歌わない時間

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タリス・スコラーズ『ジョスカン/ミサ・シネ・ノミネ, ミサ・アド・フガム』

2009年04月02日 | CD ジョスカン
Josquin
Missa Sine nomine / Missa Ad fugam
The Tallis Scholars
Peter Phillips
CDGIM 039

2007年ごろ録音。68分47秒。Gimell。タリス・スコラーズによるジョスカン第3弾。これまでに出た2枚からだいぶ間をおいて出たものですが、タリス・スコラーズも円熟してきましたねえ。テクニックで聴かせない。いやもちろんテクニックは相変らず素晴らしいんですが、それよりもまづ、ちゃんと曲そのものを味わわせてくれます。タリス・スコラーズのCDを買ったの自体、久しぶりだったんですが、わたしの知らない間にタリス・スコラーズの演奏スタイルが変わっちゃってたってことでしょうか。

なにが変わったかというと、ソプラノですね。『パンジェ・リングァ』のころは、ソプラノが耳に突き刺さるように聴こえてきたでしょ。このCDでは、ああいう、圧倒させられるような聴かせかたはしません。ごく自然に、ジョスカンのミサ曲の濃密な旨みを味わうことができます。そして聴き終わった後に、「ああタリス・スコラーズ、良くなったなあ」という共感というか満足感というか、そういうものがひたひたと胸迫ってくる。

メンバー表を写しておきます。
Missa Sine nomine
Superius: Sally Dunkley, Caroline Trevor
Tenor: Steven Harrold, Tom Raskin
Altus: Philip Cave, James Gilchrist
Bassus: Donald Greig, Francis Steele
Missa Ad fugam
Superius: Sally Dunkley, Tessa Bonner
Altus: Caroline Trevor, Steven Harrold
Tenor: Philip Cave, Tom Raskin
Bassus: Donald Greig, Francis Steele

写し間違いぢゃないんですよ。シネ・ノミネは上からS-T-A-B、アド・フガムは上からS-A-T-Bという表記になってます。そしてシネ・ノミネでは、ふだんはカウンターテナーといっしょにアルトの声部を歌うキャロライン・トレバーが最上声部に入っています。そのため特にこの前半のミサは中低声でじっくり聴ける感じです。

このCDが出ると同時に、タリス・スコラーズがジョスカンのミサ曲全集をリリースする計画があるとHMVなんかにアナウンスが出たんですが、さてほんとに実現するんでしょうか。2009年3月末現在で、まだCD4枚、ミサ8曲分しか出てないんですけどね…。Tessa Bonnerが亡くなったのはつくづく残念ですが、今後、できるだけピッチを上げて全集完結へむけてがんばってください。

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