歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

じょうずにころぶ俳優たち

2014年02月21日 | 『美しき人生』
『美しき人生』では毎回、最後にだれかが転ぶ画[え]で終わることになっている。登場人物のだれかが、とうとつに、石に蹴躓いてころんだり、尻餅をついたり、階段を踏みはづしたりする。それが最後のシーンなのである。そういう演出なのだ。人生、何が起こるか分からない、って意味なのだという。

たいていはレギュラーのキャストのうちのだれかが転ぶことになっている。数えているわけではないが、おそらくは、ヤン家の「下の叔父さん」ビョンゴル(ユン・ダフン)と、体が大きく多少転んでも怪我しなさそうな次男ホソプ(イ・サンユン)が転んでいる回が多いのではないかと思う。でもこの前は小学生であるジナの友だちの男の子が、初登場後、一分もたたないのにころんだのでさすがにびっくりした。その後の泣き方もじょうずだったけど、あれは演技ぢゃなくてほんとに痛くて泣いていたのかもしれない。

イ・サンユンのような若い俳優が転んでも別にはらはらしないけど、中年以上の俳優さんもしきりに転ぶので、ちょっと心配になる。もちろん演出は工夫してあって、実際には俳優を転ばせずに、転んだように見せてるだけの回もある。でもこの前は、役では八十すぎ、実年齢でも七十代のヤン家のおじいさん(チェ・ジョンフン)がみごとに尻餅をついてひっくり返っていた。俳優は体が元手なのでふだんから鍛練はしてあるのだろうけれど、上手に転んで見せるのもたいへんだ。骨粗鬆症の人には『美しき人生』は務まらない。