歌わない時間

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キングズ・シンガーズ『イギリス・マドリガル集』

2008年10月04日 | CD ルネサンス-イギリス
All at once well met - English Madrigals
The King's Singers
CE33-5277

1974,76,82年録音。73分17秒。EMI。イギリスのマドリガルの名曲選で1枚もののアルバムとしては依然としてこれが一番なんぢゃないですかねえ。ヒリヤードやケンブリッジ・シンガーズのも持ってるけど、それよりこのキングズ・シンガーズのほうを勧めたい。ヒリヤードのは弾む感じがとぼしくてわたしの好みではなく、ケンブリッジ・シンガーズのは個性不足。その点このキングズ・シンガーズのは聴かせ上手で、古楽を歌う楽しみにも溢れている。これとCD版《マドリガル・ヒストリー・ツアー》は必備。古楽好きも、合唱やる人も。

74年と76年(前半の14曲)は同じメンバーですが、82年録音分(後半の21曲)になるとカウンターテナーとテナーに異動があって、ジェレミー・ジャックマン、アラステア・ヒューム、ビル・アイブズ、アントニー・ホルト、サイモン・キャリントン、ブライアン・ケイの6人になります。歌い手が異なっていても前半と後半と何の違和感もなく続けて聴ける。なお、翌年に録音された《Madrigal History Tour》ではケイがコリン・メイソンに交替することになります。

《Madrigal History Tour》の映像を見てもそんな感じがしたんですが、このころのキングズ・シンガーズにあっては、CTのヒュームとBrのホルトとカリントン、この3人あたりがおもに曲の解釈を担当してたんぢゃないでしょうか。現にこのCDでも通して歌ってるのはこの3人とケイで、ほかの人は途中で(そしてケイの場合はこの録音の後)他の人と入れ替わってるんですよね。で、この3人に残りの3人が巧くからんできて、キングズ・シンガーズならではの軽快で洗練の極みのような演奏スタイルをつくりあげてる──そのように感じました。