ディック・フランシス/菊池光訳『重賞』(ハヤカワ文庫)読了。語り手の「私」はスティーヴン・スコット、35歳。登場人物一覧には玩具製造業者、とあるけれど、これはどうかと思います。玩具のデザイナー、というかクリエイター、というか、そういう仕事をしている。斬新なおもちゃを創作して、そのデザインを玩具メーカーに売って、そのことで金を得ている。かなり金持ち。そして競走馬の馬主である。1975年の作。早い時期の作なのでストーリーはそんなに入り組んでいません。でも馬のすり替え工作のところは正直分かりにくかった。それと「賭け屋」というのが出てきますがこれもわたしにはよく分からないので、読む面白味が減殺されてしまう気がする。
例によって主人公はボコられる。後半のピンチは盛り上がりに欠けると思います。総じて今回の主人公スコットは危機に対する警戒心がちょっと足りない気がします。まちっと用心しろよ、と言いたくなる。そのへんがまあ富裕層らしい大様[おおよう]さなのかしら。いつものように「私」に協力してくれる友人たちも出てくる(今回は協力者が多い)し、彼女もできますが、今回の彼女はやや存在感が薄いかな。
ディック・フランシスとしては中の下、くらいの出来だろうと思う。是非とも読んでくださいとは申しません。巻末に菊池光さんがフランシスの紹介文を書いています。
○
ようやくわたしは本を読む世界に帰ってきた。この本もずっとバッグに入れっぱなしでした。とにかくこのところ何か月か、ほとんど本を読まなかったのですよ。まあいろいろありましてね。今年になってやっと一冊読み上げたのがこの『重賞』。
例によって主人公はボコられる。後半のピンチは盛り上がりに欠けると思います。総じて今回の主人公スコットは危機に対する警戒心がちょっと足りない気がします。まちっと用心しろよ、と言いたくなる。そのへんがまあ富裕層らしい大様[おおよう]さなのかしら。いつものように「私」に協力してくれる友人たちも出てくる(今回は協力者が多い)し、彼女もできますが、今回の彼女はやや存在感が薄いかな。
ディック・フランシスとしては中の下、くらいの出来だろうと思う。是非とも読んでくださいとは申しません。巻末に菊池光さんがフランシスの紹介文を書いています。
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ようやくわたしは本を読む世界に帰ってきた。この本もずっとバッグに入れっぱなしでした。とにかくこのところ何か月か、ほとんど本を読まなかったのですよ。まあいろいろありましてね。今年になってやっと一冊読み上げたのがこの『重賞』。