイックな旋律をしみじみと聴かせる。

ジョスカン初期のミサ《Missa D'ung aultre amer》はおおよそ14分くらいでサクッと終わっちゃう。やっぱジョスカンのミサはもっとたっぷり聴きたいね。まあ仕方ないけどさ。でもこのはじめて聴く声楽アンサンブルが十分な実力派であることはよくわかる。ミサにふさわしい重厚な響き。よく練られた安定感のある発声。

〈Mille Regretz〉はソプラノ・ソロとハープ。オケゲムとの個性の違いがはっきり歌い出される。有名な4声の〈Ave Maria〉は5分10秒。この曲もいろいろ録音を聴きましたが、最上等の部類といってよい。ジョスカンらしい自然な音の流れのなかにこの作曲家ならではの音楽美がくっきりと描きだされる。そして何より耳を奪われたのは〈Planxit Autem David〉という11分46秒のモテットで、これは聴きごたえのある曲ですねえ。いかにもジョスカンらしい、優美でかつ堂々とした響きの連なりに圧倒される。曲も演奏もいい。

Alamireは、Tallis Scholarsほどかっちりしすぎず、The Clerks' Groupほどゆるくもない。ちょうどいい感じ。各パート2人くらい。もっとジョスカン歌ってほしいなあ。

ミサありモテットあり、さらに独唱によるシャンソンやらもあって、聴きようによっては盛りだくさんに過ぎる気もしますが、ジョスカン初心者にも聴き込んでる人にも薦められるよいCDです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿