荒川三歩

東京下町を自転車で散策しています。

波方港にて

2016年06月15日 | 散文
山を越えて波方港に来ました。

向こうに「芸予要塞の島」小島が見えます。

この港は随分と寂れました。

昔、しまなみ海道開通まではフェリーの発着で賑わった町です。

波方漁港です。




漁港から見る景色は長閑です。




お腹が空きました。
ここに来る途中、食堂もコンビニもありませんでした。
漁港の前に小さなスーパーマーケットがあります。

野菜もアイスクリームも釣り道具も売っているスーパーマーケットです。

小父さんが一人で店番をしています。
入店するなり「ぬくい飲みモンしか置いとらんよ」と言います。
突然で意味が分りません。
ちぢみの半袖一枚の怪しげな風体です。
商売をする成りではありません。
「冷たい飲みモンやったら外にあるだけよ」
自販機の事のようです。
私が冷たい飲み物を求めていると思ったようです。
外はもう夏の陽射しです。

私が要望を伝えます。
「お腹が空いたので、オニギリとかサンドイッチとかは置いていませんか?」
「なあもないよ」
・・・商売気もありません。
確かに食べ物といえば、駄菓子と菓子パンと袋物のインスタントラーメンくらいです。
「あんたあ、うどんでも食べたら」と小父さんが言います。
え!? 袋物のうどんを奨めているのでしょうか?

「そこの郵便局の裏に店があるけん。そこやったらうどんぐらい食べられらい」
ホントに商売気が無い良い人です。
教えられた郵便局の向こう側の路地を入って行きました。

民家しかありません。

おまけにすぐ行き止まりの袋小路です。

茫然としました。

何処かに喫茶店でも無いだろうかと引き返そうとしたら、脇にありました。

ここのようです。
これでは分からないよ。
その前に営業してるの?
店内から賑やかな声が聞こえます。恐る恐る引き戸を開けます。
地元の人で満席の店内でカツ丼を食べました。
小父さんありがとうございました。

満腹で元気になった自転車は、大角海浜公園へと走ります。

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